今月のおはよう21
介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。
見直そう! 介護現場の「なぞルール」 ケアと職場環境を改善するポイント
『おはよう21』2025年1月号から、特集(見直そう! 介護現場の「なぞルール」 ケアと職場環境を改善するポイント)の内容を一部ご紹介いたします。
どんな職場にも、根拠や理由は明確ではないけれど、当たり前のように行われている「暗黙の決まりごと」があります。
現場によい影響を与えるならば問題ありませんが、逆に、ケアの質や職員の働きやすさを下げていることが少なくありません。
本特集では、それらを「なぞルール」と名づけ、現場でよくあるものを示していきます。
介護現場の「なぞルール」を見直そう
認知症の利用者が暴力的になっても、やさしく接する
なぞルールによる弊害
新人の定着が難しくなる
利用者への接し方や声のかけ方などのケア技法が職場内で検討・共有されないまま、やってはダメなことだけが決まっている現場があります。
ここに挙げた「認知症の利用者が暴力的になったとしても、やさしく接する」はその一例です。
しかし、具体的な対応方法が示されなければ、職員は「結局どうすればよいの?」と悩み、離職すら考えるようになります。
特に、新人職員の定着率が低くなるという大きな課題が生じるのです。
メンター制度などを取り入れている施設もありますが、職場としての対策が示されていなければ、メンターの先輩は、「私はこう対応している」と個人的な経験をもとに伝えるだけで、他の先輩から違う対応を伝えられて混乱することもあります。
職員がモヤモヤした気持ちやストレスを抱えていると、不適切なケアにつながるリスクがあります。
解決のヒント
介護手順書を作成する
職員が疑問やモヤモヤを感じたら、そのままで終わらせないことが大切です。
チームメンバーがそれぞれ行った対応について、ミーティングなどで議論したうえで、その結果として決まった対応を記録に残します。
たとえば、「Aさんは、記憶・認知機能の障害により、状況を理解することが難しい。
質問を多くすると、混乱や不安が強くなり、『怒り』の反応が出てしまうことが考えられる。
状況を正しく伝えながら、『~でいかがですか』と同意を得るように声かけをする」などとまとめて、職員同士で共有しましょう。
さらにいえば、こうした内容を介護手順書としてまとめ、統一した対応ができるようにしたいものです。
利用者への食事提供は配膳の順番が固定されている
なぞルールによる弊害
決められたことだけを行動するスタッフが増える
「Aさんは食事を出すとすぐにかきこむように食べてしまい、配膳中なので見守りができなくなる」「Bさんは誰かの後だとイライラするから、最初に配膳する」など、現場の経験をもとに、配膳の順番が固定されている場合があります。
決まったとおりに行うというのは、一見すると楽だと思われがちですが、理由を考えないコミュニケーションやかかわりが続くと、「何であの人ばかりがいつも先なの!」といった利用者の不満につながることがあります。
対応として間違いというわけではありませんが、「なぜそうしているのか」という視点をもっているかどうかが大切です。
その視点がなくなると、「Aさんには先に食事を出さない」「Bさんから出すこと」など、職員都合の「なぞルール」に変化するのです。
さらに、「なぜ?」を考える思考がなくなると、流れ作業のような介助が増えて、利用者の個別性に配慮した生活の場づくりが崩壊してしまうかもしれません。
解決のヒント
「利用者中心のケア」を大切にする
食事を出す順番が決まっているのには、明確な理由があるでしょうか。
「食事に時間がかかる利用者だから、先に配膳する」など、理由があるのであれば、それを職員間でしっかりと共有する必要があるでしょう。
もし利用者から「自分はいつも後回しにされている」といった不満が出たら、配膳の順番を守ることに固執せず、「すぐに出しますね」などと話し、臨機応変に対応することも大切です。
食支援は、利用者の自立と健康、そして「食」に対する喜びを提供することが目的です。
利用者の満足度や要望を定期的に確認し、安全面にも十分に配慮したうえで、食事内容
や提供方法に反映させるしくみを考えたいものです。
続きは本誌でご覧いただけます。
- 執筆 井戸和宏 株式会社IDO 代表取締役
以上は、『おはよう21』2025年1月号の特集の内容の一部です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。
特集
見直そう! 介護現場の「なぞルール」 ケアと職場環境を改善するポイント
- 1 「なぞルール」をチェックしてみよう
- 2 介護現場の「なぞルール」
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