介護技術
トイレ介助の仕方を教えてください
82才の母(夫と実の娘夫婦が同居で在宅介護中)のトイレ介助で困っています。
母は認知症で、要介護度は4です。トイレに誘導しても、したいはずなのに「ここではできない、しない」と混乱してしまいます。混乱すると落ち着きがなくなり、対応が大変です。
また、夜はお漏らしが多くなり、オムツをはかせましたが、本人がオムツをずらしてしまい、トイレ以外の場所でしてしまいます。もらした後の処理に、父も私も疲れはてています。
母は認知症になって12年、途中同居7年です。3か月前から、施設の方に「混乱が多く、他の入所者の方に迷惑をかけるので対処してほしい」と言われ、精神科にかかり、お薬を飲みはじめました。
母は認知症で、要介護度は4です。トイレに誘導しても、したいはずなのに「ここではできない、しない」と混乱してしまいます。混乱すると落ち着きがなくなり、対応が大変です。
また、夜はお漏らしが多くなり、オムツをはかせましたが、本人がオムツをずらしてしまい、トイレ以外の場所でしてしまいます。もらした後の処理に、父も私も疲れはてています。
母は認知症になって12年、途中同居7年です。3か月前から、施設の方に「混乱が多く、他の入所者の方に迷惑をかけるので対処してほしい」と言われ、精神科にかかり、お薬を飲みはじめました。
なかこさん(女性)より
介護者は力を抜いて介助することが大切です。また、衣服なども工夫してみましょう
なかこさん、こんにちは。介護のソムリエ・てらこです。
さて、今回のご質問に関しては、コンチネンスジャパン株式会社にご勤務する皮膚・排泄ケア認定看護師の高崎良子さんに回答していただきました。
それでは、高崎さん、よろしくお願いします。
なかこさん、こんにちは。高崎ですよろしくお願いします。
さて、排泄ケアでご苦労の様子が目に浮かぶようです。12年間支えられてきたことを大事にするためにも、少し絡まった糸を1つひとつほどいていきましょう。
さて、今回のご質問に関しては、コンチネンスジャパン株式会社にご勤務する皮膚・排泄ケア認定看護師の高崎良子さんに回答していただきました。
それでは、高崎さん、よろしくお願いします。
なかこさん、こんにちは。高崎ですよろしくお願いします。
さて、排泄ケアでご苦労の様子が目に浮かぶようです。12年間支えられてきたことを大事にするためにも、少し絡まった糸を1つひとつほどいていきましょう。
身体の異常を確認する
まず確認していただきたいことは、お身体に異常がないかということです。お母様が不快な原因が、膀胱や尿道、腸、肛門などにあるのであれば、そちらの解決が優先です。
尿の方は、おしっこの時間、量、漏れ、飲水量を最低3日以上記録する“排尿記録”(図)をつけられるとベストですが、最低限1日の回数だけでも確認してみてください。正常は日中4〜8回程度、夜間は0〜1回程度です。これより回数が多いようでしたら、一度泌尿器科を受診して、治療できる可能性を含めてご相談ください。受診時は排尿記録と、具体的にお困りのことをメモしてお持ちになることをお勧めします。
便の方はいかがでしょうか? 便秘で苦しいとか気持ち悪い時に落ち着かなくなる方も多いようです。便が硬くて出にくいようでしたら、食物繊維や乳製品、発酵食品(キムチやチーズなど)、油脂類、水分などを多く摂るようにします。施設入所中でしたら、おやつに加えられるような乳酸菌飲料を用意しておくのもひとつです。食事での調整が難しいようでしたら、医師にお薬も含めて相談してみてください。
まず確認していただきたいことは、お身体に異常がないかということです。お母様が不快な原因が、膀胱や尿道、腸、肛門などにあるのであれば、そちらの解決が優先です。
尿の方は、おしっこの時間、量、漏れ、飲水量を最低3日以上記録する“排尿記録”(図)をつけられるとベストですが、最低限1日の回数だけでも確認してみてください。正常は日中4〜8回程度、夜間は0〜1回程度です。これより回数が多いようでしたら、一度泌尿器科を受診して、治療できる可能性を含めてご相談ください。受診時は排尿記録と、具体的にお困りのことをメモしてお持ちになることをお勧めします。
便の方はいかがでしょうか? 便秘で苦しいとか気持ち悪い時に落ち着かなくなる方も多いようです。便が硬くて出にくいようでしたら、食物繊維や乳製品、発酵食品(キムチやチーズなど)、油脂類、水分などを多く摂るようにします。施設入所中でしたら、おやつに加えられるような乳酸菌飲料を用意しておくのもひとつです。食事での調整が難しいようでしたら、医師にお薬も含めて相談してみてください。
ご本人の感覚と意志を活かす
次に重要なのは、お母様に「尿や便がしたい」という感覚と、「オムツで排泄したくない」という意志をお持ちだということです。これは大切なことです。これを活かさない手はありません。
1つは環境を整えることです。環境の変化によりトイレをトイレと認識できない可能性が考えられます。症状の変化と環境や心理的な変化のエピソードとの関連はございませんか? 使い慣れた御自宅のトイレと施設のトイレの形式や雰囲気の変化もあるかもしれません。可能な範囲で使い慣れた環境に近づける工夫はできませんか? ただ、他の利用者様もいらっしゃるので、お母様のためだけに変えることは難しいかもしれませんね。
排泄は、できれば人のお世話になりたくないことです。人が傍にいるとか、カーテンの仕切りで音や臭いが漏れる環境では、私たちでも出るものもひっこんでしまいますね。お母様のプライバシーが保たれ、安心して排泄できる環境やケアの仕方であるかどうかもご確認いただけるとよいと思います。
「見張っていないと汚してしまう」という心配もおありでしょう。ただ、そんな気配は認知症の方でも敏感に感じるものです。多少汚しても構わないように、何かを敷いておくとか、「汚れたら掃除すればいい」くらいの気持ちで関わってはいかがでしょう。大変ですが、その方が早道ということもあります。
次に重要なのは、お母様に「尿や便がしたい」という感覚と、「オムツで排泄したくない」という意志をお持ちだということです。これは大切なことです。これを活かさない手はありません。
1つは環境を整えることです。環境の変化によりトイレをトイレと認識できない可能性が考えられます。症状の変化と環境や心理的な変化のエピソードとの関連はございませんか? 使い慣れた御自宅のトイレと施設のトイレの形式や雰囲気の変化もあるかもしれません。可能な範囲で使い慣れた環境に近づける工夫はできませんか? ただ、他の利用者様もいらっしゃるので、お母様のためだけに変えることは難しいかもしれませんね。
排泄は、できれば人のお世話になりたくないことです。人が傍にいるとか、カーテンの仕切りで音や臭いが漏れる環境では、私たちでも出るものもひっこんでしまいますね。お母様のプライバシーが保たれ、安心して排泄できる環境やケアの仕方であるかどうかもご確認いただけるとよいと思います。
「見張っていないと汚してしまう」という心配もおありでしょう。ただ、そんな気配は認知症の方でも敏感に感じるものです。多少汚しても構わないように、何かを敷いておくとか、「汚れたら掃除すればいい」くらいの気持ちで関わってはいかがでしょう。大変ですが、その方が早道ということもあります。
トイレの使い方を再学習する
もう1つは、トイレで排泄することを再学習していただくことです。ケア者が使い方を見せたりしながら、何度も繰り返しお伝えします。ここで大切なのは、お母様にとってトイレ誘導が“ここちよい”ことでなければ拒否されてしまいます。ケア者との信頼関係が保てていることが大前提です。声掛けや表情はお母様にとってここちよいものでしょうか?
認知症高齢者のトイレ誘導の方法として、“排尿自覚刺激行動療法”という方法が成功率が高いといわれています。具体的には、お母さまの尿意の有無が合っていた時や、トイレでの排泄に成功した時は褒めて、その行動を強化します。失敗しても責めることなく、「次はこうしましょう」と伝えます。関わり方が人によって異なると認知症の高齢者は混乱してしまいますので、統一した関わりをするチームワークが大切です。
入所中なら、なおさらご家族だけで解決できることではありません。是非、施設の方とも相談してみてください。
もう1つは、トイレで排泄することを再学習していただくことです。ケア者が使い方を見せたりしながら、何度も繰り返しお伝えします。ここで大切なのは、お母様にとってトイレ誘導が“ここちよい”ことでなければ拒否されてしまいます。ケア者との信頼関係が保てていることが大前提です。声掛けや表情はお母様にとってここちよいものでしょうか?
認知症高齢者のトイレ誘導の方法として、“排尿自覚刺激行動療法”という方法が成功率が高いといわれています。具体的には、お母さまの尿意の有無が合っていた時や、トイレでの排泄に成功した時は褒めて、その行動を強化します。失敗しても責めることなく、「次はこうしましょう」と伝えます。関わり方が人によって異なると認知症の高齢者は混乱してしまいますので、統一した関わりをするチームワークが大切です。
入所中なら、なおさらご家族だけで解決できることではありません。是非、施設の方とも相談してみてください。
薬の影響
精神科のお薬を含め、血圧の薬など自律神経に作用するようなお薬を飲んでいる場合は、排尿障害に影響している場合もあります。受診時は、お薬またはお薬手帳を持参してみてもらってください。
精神科のお薬を含め、血圧の薬など自律神経に作用するようなお薬を飲んでいる場合は、排尿障害に影響している場合もあります。受診時は、お薬またはお薬手帳を持参してみてもらってください。
電話相談を利用しよう!
よろしければ、日本コンチネンス協会というボランティア団体で、排泄に関する電話相談を行っています。有志が時間をやりくりして行っているので、毎日ではありませんが、もう少し具体的に情報を確認しながら対応してもらえると思います。
相談電話:03-3301-0725
日本コンチネンス協会のホームページ
http://www.jcas.or.jp/
よろしければ、日本コンチネンス協会というボランティア団体で、排泄に関する電話相談を行っています。有志が時間をやりくりして行っているので、毎日ではありませんが、もう少し具体的に情報を確認しながら対応してもらえると思います。
相談電話:03-3301-0725
日本コンチネンス協会のホームページ
http://www.jcas.or.jp/