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今月のおはよう21

おはよう21

介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。

関節リウマチ、心不全、糖尿病…状態の悪化を防ぐためには?
[特集記事から]

『おはよう21』2019年3月号から、特集(今すぐ点検! 疾患別のケア○と× 状態の悪化を防ぐために)の内容を一部ご紹介いたします。


I 疾患や障害の特性を理解する

利用者が抱える疾患や障害の特性を把握する

 要介護状態にある利用者が、なぜ介護を必要とするようになったのか。当然ですが、その原因は利用者一人ひとり異なります。たとえ同じような立ち上がりの介助が必要であっても、介助が必要となった原因は異なるのですから、介助方法もそれに合わせて、一人ひとり変えていく必要があります。

 介護職は、介護を行うにあたって、アセスメントを通じて、多くの情報収集を行います。そのため、利用者のさまざまな情報を知っていると思います。しかしその情報の多くは、利用者の生活背景(生活歴、家族歴、趣味・嗜好など)に関するものではないでしょうか。介護を行っていくうえで役立つ重要な情報であることは間違いありませんが、生活背景に問題があったからといって、それが要介護状態を招いた原因となることはまず考えられません。

 では、要介護状態になる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。大きくは次の3つに分けられます。

  • ①けがや疾患などはないが、加齢によって身体機能が低下した
  • ②慢性、もしくは進行性の疾患によって身体機能が低下した
  • ③けがや疾患により何らかの障害を有して身体機能が低下した

 皆さんは、今自分がかかわったり、担当したりしている利用者について、①~③のどれが原因で介護を受けることになったのかをしっかり把握していますか。また、その原因に応じた介護ができていますか。

 もし既往歴や現病歴がスラスラと出てこないようであれば、「介護を受けることになった原因を理解しないまま介護を行っている」といわれても仕方がないと思います。

生活支援の意味を考える

 私たちが行う介護の仕事は、よく「生活支援」といわれます。だからこそ、私たちは「生活」のもつ意味を考え続けていく必要があると思います。

 生活は「営む」ものです。「営む」という言葉には、「継続する」という意味が込められています。ですから、私たちが行う介護も、場面ごとの介助にとどまるのではなく、「利用者の生活が少しでもよい状態で継続できるように支える」ことが必要です。

II 疾患別 やってはいけないケアと改善ポイント

1 関節リウマチ

疾患の特徴

 関節リウマチの特徴は、①進行性であること、②全身症状がみられること、③両側で対象に起きることの3つです。発熱や倦怠感などの全身症状をはじめ、血管炎や腎障害などを引き起こすケースや、第一頸椎と第二頸椎の間の関節(首の付け根)が変形、脊髄を圧迫し、手足の麻痺や呼吸を引き起こして、生命予後に影響を及ぼすケースもあります。また人によって症状の進み方にも差があります。

症状:関節に炎症が生じ、痛みや変形が現れる

 初期症状として、朝起きたときに手指や手首、足指や足首など末端の関節にこわばりや腫れ、痛みが感じられます。これは関節に炎症が生じていることが原因であり、進行するにつれて、徐々に関節が破壊され、変形も見られるようになっていきます。

 その後、末端の小さな関節から、肘や膝、股関節などの大きな関節にまで炎症が波及していきます。手足の関節に痛みや変形が生じると、食事や排泄、着替えなどの日常生活動作、家事や趣味などの日常生活関連動作、さらには鼻をかむなどの些細な動作にまで制限をきたすようになります。

治療:薬物による早期治療が有効

 近年では治療薬の開発が進み、リウマチの進行を止めることが可能となりました。薬物療法を活用するためには、症状が進行する前に早期治療を開始することが必須です。

 薬物療法では、抗リウマチ薬のほか、必要に応じて炎症や痛みを抑える薬を併用します。メトトレキサートは、抗リウマチ薬のなかでも効果が高く、第一選択として使用されるようになってきました。それでも十分な効果が見られない場合には、「生物学的製剤」が用いられます。

 関節の変形が進行していた場合、完全に元の状態に戻すことはできません。しかし、そのような場合でも、環境の工夫や適度な運動、そして適切な介助をすることで、炎症や痛みを軽減することができます。

生活上の留意点:精神面への配慮が必要

 一度変形した関節を完全に治すことは難しいため、関節リウマチをもつ人の多くは、大なり小なり疾病と共存して生きていかざるを得ません。そのため、症状の進行に対する恐怖や生活機能の低下への不安、さらには社会的役割や生きがいの喪失など、精神的な負荷が大きいといえます。抑うつ状態に陥ることもあるため、精神面への配慮が必要です。

 関節リウマチが進行すると、首の付け根の骨である第一頸椎と第二頸椎をつなぐ靭帯が緩みます。そのため、起き上がり介助の際、後頭部のみを支えるなど首を前屈させる力が加わると、2つの頸椎の間の関節(環軸関節)の亜脱臼(部分的なずれが生じた状態)を引き起こしてしまいます。亜脱臼を起こすと、脊髄を損傷する恐れがあり、手足の麻痺や呼吸障害、嚥下障害などを招く危険性があります。


改善ポイント◯:まずは寝返りの介助を行い、身体を横向きにする

 起き上がり介助の際には、まず仰向けの状態から起き上がる側へと、横向きにする寝返りの介助を行います。次に、膝から下をベッド端から下ろします。このとき、頭部ではなく、左右両方の肩甲骨の後ろから包み込むように腕を通して支えると、環軸関節の亜脱臼を予防することができます。

 起立・移乗介助の際、本人に介助者の腰回りの衣類を握らせる場面をよく見かけます。しかし、手指や手首など、手先の関節に痛みや変形が生じてくると、握る力が弱くなるため、そのような方法をとることは厳禁です。


改善ポイント◯:握るのではなく、「面で支える手」をつくる

 握力が弱い人でも、安定して身体を支えるためには、握るのではなく、「面で支える手」を利用します。具体的には、指を可能な範囲で伸ばし、手のひらで車いすの肘かけやベッド柵を下方向へ押すようにします。またテーブルを用意し、前腕の広い面で支えながら立つのもよいでしょう。

 そのほか、介助者がなるべく低い姿勢をとり、手や肘ではなく、骨盤を下から支えるようにして誘導すると、手先への負担を軽減できます。

 左右いずれか一方の手足ばかりを使用して過剰な負荷がかかると、痛みや変形を助長する原因となります。


改善ポイント◯:左右の手足にかかる負荷を同程度にする

 日常生活のなかで左右の手足にかかる負担は、できる限り同程度となるよう配慮しましょう。たとえば、食事や歯磨きなどの手を使う場面では、利き手が右手の利用者であっても、左手も使うように促します。その日、そのときの痛みの状態に応じて適宜使い分けるようにしましょう。

 また、起立動作や立位保持などの場面においても、左右どちらかの脚だけに負荷が偏らないよう介助します。

 こうした対応を意識的に行っていくことが、手や足の関節を保護し、機能を維持することにつながっていきます。

執筆(該当箇所):田中義行(株式会社大起エンゼルヘルプ 理学療法士、事業部長補佐)、山崎隆博(医療法人崇徳会 田宮病院 理学療法士)

以上は、『おはよう21』2019年3月号の特集「今すぐ点検! 疾患別のケア○と× 状態の悪化を防ぐために」の一部です。このほかにも下記のような内容を解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。

【特集】今すぐ点検! 疾患別のケア○と× 状態の悪化を防ぐために

II 疾患別 やってはいけないケアと改善ポイント

  • ・関節リウマチ
  • ・変形性関節症
  • ・脊柱管狭窄症
  • ・骨粗鬆症
  • ・心不全
  • ・糖尿病
  • ・脳血管疾患
  • ・パーキンソン病

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