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今月のおはよう21

おはよう21

介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。

リーダーに求められる大切な役割とは(特集より)

 『おはよう21』2019年1月号から、特集(“困った職員”が変わる 介護リーダーの対話スキル)の内容を一部ご紹介いたします。

大切なのは自分に自信をもつこと

 スタッフがいつまでたっても自分の仕事に自信がもてないのは、自分のやっていることに対して「これでいいのだ」という確信がもてないことが要因です。

 自信がもてないと、自分で考えて行動しなくなり、誰かの指示がないと動けず、指示されたことしかやらなくなってしまいます。また、自分の行ったことが成果としてすぐにわかれば、仕事のやりがいを感じやすいですが、介護現場の場合、利用者の状態は毎日大きく変わるわけではありません。

 だからこそ、リーダーからの日々の声かけが大切です。自分が認められたと思える声かけがあれば、スタッフもモチベーションが高まります。

 リーダーのもっとも重要な役割は、前述のとおり、利用者の代弁者となることです。そのためには、リーダー自身に時間的・精神的な余裕が必要です。リーダーが目の前のことに「いっぱいいっぱい」になっていては、代弁者にはなれません。

スタッフに変化を起こすコミュニケーション

 「権利ばかり主張するスタッフがいて困っている」「仕事ができないスタッフがいて困っている」「何度注意しても同じ失敗を繰り返すスタッフがいる」…。リーダー向けの研修を行っていると、リーダーの皆さんのさまざまな悩みを耳にします。

 これらの内容に「自分も経験がある」と共感するリーダーも多いかもしれません。では、そんな困ったスタッフに対して、あなたは「私は正しいことを言っている! あの人が間違っているんだ!」と考えていませんか。

 実は、あなたが正しいことを言っていたとしても、それを受け取る側とあなたとの間に信頼関係がなければ、伝えたいことを受け取ってもらえません。

 スタッフが「安心・安全」と感じられる環境を整えることは、リーダーシップの一つだと思います。安心できる相手に対しては、信頼して本音を言うことができ、それによってコミュニケーションの質が変わっていきます。

 「信頼感」という言葉があります。初めて会った人でも、「あぁ、この人は信頼できるな」「この人の言うことは信じられるな」という感覚です。

 「信頼感」の反対は「不信感」ですが、お互いの関係性をつくるためには、この「信頼感」と「不信感」が影響します。そして、その背景には「意識的」か「無意識」かということも関係します。無意識というのは、「直感」で感じることです。初めて会った人に対して、「この人は安全だ」「この人は安心だ」「この人は危険だ」「この人は怪しい」といったことを思うのは、無意識下の直感です。

 実は、「信頼感」も「不信感」も直感です。人間の感情と思考でいうと、感情のほうが強力・優位になります。「好き」と「嫌い」は、「信頼感」=「好き」、「不信感」=「嫌い」になります。

 相手に「信頼感」をもつと、「好き」という感情(好感)を抱き、「不信感」を抱くと、相手に「嫌い」という感情(嫌悪)が無意識のなかではたらきます。そうすると、感情と紐づけられている意識がはたらき、「好き」は「正しい」、「嫌い」は「正しくない」「間違い」といった思考が出てきます(図1)。

 人は、「好き」という感情をもったら、その人が言うことは「正しい」ととらえるようになります。しかし、「嫌い」という感情をもった途端、いくら正しいことを言っても、それは「正しくない」「間違い」になります。

 したがって、リーダーがどれだけ正論を言ったとしても、スタッフがリーダーに対して、「信頼感」と「不信感」のどちらをもっているかによって、受け取り方がまったく変わってしまいます。

 人は、正しいことを言う人に従うのではありません。好感をもてる人、信頼できる人についていこうと思うのです。


肯定的なコミュニケーションをとる

 現場のスタッフに、リーダーのどんなところを直してほしいかと聞くと、「何を言っても、何をしてもすぐに否定してくるところ」という声が多く聞かれます。

 スタッフがアイデアを出しても、リーダーが「それは無理だよ」と否定する。スタッフが掃除をしていても、「そのはき方じゃきれいにならないよ」と頭ごなしに否定される…。

 リーダーからは、「だって、スタッフの言っていることがおかしいから」という声が聞こえてきそうです。しかし、スタッフと信頼関係を築くためには「〇〇さんは、そう思っているのだ」「そういうふうに考えているのだ」という肯定的なとらえ方が必要なのです。

 「スタッフの言うことを全部肯定なんてできませんよ」と言うリーダーがいますが、すぐに否定するのではなく、まず肯定してから自分の意見を言うようにすれば、コミュニケーションの質は違ってきます。「〇〇さんはそう思っているのだ。私はこう思うよ」という肯定的なコミュニケーションをとることによって、少しずつスタッフとの信頼関係が構築されていきます。

 人は肯定されたときに初めて、変化する余裕が生まれます。あなたのチームにいる「困ったスタッフ」が自らを改善していくことは、残念ながらほとんどありません。あなたがコミュニケーションのとり方を変えることで、スタッフも変わるのです。ぜひ、あなたが変わることでスタッフに変化を起こしてください。

執筆:三田村 薫  
コミュニケーションオフィス 3 Sun Create
プロフィール:
2003 年に介護支援専門員の資格を取得。対応が難しいといわれるケースを多数担当。この経験から、利用者だけでなく、スタッフ同士のコミュニケーションの大切さを痛感し、コーチングの研修を開始する。豊富な実践を交えた参加型研修が特徴の「人気介護士」養成コーチとして活躍中。コーチングや NLP(神経言語プログラミング)、心理学をベースとして介護リーダー養成講座を全国で実施している。

 以上は、『おはよう21』2019年1月号の特集「1リーダーに求められる大切な役割とは?」の一部です。このほかにも下記のような内容を解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。

特集 ”困った職員”が変わる 介護リーダーの対話スキル

  • 1 リーダーに求められる大切な役割とは?
    職員を教育する役割のリーダーは、どんな意識をもって、どのようにスタッフと
    関わればよいのか? 具体的なポイントを解説。
  • 2 場面別 ”困った職員”への対話スキル
    • ・簡単に「辞めます」を連発するスタッフ
    • ・何事にも否定的・批判的なことばかり言うスタッフ
    • ・自分のやり方に固執し、やたらと口出しするベテランスタッフ
    など7つのケースについてリーダーの対応を解説

『おはよう21 2019年1月号』
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  • けあサポでは今後、中央法規出版発行の月刊誌『おはよう21』『ケアマネジャー』について、最新号のお知らせや、介護現場の皆様に役立つ記事の公開をしてまいります。