第38回 「生老病死」をどうよく過ごすか
マイナスの境遇も考え方次第でプラスに
亡くなるときには、「生きてきてよかった」と満足し、最後に一言「ありがとう」と言うことができれば、こんなに幸福なことはありません。
ところが、私たちの欲望にはきりがありません。お金を持っている人ほどなかなか満足するということがありません。心の中に希望を持つことと、欲望をもつこととは全然違います。
健康にしても、完全な健康というのはありません。統計によれば、85歳以上の者は5人に1人が認知症になります。そういう遺伝子を持っているのです。生まれたばかりの赤ちゃんにも、将来、動脈硬化や糖尿病になる遺伝子はあります。いくら食養生をして健康に留意しても、その遺伝子を持っている限りは病気になるのを避けることはできないのです。
人間は病む生きものです。私たちはだれもがマイナスの遺伝子を持ち、生きていくうえでいろいろなマイナスの状況に対面します。そんな中でも、お釈迦さまの言う「生病老死」=どうよく生き、どうよく病み、どうよく老い、どうよく死ぬことができるかということを考えて行動しなくてはいけません。
ところが、私たちの欲望にはきりがありません。お金を持っている人ほどなかなか満足するということがありません。心の中に希望を持つことと、欲望をもつこととは全然違います。
健康にしても、完全な健康というのはありません。統計によれば、85歳以上の者は5人に1人が認知症になります。そういう遺伝子を持っているのです。生まれたばかりの赤ちゃんにも、将来、動脈硬化や糖尿病になる遺伝子はあります。いくら食養生をして健康に留意しても、その遺伝子を持っている限りは病気になるのを避けることはできないのです。
人間は病む生きものです。私たちはだれもがマイナスの遺伝子を持ち、生きていくうえでいろいろなマイナスの状況に対面します。そんな中でも、お釈迦さまの言う「生病老死」=どうよく生き、どうよく病み、どうよく老い、どうよく死ぬことができるかということを考えて行動しなくてはいけません。
年をとったら発想を変えるべき
そのためには生き方のプリンシプル(原理)を持って、それを目指して、私たちは上を向いて歩いていかなくてはいけないのです。精神的にはいくら上を向いて歩いても、身体的には齢をとるにつれてだんだん背中が丸くなり、スリッパを引きずるような歩き方になっていきます。そうならないように背筋を伸ばしてかかとから大股で歩くようにすれば格好よく見えますし、段差でつまずくこともありません。家の中の段差をなくしたりする前に、まず歩き方を変えようではありませんか。
このように、私たちは齢をとるということは、歩き方についても考え直さなければならないということです。これまでのやり方がこれからもずっと通用するというわけではないということに気づかなければならないのです。齢を重ねるごとに発想を変えてライフ・プランニングをしていくことです。そうすれば病気をする中にも、あるいは老いていく中にもよりよく生きていくことができるのです。
このように、私たちは齢をとるということは、歩き方についても考え直さなければならないということです。これまでのやり方がこれからもずっと通用するというわけではないということに気づかなければならないのです。齢を重ねるごとに発想を変えてライフ・プランニングをしていくことです。そうすれば病気をする中にも、あるいは老いていく中にもよりよく生きていくことができるのです。
若い時から先の見通しを持とう
現在の日本の医学教育は、高校を出てから大学の医学部に6年間行くことになっています。高校を卒業して医学部に入学する人が全員「医者になりたい」と動機づけられているわけではありません。偏差値が高いから、医者は経済的に恵まれているから、あるいは両親が勧めるから、または学校や塾の先生に言われたから行くという人もいるでしょう。自分から本当に医者になりたいと思って医学部にいく人はどれだけいるでしょうか。
私は、医師になる人は、大学を卒業してから自分自身について考える能力ができ、本当に将来医師として働きたいと決めてから医学校に入るのがよいのではないかと思います。アメリカ式の医学校やロースクールのように、4年制の大学を出てから進むようにすれば、もっとミッションを持った医師が生まれるはずです。私はこれから、聖路加国際病院を母体にした医学校を作りたいと思っています。
ちなみに、アメリカの医学教育のいいところは、卒業して5年後にはあの人の地位になる、10年後にはあの人に収入になる、ということがはっきりしていることです。将来の地位や収入がわかっているから安心できるわけです。
ところが日本では、大学教授でも定年になればどうなるかわかりません。将来の保証がないために、「年をとったらどうなるのか」という考えが身についてしまうのです。若い人に、もっと先の見通しができるような教育をしなくてはいけないと思います。
私は、医師になる人は、大学を卒業してから自分自身について考える能力ができ、本当に将来医師として働きたいと決めてから医学校に入るのがよいのではないかと思います。アメリカ式の医学校やロースクールのように、4年制の大学を出てから進むようにすれば、もっとミッションを持った医師が生まれるはずです。私はこれから、聖路加国際病院を母体にした医学校を作りたいと思っています。
ちなみに、アメリカの医学教育のいいところは、卒業して5年後にはあの人の地位になる、10年後にはあの人に収入になる、ということがはっきりしていることです。将来の地位や収入がわかっているから安心できるわけです。
ところが日本では、大学教授でも定年になればどうなるかわかりません。将来の保証がないために、「年をとったらどうなるのか」という考えが身についてしまうのです。若い人に、もっと先の見通しができるような教育をしなくてはいけないと思います。
(2008年10月20日)
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