第2回 人生後半は新しいことをしてみよう(2)
生老病死は誰にでもある
「生老病死」という言葉をご存じでしょうか。仏教の開祖であるお釈迦様が王宮から出てみると、東門では年を取って苦しむ人、南門では病気の人、西門では死者がいました。さまざまな不幸な人たちが大勢いるのを見て、「ああ、人間が生きていくということにはいろんな苦しみがあるのだな」と心を強く動かされ、生ある故に老も病も死もあるという意味で、「生老病死(四苦)」という言葉をつくっています。お釈迦様は、どうすればそれを克服することができるかと思い、29歳のときに王宮を抜け出て出家をして、修業の道に行かれました。
この「生老病死」というのは、私たちだれもの生涯にすべて等しく存在しています。「死」はまだまだ遠くにあると思っている若者にも、この生老病死はついてまわるのです。
命の灯が消えるとき
例えを挙げてみましょう。果物の中には種があります。それを「死の種」と考えてみてください。小さな果物には小さな種があり、大きな果物には大きな種があります。
その種というのは何のためにあるのでしょうか。果物が熟して木から地に落ちます。その上に陽が差しこみ、雨や風が吹いて、その種から新しい芽が育ちます。これは次世代の命が生まれてきたということです。そういう意味では、果物であっても一度死ななければ種は新しい命を生み出せないといえるでしょう。
このように、皆さんの細胞の中にも次の世代に引き継がれるために、死の遺伝子があらかじめ組んであります。
第二次世界大戦中、原爆によって、広島市の14万の市民が即死したとされています。被爆したにもかかわらず生命が助かった人もいましたが、そのあと3〜4週間で死んでしまいました。第二次被爆といいますが、被爆後の「黒い雨」に濡れたり、その雨水を飲んだり、そしてまた、放射線被曝によって骨髄が侵されてしまったりしたからです。そのために白血球をつくることができなくなってしまいました。
白血球の寿命は4週間ですから、被曝の3週間前までに産生された白血球は被爆後1週間は生きていましたが、それ以後,白血球はだんだん少なくなって、ひと月後には白血球はゼロになってしまいます。そのときに死が来るのです。ひと月後には死んでしまうことになりました。まるで電池がなくなるように、命の灯も消えてしまったのです。
その種というのは何のためにあるのでしょうか。果物が熟して木から地に落ちます。その上に陽が差しこみ、雨や風が吹いて、その種から新しい芽が育ちます。これは次世代の命が生まれてきたということです。そういう意味では、果物であっても一度死ななければ種は新しい命を生み出せないといえるでしょう。
このように、皆さんの細胞の中にも次の世代に引き継がれるために、死の遺伝子があらかじめ組んであります。
第二次世界大戦中、原爆によって、広島市の14万の市民が即死したとされています。被爆したにもかかわらず生命が助かった人もいましたが、そのあと3〜4週間で死んでしまいました。第二次被爆といいますが、被爆後の「黒い雨」に濡れたり、その雨水を飲んだり、そしてまた、放射線被曝によって骨髄が侵されてしまったりしたからです。そのために白血球をつくることができなくなってしまいました。
白血球の寿命は4週間ですから、被曝の3週間前までに産生された白血球は被爆後1週間は生きていましたが、それ以後,白血球はだんだん少なくなって、ひと月後には白血球はゼロになってしまいます。そのときに死が来るのです。ひと月後には死んでしまうことになりました。まるで電池がなくなるように、命の灯も消えてしまったのです。
私たちは死の遺伝子をもっている
さて、話は変わりますが、最近では糖尿病やがんを生じる遺伝子が発見されています。私の妻はたばこを吸わないにもかかわらず、15年前に肺がんを患いました。幸いにもまだ再発しませんが、妻はがんになる遺伝子を持っているわけですから、今後も肺がんにかかる可能性はあります。今はまだ発症していない人でも、がんの遺伝子を持っている人は大勢いるはずです。
前立腺がんをわずらう人は、近年日本で非常に増えています。前立腺がんは発病してから、20年から30年も非常に緩やかに進行します。アメリカ人は前立腺がんに罹患する比率が高く男性の60%はかかるといわれていますが、治療法が確立しているため、前立腺がんが原因で亡くなる人は多くはありません。
また認知症といって、物事を判断する能力が低下する病気があります。アルツハイマー病が原因となる発症が多いとされています。あるいはピック病やパーキンソン病が原因の場合もあります。これらについても、認知症の原因となる遺伝子が存在するといわれています。統計的にいいますと、80歳の老人の5人に1人が認知症にかかるといわれています。
誰でも、何かの病気の遺伝子をもっているといえますね。これは冗談ですが、がんになりたくないと思えば、がんになる遺伝子が発現する前に死ねばよいわけです。私たち人間は,死を約束された細胞からできているといえます。言い換えると私たちは誰もが死の遺伝子を持っているということです。(続く)
前立腺がんをわずらう人は、近年日本で非常に増えています。前立腺がんは発病してから、20年から30年も非常に緩やかに進行します。アメリカ人は前立腺がんに罹患する比率が高く男性の60%はかかるといわれていますが、治療法が確立しているため、前立腺がんが原因で亡くなる人は多くはありません。
また認知症といって、物事を判断する能力が低下する病気があります。アルツハイマー病が原因となる発症が多いとされています。あるいはピック病やパーキンソン病が原因の場合もあります。これらについても、認知症の原因となる遺伝子が存在するといわれています。統計的にいいますと、80歳の老人の5人に1人が認知症にかかるといわれています。
誰でも、何かの病気の遺伝子をもっているといえますね。これは冗談ですが、がんになりたくないと思えば、がんになる遺伝子が発現する前に死ねばよいわけです。私たち人間は,死を約束された細胞からできているといえます。言い換えると私たちは誰もが死の遺伝子を持っているということです。(続く)
(2007年4月19日)
- 「新老人の会」に関するお問い合わせ先
-
財団法人ライフ・プランニング・センター「新老人の会」事業部
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5砂防会館5F
TEL:03-3265-1907
FAX:03-3265-1909
ホームページ:http://www.lpc.or.jp/senior_soc/index.htm