露木先生の受験対策講座
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- プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)
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社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。


第31回 クローズアップ~障害者に対する支援と障害者自立支援制度
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)
本法における、障害者とは、「身体障害者福祉法に規定する身体障害者、知的障害者福祉法にいう知的障害者のうち18歳以上である者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する精神障害者(発達障害者支援法に規定する発達障害者を含み、知的障害者福祉法にいう知的障害者を除く)のうち18歳以上である者並びに治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者(いわゆる難病等)であって18歳以上であるものをいう」 (第4条)とされています。よって、障害者総合支援法は、障害者を、「身体障害者」「知的障害者」「精神障害者」の3障害に加え、「難病等」を包括するものとして捉えることがわかります。
障害者総合支援法は、2005(平成17)年11月に制定された障害者自立支援法が、地域社会における共生の実現に向けて、障害福祉サービスの充実等障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための新たな障害保健福祉政策として、2013(平成25)年4月1日より「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」に変更されたものです。
その第1条では、
「障害者基本法の基本的な理念にのっとり、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、児童福祉法その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする」
と規定しています。つまり、障害者(児)が地域社会で暮らせる「自立」と「共生の社会の実現」を目指すことを目標としています。
概要を簡単に解説しておきますと、ここでいう障害者および障害児が日常生活または社会生活を営むための支援とは、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念を基礎としています。
よって、すべての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、すべての障害者および障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活または社会生活を営むための支援を受けられることにより、社会参加の機会が確保されることおよびどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保されるとしています。さらに、これにより、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと並びに障害者および障害児にとって、日常生活または社会生活を営むうえで障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資することを旨として、総合的かつ計画的な支援の実現を大きな目標としております。
つまり、障害者自立支援法は、「自立」について着目しているのに対し、障害者総合支援法は、「自立した」という表現から「基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい」に改めるなどの変更点があります。
以上が、障害者総合支援法の概要ですが、これに関連して、「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」と、「障害者虐待防止法(障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律)」については、障害者の権利擁護や共生社会の実現といった、本法の理念・目的に関係する法律ですので、必ずチェックしておいてください。
以上、「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」の解説でした。
この時期を乗り越えよう!
社会福祉士の国家試験勉強は、合格を目的とするものですが、社会福祉士という国家資格は、自身の生活や仕事における向上だけでなく、社会とどのように付き合い、社会にどのように参加、貢献していくかを考えさせてくれますね。
国家試験勉強は、今が一番大変な時期かもしれません。焦るし、できないし、わからないし…。でも、この時期を乗り越えられるかどうかが、合否の分かれ目だと思います。
最後の最後まで、一緒に頑張りましょう。
次回は、「クローズアップ~低所得者に対する支援と生活保護制度」です。
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