第35回 自覚症状がなくても年1回は健診を
健診はドックで点検を受けること
自分の健康は自分に責任があります。ですから、健診を受けることはとても大切です。症状があるから、またはやせたからがんではないか、胸が痛いから心臓病ではないか、といって診察を受けるのはなくて、何の症状がなくても健診は定期的に受けていただきたいのです。
肺がんや膵臓がんは、自覚症状なしに始まります。「なんとなく冴えない」という神経症のような症状や、なんとなく食欲がないけど胃を調べても異状はないというような状態が、膵臓がんの初期であったりします。また、腰痛で整形外科に通ったり、スポーツクラブでトレーニングをしたりしている人が、実は進行した膵臓がんであっても、当人ばかりかそれがわからない医者も少なくありません。
遠洋航海から帰った船は、必ずドックに入って点検をしなければいけないと法律で定められています。それと同じように、航海をしてきた身体もどこかが壊れたり、傷ついたりしていることがあるかもしれませんから、症状のあるなしにかかわらず、定期的に診察を受けるべきです。
肺がんや膵臓がんは、自覚症状なしに始まります。「なんとなく冴えない」という神経症のような症状や、なんとなく食欲がないけど胃を調べても異状はないというような状態が、膵臓がんの初期であったりします。また、腰痛で整形外科に通ったり、スポーツクラブでトレーニングをしたりしている人が、実は進行した膵臓がんであっても、当人ばかりかそれがわからない医者も少なくありません。
遠洋航海から帰った船は、必ずドックに入って点検をしなければいけないと法律で定められています。それと同じように、航海をしてきた身体もどこかが壊れたり、傷ついたりしていることがあるかもしれませんから、症状のあるなしにかかわらず、定期的に診察を受けるべきです。
過去の結果を総合してこそ健診の意義がある
私は、定期健診の重要性を提唱し、今から半世紀以上も前の昭和29年、聖路加国際病院に初めて病気でない患者さんを入院させて、全身のチェックを行いました。いわゆる「人間ドック」です。
その頃、健康でも入院できる人といえば政治家でした。政権担当を外れてヒマになったから、今のうちに体の点検を行っておこうといって人間ドックに入ったのです。
こうして、健康な人でも健診を受けようということで、人間ドックはだんだん盛んになっていきました。そして、自動血液分析機器やコンピュータを使って、短時間に、そして今回の検査結果と同時に過去2、3年の結果も報告紙にプリントアウトされて見られるようにしようというような自動化健診も行われるようになりました。
健診を合理的に行うには、今日の検査結果だけで判断しないで、去年、一昨年、さらにその前の結果と照らし合わせて、どのように数値が変化しているかをみます。
そして、たとえば「肝機能の数値がこのような状態に向かってきています。これ以上悪くなれば肝臓病になりますから、アルコールの量はこのくらいに制限しなくてはいけません」といった具体的なアドバイスがなされます。
その頃、健康でも入院できる人といえば政治家でした。政権担当を外れてヒマになったから、今のうちに体の点検を行っておこうといって人間ドックに入ったのです。
こうして、健康な人でも健診を受けようということで、人間ドックはだんだん盛んになっていきました。そして、自動血液分析機器やコンピュータを使って、短時間に、そして今回の検査結果と同時に過去2、3年の結果も報告紙にプリントアウトされて見られるようにしようというような自動化健診も行われるようになりました。
健診を合理的に行うには、今日の検査結果だけで判断しないで、去年、一昨年、さらにその前の結果と照らし合わせて、どのように数値が変化しているかをみます。
そして、たとえば「肝機能の数値がこのような状態に向かってきています。これ以上悪くなれば肝臓病になりますから、アルコールの量はこのくらいに制限しなくてはいけません」といった具体的なアドバイスがなされます。
なんでも話せる健診を目指して
健診を受けにきたなかにこんな人もいました。22、3歳の若い女性です。尿が漏れるけど恥ずかしくて誰にも言えないでいたというのです。でも、看護師が察して問診で、「なんでも言ってください。若くても尿が漏れることはありますし、治す方法もありますよ」と言って、その方の長い間の悩みは解消されました。若い男性の医者には言えなくても、看護師には言えたのです。
ですから、ライフ・プランニング・センターや聖路加国際病院の健診システムは、ただ医者が診察するだけではありません。言いにくいことを、恥ずかしい思いをすることなくきちんと話してもらうために、ナースが聞き役になっています。そうして、患者さんがなんでも話しやすい雰囲気づくりを心がけています。
また、患者さんも、自分の状態をきちんと知って、どんな些細な気がかりでも話してほしいのです。それが「自分の健康に責任を持つ」ということです。
ですから、ライフ・プランニング・センターや聖路加国際病院の健診システムは、ただ医者が診察するだけではありません。言いにくいことを、恥ずかしい思いをすることなくきちんと話してもらうために、ナースが聞き役になっています。そうして、患者さんがなんでも話しやすい雰囲気づくりを心がけています。
また、患者さんも、自分の状態をきちんと知って、どんな些細な気がかりでも話してほしいのです。それが「自分の健康に責任を持つ」ということです。
(2008年9月1日)
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