第104回 医療のシステムをどう変えなくてはならないか(3)
教育現場から変える
医療は、医師中心から、複数の幅広い医療職者による総合的なチームによる作業に変わっているとお話ししました。
医師、看護師、薬剤師、理学療養士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなど医療に関係のあるさまざまの職種が、それぞれの大学や専門学校を卒業し、病院や特別養護老人ホームなどの施設で働くときに、そこではじめてチームをつくるのは遅すぎるのではないかという考え方が、この最近の数年前から問題としてあがっています。
現場の仕事に前に、事務職を含めての各種の職業人が、現場の仕事に就職する前の、その専門性を勉強するときに、チームになることはできないか検討されています。しかし教育現場では、最初から一緒になって学びをするのは大変難しい。そのためには多くの教育者、指導者が必要となるからです。
そんなとき多くの指導者がなくても、それができるのではないかという名案が出されました。それは不思議なことに、医師や看護師などの医療職ではない、医療と関係のない人が、新しい発想を出したのです。政治家が政治の専門家ですが、政治に関係のない国民の誰かが、すばらしい発想を出すことがあることと同じですね。新しい発想と協力を得られれば、さまざまなシステムがうまくつくられるという例です。
その名案ですが、Team Based LearningというものでTBLと略し、日本語では「チーム基盤型学習」といいます。学習をするときから一緒に授業を受けるものです。さまざまな学生、さまざまなプロフェッショナルが集まってくるのです。それには講義する人のとっては大変困難と思われるかもしれませんが、それが可能であるとかなり実証されています。
医師、看護師、薬剤師、理学療養士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなど医療に関係のあるさまざまの職種が、それぞれの大学や専門学校を卒業し、病院や特別養護老人ホームなどの施設で働くときに、そこではじめてチームをつくるのは遅すぎるのではないかという考え方が、この最近の数年前から問題としてあがっています。
現場の仕事に前に、事務職を含めての各種の職業人が、現場の仕事に就職する前の、その専門性を勉強するときに、チームになることはできないか検討されています。しかし教育現場では、最初から一緒になって学びをするのは大変難しい。そのためには多くの教育者、指導者が必要となるからです。
そんなとき多くの指導者がなくても、それができるのではないかという名案が出されました。それは不思議なことに、医師や看護師などの医療職ではない、医療と関係のない人が、新しい発想を出したのです。政治家が政治の専門家ですが、政治に関係のない国民の誰かが、すばらしい発想を出すことがあることと同じですね。新しい発想と協力を得られれば、さまざまなシステムがうまくつくられるという例です。
その名案ですが、Team Based LearningというものでTBLと略し、日本語では「チーム基盤型学習」といいます。学習をするときから一緒に授業を受けるものです。さまざまな学生、さまざまなプロフェッショナルが集まってくるのです。それには講義する人のとっては大変困難と思われるかもしれませんが、それが可能であるとかなり実証されています。
絆をつくる
医療チームをうまく運営して行くには、メンバーを結びつける「絆」が大切です。その絆をどのようにして結びつければよいのでしょうか。
たとえば、アルプスの標高の高い山に複数の登山隊で登ると、男性も女性も学生も年配の人も、足場を掘って、ザイルでみんなが結ばれていて、誰かが落ちそうになればみんなの力で支えます。なぜなら目標は一つだからです。
各々が山登りチームのことを考えながら、その目標に到達するために、最も安全で効果的で効率のよい方法を考えることこそが「絆」なのです。たとえば学問的な学会や研究大会など、大勢の人が1つのことを目的に1つの場に集まって一緒に考えることです。これはただ雑誌やインターネットの情報で判断するのではなく、さまざまな会合や分科会、パネルディスカッションに参加することによって、人と人との絆をつくることが可能になるのです。
今の日本の医療のシステムを批判し、これをどう変えなくてはならないかという新しい発想も、世界に広がりつつあります。
医療は医師から提供するだけという一方的なものではありません。しかし、世論は未だお医者さんが提供するものだと思っています。それを打ち消さなくてはなりません。医療は、専門職だけのものではなく、患者やその家族との共同作業なのです。患者や介護する人とも一緒になっているのだということを、専門職の間だけでなく一般の人にもそれを伝えなくてはならないのです。
たとえば、アルプスの標高の高い山に複数の登山隊で登ると、男性も女性も学生も年配の人も、足場を掘って、ザイルでみんなが結ばれていて、誰かが落ちそうになればみんなの力で支えます。なぜなら目標は一つだからです。
各々が山登りチームのことを考えながら、その目標に到達するために、最も安全で効果的で効率のよい方法を考えることこそが「絆」なのです。たとえば学問的な学会や研究大会など、大勢の人が1つのことを目的に1つの場に集まって一緒に考えることです。これはただ雑誌やインターネットの情報で判断するのではなく、さまざまな会合や分科会、パネルディスカッションに参加することによって、人と人との絆をつくることが可能になるのです。
今の日本の医療のシステムを批判し、これをどう変えなくてはならないかという新しい発想も、世界に広がりつつあります。
医療は医師から提供するだけという一方的なものではありません。しかし、世論は未だお医者さんが提供するものだと思っています。それを打ち消さなくてはなりません。医療は、専門職だけのものではなく、患者やその家族との共同作業なのです。患者や介護する人とも一緒になっているのだということを、専門職の間だけでなく一般の人にもそれを伝えなくてはならないのです。
(2013年5月20日)
■セミナーのお知らせ
【テーマ】 | 一般財団法人ライフ・プランニング・センター 第40回財団設立記念講演会 |
【プログラム】 |
講演1「21世紀型の”よく生きる”とは―グローバル個人主義―」講師:鈴木典比古先生 演奏「音楽療法士による演奏とセッション」林谷嘉子氏 講演2 「創めることは 生きかたを変えること」 講師:日野原 重明先生 |
【講師】 |
鈴木典比古(すずき のりひこ)先生(公益財団法人大学基準協会専務理事,前国際基督教大学学長。経営学博士。研究分野は国際経営論) 日野原重明(ひのはら しげあき)先生(聖路加国際病院理事長・同名誉院長。(財)ライフ・プランニング・センター理事長) 林谷嘉子(ピースハウス病院音楽療法士) |
【日程】 | 2013年5月25日(土)13:00〜16:15 |
【定員】 | 800名 |
【会場】 |
笹川記念会館 国際会議場 *都営浅草線・泉岳寺駅より徒歩5分 *JR田町駅より徒歩10分 |
【参加費】 |
1,000円 *事前に往復ハガキでの申し込み(5/15消印有効、ただし満席になり次第締め切り)。 |
【関連URL】 | http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm |
【主催・問い合わせ先(平日9:00〜17:00)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
■セミナーのお知らせ
【テーマ】 | 模擬患者ボランティア養成講座―入門講座 |
【プログラム】 | LPCと模擬患者についての基本的な理解「模擬患者ボランティアのQ&A」(講師:福井みどり) LPC模擬患者ボランティア活動の紹介他(講師:LPC模擬患者ボランティア) 看護教育における模擬患者の役割(講師:荒添 美紀) 医学教育における模擬患者の役割(講師:原田 芳巳) 模擬患者ボランティアの体験学習(講師:LPC模擬患者ボランティア) LPC模擬患者ボランティアになるために(講師:福井みどり) |
【対象】 | 一般(通学可能な方) |
【日程】 | 全2回 2013年5月24日(火)・31日(火) |
【定員】 | 30名 |
【会場】 |
砂防会館5階 (地下鉄「永田町駅」下車 徒歩4分) |
【参加費】 | 3,000円(LPC会員2,000円) |
【関連URL】 | http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm |
【主催・問い合わせ先(平日9:00〜17:00)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
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【テーマ】 | 介護サポーター養成講座〜こころまで届くケアを実践する日野原重明先生の理念とともに〜介護基本コース |
【プログラム】 | 開会挨拶(日野原 重明) 介護保険制度について(小原 和代) 加齢と疾病(高橋 理) 高齢者を取り巻く状況I 「高齢者がそのひとらしく過ごせる場所はどこか」(土本 亜理子) 高齢者を取り巻く状況II 事例を中心に(中島 真樹) 高齢者の栄養と食事(安藤 美智恵) 口腔内の健康管理(太田 勝美) 運動機能低下により起こる障害とその予防(関口 剛) 尿失禁の話(NPO法人日本コンチネンス協会コンチネンスアドバイザー) よりよい人間関係(水野 修次郎) 人間の尊厳と死に方―平穏死について(石飛 幸三) |
【対象】 | 一般(通学可能な方) |
【日程】 | 2013年6月11日(火)〜7月9日(火) |
【定員】 | 40名 |
【会場】 |
砂防会館5階 (地下鉄「永田町駅」下車 徒歩4分) |
【参加費】 | LPC会員・「新老人の会」会員:10,000円 非会員:13,000円 |
【関連URL】 | http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm |
【主催・問い合わせ先(平日9:00〜17:00)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
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【テーマ】 | 2013年カウンセリングセミナー(全2回)――アタッチメント(愛着)が人との関係に及ぼす問題点と改善法 |
【プログラム】 | ・アタッチメント(愛着)とは何か,心理的意味と人間関係への影響,アタッチメントの4つのタイプの特徴と現在の人間関係との関わり ・アタッチメントを健全にすることで人間関係の弱点を克服する方策,アタッチメントの段階と人との関係の改善の道 |
【対象】 | 一般(通学可能な方) |
【講師】 | 丸屋真也(IFM家族・結婚研究所 代表・相談室長。元(財)ライフ・プランニング・センター臨床心理ファミリー相談室室長。臨床心理学博士。牧会学博士。神学修士(Th. M)) |
【日程】 | 全2回 2013年6月21日(金)・7月19日(金) |
【定員】 | 50名 |
【会場】 |
砂防会館5階 (地下鉄「永田町駅」下車 徒歩4分) |
【参加費】 | 5,000円(LPC会員4,000円) |
【関連URL】 | http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm |
【主催・問い合わせ先(平日9:00〜17:00)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
■セミナーのお知らせ
【テーマ】 | LPC国際フォーラム2013――すべてのヘルスケア・プロフェッショナルのために より質の高い高齢者医療の実現を目指して"Toward high quality care in clinical geriatric medicine: The Next step" |
【プログラム】 | ●7月13日(土)9:30〜17:00 開会挨拶 講師:日野原重明 講演「高齢者医療の現状と将来構想」講師:迫井正深(厚生労働省) 講演「包括的高齢者医療の課題とその取り組み」講師:大内尉義(虎の門病院) 講演「 米国における高齢者医療:Palliative careの新たな展開」講師:Nathan Goldstein 講演「わが国のEOLにおける高齢者医療のこれから」講師:西川満則(国立長寿医療研究センター) 講演「わが国の高齢者におけるEOLケアのこれから―在宅を中心に」講師:西川満則(順天堂大学医学部附属練馬病院) パネル討論「 超高齢社会の終末期医療の課題と方策」パネリスト:迫井正深・大内尉義・ Goldstein・西川満則・西川満則 司会:道場信孝 ●7月14日(日)9:00〜12:30 講演「わが国の高齢者医療において遭遇する倫理的問題と対応」講師:会田薫子(東京大学大学院)・小坂陽一(東北大学病院) 講演「米国の高齢者医療における倫理的問題と対応」講師:Nathan Goldstein パネル討論「倫理的視点からみた高齢者医療の問題点と方策」パネリスト:会田薫子・小坂陽一・Goldstein 講演「ゆたかな高齢者医療の実現のためへの提言」講師:日野原重明 閉会挨拶 日野原 重明 |
【対象】 | 医師・看護師・教職者・福祉職・コメディカル・医療福祉領域のボランティア | 【日程】 | 1部:2013年7月13日(土)9:30〜17:00 2部:2013年7月14日(日)9:00〜12:30 |
【定員】 | 200名(定員になり次第締めきります) |
【会場】 | 聖路加看護大学アリス・セント・ジョン・メモリアルホール(東京都中央区) |
【参加費】 | 12,000円(LPC会員8,000円) |
【関連URL】 | http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm |
【主催・問い合わせ先(平日9:00〜17:00)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
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【テーマ】 | 自己管理とその実践への戦略5回シリーズ――中高年の健康管理に必要なスキルアップトレーニング |
【プログラム】 | バイタルサインのとらえ方(道場 信孝・石清水由紀子) 健康管理に役立てる栄養状態のとらえ方(平野 真澄) メンタルヘルスに関わる症状と家族の対応(福井みどり) 緊急時・急変時の対応―私たちにできること(聖路加国際病院救急部医師) 生涯にわたる健康の自己管理および高齢者の脆弱化(道場 信孝・日野原重明) |
【対象】 | 一般(通学可能な方) |
【日程】 | 全5回 2013年7月16日(火)〜7月30日(火) |
【定員】 | 50名 |
【会場】 |
砂防会館5階 (地下鉄「永田町駅」下車 徒歩4分) |
【参加費】 | LPC会員5,000円(介護サポーター養成講座の受講生は3,000円) 非会員 7,000円 |
【関連URL】 | http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm |
【主催・問い合わせ先(平日9:00〜17:00)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
■セミナーのお知らせ
【テーマ】 | 介護サポーター養成講座〜こころまで届くケアを実践する日野原重明先生の理念とともに〜介護技術コース |
【プログラム】 | 快適な住宅環境整備と福祉用具の活用(志垣 健一朗) 介護者のボディメカニクス(小沼 美奈子) 車いすへの移動の介護/車いすでの移動の介護(志垣 健一朗) 歩行介助・外出の介護(志垣 健一朗) 体位交換と衣類の着脱(村尾 逸子) 身体の清潔と入浴援助(村尾 逸子) 食事の介助・口腔ケア(上野 まき子) 排泄の援助 トイレ・おむつ(NPO法人日本コンチネンス協会コンチネンスアドバイザー) 施設見学(10月)聖路加国際病院・練馬キングス・ガーデン・ケア・アカデミー葉っぱのフレディ |
【対象】 | 一般(通学可能な方) |
【日程】 | 2013年9月3日(火)〜9月24日(火)・10月(日時未定) |
【定員】 | 25名 |
【会場】 |
砂防会館5階 (地下鉄「永田町駅」下車 徒歩4分) |
【参加費】 | LPC会員・「新老人の会」会員:10,000円 非会員:13,000円 |
【関連URL】 | http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm |
【主催・問い合わせ先(平日9:00〜17:00)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
- この連載に関するお問い合わせ先
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◆「新老人の会」に関するお問い合わせ先◆
財団法人ライフ・プランニング・センター「新老人の会」事業部
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5F
TEL:03-3265-1907
FAX:03-3265-1909
ホームページ:http://www.lpc.or.jp/senior_soc/ -
◆日野原重明先生が顧問をつとめている「NPO法人医療教育情報センター」に関するお問い合わせ先◆
医療教育情報センター事務所
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-27-16 ハイシティ代々木303
TEL:03-5333-0083
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