第15回 老人のための健康診査の検査値について考える(3)
健康検査の正常値とは
ここで改めて正常値とは何か考えてみましょう。
同年代の老人を集団として検査してみると、その測定値は若い者の年代別検査値に比べ、値のバラツキが非常に大きいことがわかります。若い人たちの検査値は一応平均値によって正常値を出すことが可能ですが、老人は個々人によるバラツキがきわめて大きいため、それから正常値を導き出すことは困難なことが多いのです。
例えば、血清コレステロール値の正常値については次の7つの答えを出すことができます。
(1)ベル型の正規分布曲線として示す。
(2)平均値をとり、偏差値を与える。
(3)健康生活を行っている者に最もよくみられる検査値からみた正常域を示す。
(4)人間が生殖機能を果たし、自立した生活が支障なくできる適正な値を示す。
(5)その程度の値が保たれれば生活や寿命上に明らかな支障がない、いわばそれでも我慢できる値。
(6)特別委員会で申し合わせのできた値。
(7)理想的な値を意味する。
同年代の老人を集団として検査してみると、その測定値は若い者の年代別検査値に比べ、値のバラツキが非常に大きいことがわかります。若い人たちの検査値は一応平均値によって正常値を出すことが可能ですが、老人は個々人によるバラツキがきわめて大きいため、それから正常値を導き出すことは困難なことが多いのです。
例えば、血清コレステロール値の正常値については次の7つの答えを出すことができます。
(1)ベル型の正規分布曲線として示す。
(2)平均値をとり、偏差値を与える。
(3)健康生活を行っている者に最もよくみられる検査値からみた正常域を示す。
(4)人間が生殖機能を果たし、自立した生活が支障なくできる適正な値を示す。
(5)その程度の値が保たれれば生活や寿命上に明らかな支障がない、いわばそれでも我慢できる値。
(6)特別委員会で申し合わせのできた値。
(7)理想的な値を意味する。
老人の場合、認容できる値として受け止めましょう
また、特定の心臓病をもたない右脚ブロックについては治療法がなく、この所見があるからといって運動を差し控えたりすることなど不要であることが多いようです。そのようなわずかの心電図の波形の変化は、これを所見としてはチャートに記載しておいてもよいのですが、当人にあえて異常として伝えることは不要ではないかと考えます。
また、軽度の心電図の変化をとりたてて「動脈硬化による冠不全」などと大げさな表現をすることは差し控えたいと思います。たいていの老人には、鉄管の内壁についている錆(さび)のように、血管には何らかの変化があるものだからです。
心電図のマスター負荷試験(二段階の階段を昇降した運動のあと心電図をみる検査)の場合は、体重や年齢に応じて負荷量は若干コントロールされていますが、このようにすることは老人の負荷テストとしては当を得たものだと思います。
しかし、ブドウ糖負荷検査(空腹時とブドウ糖を飲んだ後の血糖値を測定する検査、糖尿病を診断できる)やその他の多くの負荷テストとなると、どんなに高齢でも負荷量は一様に(例えばブドウ糖75g負荷)決められています。糖負荷の場合、老人の糖処理能力は明らかに若者に比べると一時間後、二時間後ともに成人の基準値(普通は正常値と呼ばれます)を超えることが認められます。
老人の場合には、糖やでんぷん質を一時的に摂ることは日常習慣に反するものであるわけですから、このような大量のものを一時に老人に与えて、その正常値の限界値を、若者と同じ値で測り、それで健康度を評価することは不適当と思われます。老人には老人としての正常域を設けて健康評価をすることがすすめられます。
以上、若い者に対する正常値と同じ数値を老人の正常値と見なすことへの不合理性を述べました。
老人の検査値を経年的に記録し、平均余命以上にその老人が生き延びられた場合には、あえて正常値に固執してさまざまの制限を加えるのではなく、少なくともその人の値を「認容値」として採択してよいのではないかと思うのです。
(2007年11月5日)
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