年間約5000名の新患者が発生するという脊髄損傷。
ここでは、その受傷直後から患者およびその家族がどのような思いを抱きながら治療に臨むのかを、時系列に沿ってご紹介します(執筆:丸山柾子さん)。
それに呼応する形で、医療関係者によるアプローチ、そして当事者の障害受容はどのような経緯をたどるのか、事例の展開に応じて、専門家が詳細な解説を示していきます(執筆:松尾清美先生)。
ここでは、その受傷直後から患者およびその家族がどのような思いを抱きながら治療に臨むのかを、時系列に沿ってご紹介します(執筆:丸山柾子さん)。
それに呼応する形で、医療関係者によるアプローチ、そして当事者の障害受容はどのような経緯をたどるのか、事例の展開に応じて、専門家が詳細な解説を示していきます(執筆:松尾清美先生)。
第37回 「第36回 私もこの人の環境の一つになろう」の解説
脊髄損傷の完全麻痺者は、下肢機能に障害が現れるので、足による歩行ができなくなります。また、丸山さんは頸髄を損傷したため、上肢にも障害があり、手動車いすを上肢で駆動して移動する力はわずかしかないのです。したがって、移動を自立するためには、ジョイスティックレバーを上肢でコントロールして操作する電動車いすを使うことになります。もし、丸山さんが上肢で電動車いすをコントロールできない場合は、顎で操作する「チンコントロールジョイスティックレバー」を使えば自立移動できると考えていました。
現在では、さまざまな電動車いすコントロール装置が販売されています。高位頸髄損傷者では、電動車いすを使わないと、介助者に押してもらって移動することになってしまうので、医療関係者や福祉関係者などの支援者は、電動車いすの種類や機能などの情報を知っておくことは大変重要です。
また、丸山さんが書かれているように、車いすのジョイスティックレバーの操作を継続して行うことで、上肢の筋力の増強や巧緻性の向上に大きな影響を及ぼし、パソコン操作や食事動作にも役に立ちます。そして、それらの動作ができるようになることで、自信も芽生えていきます。また、1日のほとんどを車いすで過ごすことになるので、居住性も重要です。体幹のバランスを保つためのバケットシートで、しかも圧迫感を感じさせないものであることが大切です。自身で身体の除圧ができないので、リクライニング姿勢をスイッチ操作で自立して変えられ、しかも安定感のあるものも必要です。
加えて、飛行機での移動も考えて、液が漏れない密閉式のバッテリーという条件で選定しました。選定された電動車いすは、自動車シートとして有名なレカロシートを装着した株式会社今仙技術研究所の電動リクライニング車いすが選択されました。この電動車いすで移動することができるように、ドアの広さやエレベーターの広さや自家用車の車種も決めていったのです。
また、手軽な車いすも必要ということで、軽くて電動にも手動にもなる簡易電動車いすも選ばれました。これを使って、後に右腕に力が戻ってきたとき、家の中を手動で動く練習ができたようです。移動手段がいつもあり、選択できるということがいかに大切であるかが記載されています。その点については、主治医のM先生が勧めた奥さんの運転免許取得でもよくわかります。本人の電動車いすや簡易電動車いすでの自立移動や介助移動に加えて、奥さんが自動車を運転して移動することで、外出の自由度を確保したのです。公共交通機関にはタクシーやバスがありますが、電動車いすではドアの狭さや段差などのバリアーがあり、乗りにくいため、自家用車を奥さんが運転すると、通勤や外出時のストレスが少なくなります。
主治医のM先生とは、奥さんの免許取得について、入院初期からその必要性について話していたことを思い出しました。丸山さんが奥さんの運転を心配されていることが書かれていますが、スタッフ間では奥さんがよく決心されたと感心し、賞賛していました。
現在では、さまざまな電動車いすコントロール装置が販売されています。高位頸髄損傷者では、電動車いすを使わないと、介助者に押してもらって移動することになってしまうので、医療関係者や福祉関係者などの支援者は、電動車いすの種類や機能などの情報を知っておくことは大変重要です。
また、丸山さんが書かれているように、車いすのジョイスティックレバーの操作を継続して行うことで、上肢の筋力の増強や巧緻性の向上に大きな影響を及ぼし、パソコン操作や食事動作にも役に立ちます。そして、それらの動作ができるようになることで、自信も芽生えていきます。また、1日のほとんどを車いすで過ごすことになるので、居住性も重要です。体幹のバランスを保つためのバケットシートで、しかも圧迫感を感じさせないものであることが大切です。自身で身体の除圧ができないので、リクライニング姿勢をスイッチ操作で自立して変えられ、しかも安定感のあるものも必要です。
加えて、飛行機での移動も考えて、液が漏れない密閉式のバッテリーという条件で選定しました。選定された電動車いすは、自動車シートとして有名なレカロシートを装着した株式会社今仙技術研究所の電動リクライニング車いすが選択されました。この電動車いすで移動することができるように、ドアの広さやエレベーターの広さや自家用車の車種も決めていったのです。
また、手軽な車いすも必要ということで、軽くて電動にも手動にもなる簡易電動車いすも選ばれました。これを使って、後に右腕に力が戻ってきたとき、家の中を手動で動く練習ができたようです。移動手段がいつもあり、選択できるということがいかに大切であるかが記載されています。その点については、主治医のM先生が勧めた奥さんの運転免許取得でもよくわかります。本人の電動車いすや簡易電動車いすでの自立移動や介助移動に加えて、奥さんが自動車を運転して移動することで、外出の自由度を確保したのです。公共交通機関にはタクシーやバスがありますが、電動車いすではドアの狭さや段差などのバリアーがあり、乗りにくいため、自家用車を奥さんが運転すると、通勤や外出時のストレスが少なくなります。
主治医のM先生とは、奥さんの免許取得について、入院初期からその必要性について話していたことを思い出しました。丸山さんが奥さんの運転を心配されていることが書かれていますが、スタッフ間では奥さんがよく決心されたと感心し、賞賛していました。