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露木先生の受験対策講座

毎週火曜日更新。人気講師による受験対策講座を、一年通してご提供。合格を目指して一緒にがんばりましょう。
露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第32回 クローズアップ~低所得者に対する支援と生活保護制度

生活保護の相談・申請及び不服申立て(審査請求)

 次に、生活保護を受けるまでの相談と申請、さらに不服申立てについて整理します。本項目については、「保護申請時における生活保護の原則に基づく制度運用」や「不服申し立て(審査請求)」に関する知識が事例問題で出題される可能性があります。そのために、まずは基礎からきちんと整理しておきましょう。

(1)相談・申請

 まず、保護の相談と申請についてですが、生活保護は、要保護者、つまり生活困窮者の相談および申請によって開始されます。そういった意味では、パワーレス状態の場合で、自ら申し出る能力がない人は扶助を受けられない可能性があります。実際、自分から訴えることのできない要保護者が自宅で亡くなっているといった新聞記事などをよく目にします。

 そのため、地域生活を支援する専門員として、民生委員などが代わりに必要性を役所に申し出るような「職権による申請」もあります。ソーシャルワークの専門用語でいいますと、こちらから出向くかたちの支援法「アウトリーチ」や、声を出せない人々の声を反映させる「アドボカシー」といった機能が求められます。

 申請者は、本人や扶養義務者、同居の親族です。申請すると、被保護者の権利と義務などについての説明が行われたうえで申請が受理され、一週間以内に訪問調査(実地調査)が行われます。さらに、補足性(生活保護法第4条)の要件を満たしているかといった資力調査が行われます。内容としては、預貯金・保険・不動産の資産調査、扶養義務者による扶養の可否の調査、年金等の社会保障給付や就労による収入の調査、就労の可能性などです。これらは、ミーンズテストと呼ばれます。しかし、権威的に調書をとるような聞き取りをして要保護者のプライドを傷つけることや、スティグマに対する配慮などが必要です。その後、保護の要否判定が行われ、保護の決定がなされます。

 相談から申請、保護決定までの流れを少し整理しておきましょう。

 まず、保護の開始の申請は、要保護者やその扶養義務者またはその他の同郷の親族が、保護を受けようとする理由、資産・収入の状況など、保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な事項を記載した申請書類を提出します(申請保護の原則:同法第7条)。次に、保護の実施機関は、保護開始または保護変更の申請があった時は、その申請書類を受理した日から一週間以内に訪問し、実地調査を行った上で、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、その決定の理由を附した書面で通知しなければいけません。そして、この決定通知は、申請のあった日から14日以内に行うことが原則とされており、扶養義務者の資産及び収入の状況の調査に日時を要するなどの特別な場合は、30日まで延長できることとなっていますが、決定通知書に理由を明示しなければなりません。また、30日以内に通知がない時は、申請が却下されたとみなされることができます。


(2)不服申立て(審査請求)

 保護実施機関が行った保護の申請棄却や、保護の変更、保護の停止・廃止に関する処分などに不服がある者は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に都道府県知事に対して審査請求を行うことができます。

 次に、審査請求を受けた都道府県知事は、処分が違法または不当でないかについて審査した上で、50日(第三者機関による諮問がある場合は70日)以内に採決を行います。なお、審査請求を行って50日以内に都道府県知事の採決がなかった時に、審査請求人(処分に不服がある者)は、その請求が棄却されたとみなすことができます。

 さらに、都道府県知事が行った採決に不服がある者は、採決があったことを知った日の翌日から1か月以内に厚生労働大臣に対し、再審査請求を行うことができます。なお、再審査請求があった時は、厚生労働大臣は70日以内に採決をしなければなりません。

 最後に、行政の行った処分に不服がある者は、(1)不服申立て(審査請求)と、(2)直ちに出訴(行政訴訟)を選択することができますが、裁判所の負担等を勘案し、(1)不服申立て(審査請求)を行った後でなければ、提起することができない((2))とする「審査請求前置」という仕組みがあります。そして、この生活保護法に関する処分については、例外を除き、この「審査請求前置」の対象となっており、処分についての審査請求((1))に対する都道府県知事の採決を経た後でなければ提起することができません。

 以上、不服申し立てについては、以上のようなプロセスがあります。日数や申立て先については、もう一度整理しておいてください。

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