第14回 老人のための健康診査の検査値について考える(2)
老人に新しいヘルスガイダンスを
見かけ上健康な社会生活を送っている老人に多項目の検査を行ってみると、老人を一般成人と同じ基準の検査値で評価した場合、老人のほとんどは異常値を示していることがわかります。
そこで私は、老人の検査値を評価するためには、現在用いられている正常値とか異常値の考え方をそのまま適用するのではなく、一人一人の老人に合った値を想定して、なるべく寛大な生活指導を行うことが、医療者に求められることではないかと思います。
老人が快適な日常を送れるような生活習慣を自立的に保つことが、その人のクオリティ・オブ・ライフを高く保つことになるわけで、不具合を起こすリスクを少なくさせるためには、個別のきめ細かいヘルス・ガイダンス(health guidance)をしていくことが必要だと思います。
老人の検査数値がいわゆる正常値を多少外れていたとしても、老人に正常値をそのまま適用して老人を病人扱いしたり、厳しい生活指導を行ったりすることは、老人にとってはかえって不幸だといえるのではないでしょうか。
老人の健康評価の基準は正常値とは異なります
老人は、老化とともに循環器系、呼吸器系、泌尿器系、内分泌系、消化器系、感覚器系、神経系など、すべての系統に老化現象が現れ、器官の機能低下が起こります。年齢とともに器官の細胞数の減少や器官の萎縮がみられのですから、機能についても若者に比して下がるのはやむを得ないことでもあります。
老人は加齢とともに、血清蛋白の低下、血色素量(ヘモグロビン)の低下、血清クレアチニン値の上昇、対糖能の低下、運動負荷による心電図上の異常が少しずつ現れます。不完全な右脚ブロック(心臓の通過する電気刺激の伝導障害の一つ)などもかなりの頻度で出現します。
現代医学で採用されている正常値を基準にして老人の機能低下や器官の萎縮を評価し、それをただちに異常値として、生活(食事、運動、睡眠、アルコール摂取など)をコントロールする必要はない場合が多いと思います。
激しい現役の活動から比較的楽な日常生活に移行した老人は、身体的なデータが正常値から幾分外れていたとしても、加齢に伴う自然の老化現象を受け入れてそれに一喜一憂することなく、老人としての日常生活を支障なく送れるという実質的な健康意識を尊重してほしいと思います。
老人は加齢とともに、血清蛋白の低下、血色素量(ヘモグロビン)の低下、血清クレアチニン値の上昇、対糖能の低下、運動負荷による心電図上の異常が少しずつ現れます。不完全な右脚ブロック(心臓の通過する電気刺激の伝導障害の一つ)などもかなりの頻度で出現します。
現代医学で採用されている正常値を基準にして老人の機能低下や器官の萎縮を評価し、それをただちに異常値として、生活(食事、運動、睡眠、アルコール摂取など)をコントロールする必要はない場合が多いと思います。
激しい現役の活動から比較的楽な日常生活に移行した老人は、身体的なデータが正常値から幾分外れていたとしても、加齢に伴う自然の老化現象を受け入れてそれに一喜一憂することなく、老人としての日常生活を支障なく送れるという実質的な健康意識を尊重してほしいと思います。
(2007年10月15日)
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