第12回 人生の春夏秋冬をどう迎えどう送るか(6)
3つの角砂糖を分ける
戦争中は砂糖がありませんでした。アメリカ大使館や英国大使館のスタッフは大使館に監禁されたまま自国に帰ることはできませんでした。
当時、私は聖路加国際病院で医師をしていたのですが、外務省の依頼で大使館回りを私は引き受けて、大使や領事、大使館職員の診察をしました。アメリカ大使館には砂糖がありました。私が大使の診察を終えると、夫人がコーヒーに大きな3つの角砂糖を添えて、「先生どうぞ」と出してくださるのです。私の家には6人の家族がいて、砂糖なんかないわけですから、自分だけが砂糖をとるのはもったいないと思って、夫人がキッチンに行かれた隙をねらって、3つのうちの2つをポケットに入れたのです。そして苦いコーヒーを飲みました。
帰りの電車は混雑していたので、角砂糖が押されて壊れてしまいます。その角砂糖をポケットの外からかばって、壊れないようにして持って帰りました。そして5人の家族に「今日は角砂糖2つあるから、みんなで分けましょう」といったものです。
貧しいと分けあうという気持ちがありますが、現在のように物が余っているような時代には、私たちはすぐに捨てたりしてしまいます。先日ホームレスの人が聖路加国際病院にコレステロールが高いからといって受診に来ましたが、ホームレスというのに痩せていないのです。
戦時中から戦後にかけて、本当に食べる物が不足していました。それなのに私は長生きしている。極端な栄養不足は別にして、どうも老人は、食べ物をコントロールしたほうが長寿者となるのではないかと思いました。このことは最近やっと真理だと考えられるようになりました。
これからは、ウエストを週に1回は測って、男性は85cm、女性は90cmを超えないようにすれば、皆さんは長生きできるでしょう。
希望を持って耐えて生きる
女性はホルモンの関係で男性より8歳長生きします。だから同い年で結婚した女性の方は、人生の最後の8年間は、独身になって何でもできるようになります(笑)。夫から解放されるわけですから。それが嫌な女性は、あくまでも計算上ですが、8歳歳下の人と結婚するとちょうど同じに寿命が尽きることになります(笑)。子供を産むという大切な役割をもっている女性に対して、神様は寿命を長くするという特権を与えてくださったと私は思います。
動物はそうではありません。たとえば鮭は、産卵をする時には、海から自分が産まれた川の上流へ帰ってきます。それがどの川なのか、鮭は先天的に知っています。川を上っていくうちに鱗が取れてしまう。浅瀬を渡り、生まれたところにたどり着き、卵を産むやいなや死んでしまう。生物はみんな、子孫を残すために生涯があるのです。
ところが人間は、種を残すための生理が終わってからも長く生き延びます。「私の人生はもう秋だ」などと言わないで、「これから人生が始まるんだ」と考えましょう。まだ力があるのですから、自らの経験を子供に伝えるためにすべきことをしましょう。生涯をもっと意味深くすることができます。
最後に、私は皆さんに言いたいのです。人生の春夏秋冬。春は青、青春ですから、覚えやすいですね。そして夏は朱。これは朱色の夏だということ。輝く夏。ゴッホの「ひまわり」を見てご覧なさい。太陽を浴びながらひまわりが1日を過ごす。ゴッホは朱色と黄色を使っています。秋は白秋の白。冬は黒々した玄界灘のような玄冬。春夏秋冬、これが循環しているということです。
日本人は、宗教心があると言われてきましたが、最近は少しずつ宗教心がなくなってきたように思われます。日本人の8割は仏教徒だと言われています。お葬式はほとんど仏教ですからね。キリスト教徒は非常に少なくてわずかに人口の1%です。
日蓮上人をご存じでしょう。日蓮上人は人生の四季についてこういう言葉を残しています。「冬は必ず春となる」と。
先述した『葉っぱのフレディ』で、秋には葉っぱが枝から落ちて、土に埋もれるけれども、また芽吹きの春が来て、緑の葉が繁るということを、日蓮上人は「冬は必ず春となる」と言ったのです。希望を持って耐えれば、必ずその夢が実現するときがくる。私は、皆さんが希望を持って耐えながら生涯を送ってほしいと思うのです。(「人生の春夏秋冬をどう迎えどう送るか」終了)
動物はそうではありません。たとえば鮭は、産卵をする時には、海から自分が産まれた川の上流へ帰ってきます。それがどの川なのか、鮭は先天的に知っています。川を上っていくうちに鱗が取れてしまう。浅瀬を渡り、生まれたところにたどり着き、卵を産むやいなや死んでしまう。生物はみんな、子孫を残すために生涯があるのです。
ところが人間は、種を残すための生理が終わってからも長く生き延びます。「私の人生はもう秋だ」などと言わないで、「これから人生が始まるんだ」と考えましょう。まだ力があるのですから、自らの経験を子供に伝えるためにすべきことをしましょう。生涯をもっと意味深くすることができます。
最後に、私は皆さんに言いたいのです。人生の春夏秋冬。春は青、青春ですから、覚えやすいですね。そして夏は朱。これは朱色の夏だということ。輝く夏。ゴッホの「ひまわり」を見てご覧なさい。太陽を浴びながらひまわりが1日を過ごす。ゴッホは朱色と黄色を使っています。秋は白秋の白。冬は黒々した玄界灘のような玄冬。春夏秋冬、これが循環しているということです。
日本人は、宗教心があると言われてきましたが、最近は少しずつ宗教心がなくなってきたように思われます。日本人の8割は仏教徒だと言われています。お葬式はほとんど仏教ですからね。キリスト教徒は非常に少なくてわずかに人口の1%です。
日蓮上人をご存じでしょう。日蓮上人は人生の四季についてこういう言葉を残しています。「冬は必ず春となる」と。
先述した『葉っぱのフレディ』で、秋には葉っぱが枝から落ちて、土に埋もれるけれども、また芽吹きの春が来て、緑の葉が繁るということを、日蓮上人は「冬は必ず春となる」と言ったのです。希望を持って耐えれば、必ずその夢が実現するときがくる。私は、皆さんが希望を持って耐えながら生涯を送ってほしいと思うのです。(「人生の春夏秋冬をどう迎えどう送るか」終了)
(2007年9月18日)
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