第13回 老人のための健康診査の検査値について考える(1)
老人には「認容値」を提唱します
ところで、老人の検査値や検査所見はどのような基準値で判断すればよいのでしょうか。
今日普及している正常値は、健康度の高い青壮年者の検査値や診察所見を基準にして作成されており、これを正常値として健康度を評価しています。したがって、老人は何らからだの異常を訴えることなく社会活動を送っていても、精密度の高い検査では正常値から外れる場合が少なくありません。
老人の諸検査値が正常値から多少外れていても、従来の生活をそのまま続けることに何の支障もない場合が多いのです。20歳の青年が100mを10秒で走ったからといって、70歳の老人は何も同じスピードで走らなくても、100mを完走できるということが大事なのだということと同じで、いわゆる正常値より若干外れた値であっても、これを認容値(許容できる値、健康に差し支えない値)と考えて普通に生活をすればよいと思います。
以上の考え方から、老人の健康評価には「認容値」という概念を提唱したいと思います。
老人保健法による老人の健康診査
日本人の全人口中、65歳以上の高齢者の占める割合は2006年度には20.8%となりました。これは2025年には30.5%になると予測されています。1950年にわずか4.9%であったことを考えると、この半世紀で社会の姿は大きく変貌しています。
人口の高齢化は、生産人口の減少と相まって医療費や介護費の高騰を招くことになるため、老人の医療政策に対して、日本の政府も民間も急に強い関心を払い始めました。
日本は1961(昭和36)年以来、国民皆保険制度が適用されています。これは病気の治療にのみ適用される制度であって、病気の早期発見や健康人に対する予防的健診は、国民めいめいの負担によってなされてきました。
しかし、結核の早期発見や、あるいは高血圧、心臓病、糖尿病、がんなどの簡単な予防的健診に対しては、個人の負担に加えて、国や地方自治体または民間企業などが、被雇用者への経済的援助によってなされてきました。
1970年からは、自動化健診を行う総合健診施設が全国各地にできて、2004年度現在、日本では291の施設がこのシステムによる健診を行っています。1983年に老人保健法が実施されて以来、老人には毎年の健康診査が公費で行われるようになりました。
基本健康診査による検査は、受診者全員に実施する検査と、医師の判断によって選択的に実施する検査(以下それぞれ「必須検査」、「選択検査」という)からなります。それぞれの項目は次に示すとおりです。
人口の高齢化は、生産人口の減少と相まって医療費や介護費の高騰を招くことになるため、老人の医療政策に対して、日本の政府も民間も急に強い関心を払い始めました。
日本は1961(昭和36)年以来、国民皆保険制度が適用されています。これは病気の治療にのみ適用される制度であって、病気の早期発見や健康人に対する予防的健診は、国民めいめいの負担によってなされてきました。
しかし、結核の早期発見や、あるいは高血圧、心臓病、糖尿病、がんなどの簡単な予防的健診に対しては、個人の負担に加えて、国や地方自治体または民間企業などが、被雇用者への経済的援助によってなされてきました。
1970年からは、自動化健診を行う総合健診施設が全国各地にできて、2004年度現在、日本では291の施設がこのシステムによる健診を行っています。1983年に老人保健法が実施されて以来、老人には毎年の健康診査が公費で行われるようになりました。
基本健康診査による検査は、受診者全員に実施する検査と、医師の判断によって選択的に実施する検査(以下それぞれ「必須検査」、「選択検査」という)からなります。それぞれの項目は次に示すとおりです。
がんのなかでは、以前は胃がんによる死亡が一番多かったのですが、1995年からは肺がんがトップになっています。日本人の多くの人ががん健診を受けるようにしてほしいと思います。
その他の健康サービス
老人保健法では老人に対して次のようなプログラムが展開されるようになりました。
(1)老人の病状の有無にかかわらず病気を早期に発見し、(2)適切な生活指導(相談)が受けられるようにし、入院を要するものと指導下に日常生活を行うものとを識別し、(3)必要なものにはリハビリテーションの機会を与える。また、老人を慢性老人病院に長期入院させて、社会生活を不能にさせることを少なくするために、(4)老人ホームの増設を政府が援助し、(5)在宅ケアができるよう保健師のサービスを公費で提供する。
これらのプログラムは、増えてくる老人層ができるだけ高い社会生活能力を保ち、老人を廃用症候群によって寝たきりにさせず、生きがいをもって、できるだけクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を豊かにさせるための方策なのです。
(1)老人の病状の有無にかかわらず病気を早期に発見し、(2)適切な生活指導(相談)が受けられるようにし、入院を要するものと指導下に日常生活を行うものとを識別し、(3)必要なものにはリハビリテーションの機会を与える。また、老人を慢性老人病院に長期入院させて、社会生活を不能にさせることを少なくするために、(4)老人ホームの増設を政府が援助し、(5)在宅ケアができるよう保健師のサービスを公費で提供する。
これらのプログラムは、増えてくる老人層ができるだけ高い社会生活能力を保ち、老人を廃用症候群によって寝たきりにさせず、生きがいをもって、できるだけクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を豊かにさせるための方策なのです。
(2007年10月1日)
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