受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
ダイアログ・イン・ザ・ダーク
運営:ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン
まっくらやみで知る感覚の可能性――“障害”の概念を身体で考える
ダイアログ・イン・ザ・ダークは、1989年にドイツで始まった「まっくらやみのエンターテインメント」です。日本でも1999年から開催されています。先日、友人からの口コミで興味をもち、参加してきました。
私が参加したのは7人のグループ。そして、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)の案内・サポートのもと、暗闇の中へ入り、探検をしてきました。
スタート時にまず感じたのは、まっくらやみへの不安です。が、次第に、アテンドのサポートのもとで、私たち参加者は視覚以外の感覚を使うことをあらためて体感していきました。
手触り、匂い、音と声、地面を踏みしめる感覚、味と舌触り――視覚に頼った日常生活では得られない感覚を、数十分の暗闇の中で体験することになりました。
そしてまた、まっくらやみは、異なる環境、習慣をもつ人たちと出会う場でした。当たり前のことなのですが、暗闇の中でも、視覚障害者のアテンドの方たちはテキパキと動き、覚束ない足取りで進む参加者を頼もしくサポートしてくれます。
私たちが普段置かれている環境では、こちらがサポートする立場だと思っていたのが、闇の中では違ったのです。「障害は社会や環境がつくる」ということも、教科書を読んで頭では理解しているつもりでも、実際に不安のなかで支えてもらう立場になることで、身体を通して考えることができたように思います。
何も見えない闇の中では、一人では何もできません。コミュニケーションの大切さも普段以上に実感します。互いに声を掛けあうことによる心強さや、自分を支えてくれる相手の手の温かさも感じました。
今回参加したグループは、全員が一人での参加で、性別・年齢もバラバラの初対面同士だったのですが、このイベントを通し、あっという間に打ち解けました。もちろん、2人以上のグループでも参加できます。
ダイアログ・イン・ザ・ダーク――暗闇の中の対話。そのタイトルどおり、参加者は闇の中で、さまざまなものとの対話を体験します。介護の仕事をしている(目指している)みなさんも、このイベントを通して、自分自身や人、環境との対話をしてみてはいかがでしょうか。
(マヌルネコ)