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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第10回 「社会保障」のポイント

 さて、今回は、「社会保障」の具体的な内容、ポイントについて解説していきたいと思います。今回も、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが示す出題基準に即した内容で整理していきます。

本科目のねらい

 本科目の出題基準によると、大項目として、1.現代社会における社会保障制度の課題(少子高齢化と社会保障制度の関係を含む。)、2.社会保障の概念や対象及びその理念、3.社会保障の財源と費用、4.社会保険と社会扶助の関係、5.公的保険制度と民間保険制度の関係、6.社会保障制度の体系、7.年金保険制度の具体的内容、8.医療保険制度の具体的内容、9.諸外国における社会保障制度の概要の9つがあげられています。

第33回試験をみてみると…

 本科目は、社会保障費用に関する統計問題から始まり、我が国の社会保障制度の歴史的展開や、年金保険(遺族年金)、医療保険など基礎的な内容が問われています。ただし、基礎といっても、各保険の詳細に関する知識が問われています。また、事例問題は、例年2問程度出題されており、第33回試験では、労災保険に関する事例問題(問題52)、社会保障給付等に関する事例問題(問題54)が出題されました。後者の社会保障給付等については、年金保険、雇用保険、家庭手当などの横断的な知識が必要となりました。また、社会保障を支える人口動態に関する統計問題(問題49)や、社会保障の役割と機能に関する基礎的な問題(問題50)が出題されました。こちらの二つは、本科目を理解するための導入的な内容です。過去の問題の解説などをベースに整理しておきましょう。もちろん、例年出題されている医療保険制度(問題51)、年金保険制度(問題55)からの出題もありました。

 今後も、事例問題に関しては、制度の基本的な内容を押さえたうえで、それを実例として応用する力が試されます。本科目で出題される事例は、社会福祉士になった時、必ず必要になる知識です。社会保障が苦手だという方もいらっしゃるかと思いますが、社会福祉士として相談援助をするときに避けては通れない内容です。
 本科目の事例問題を解くコツとしては、基礎をしっかりと理解しているか、そしてそれが応用できるかであり、用語や社会保障の構造がしっかりと整理・理解されていることが重要です。加えて、ほかの人に解説できるぐらい理解が深まっていると完璧です。
 では、出題基準で取り扱われる9つの項目をもとに整理していきます。

各項目の詳細について

1.現代社会における社会保障制度の課題
(少子高齢化と社会保障制度の関係を含む。)

 本項目では、少子高齢化と社会保障制度の関係についての理解が重要となります。具体的には、1)人口動態の変化、少子高齢化、2)労働環境の変化です。

 少子高齢化は、人口構造を3つに区分した場合の年少人口(0~14歳)の全体の人口に占める割合が減少していく現象と、老年人口(65歳以上)の全体の人口に占める割合が増加する現象をいいます。このあたりの人口動態の変化については、テキストワークブックなどで必ず学習しておいてください。

 例えば、戦後直後の1950(昭和25)年の人口割合をみてみると、年少人口(0~14歳)は35.4%、つまり日本の人口の約3人に1人が子どもだったことになります。では、そのときの老年人口(65歳以上)はというと、たった4.9%です。もっとわかりやすく言うと、もし日本が100人の村だったら、100人中子どもは35人、高齢者は5人ほどの村だったことになります。

 それが、1970(昭和45)年には、子ども(年少人口)が23.9%、高齢者(老年人口)が7.1%となりました。老年人口が7%を超えた社会を「高齢化社会」といいます。その後、1994(平成6)年には、老年人口が14%を超え、いわゆる「高齢社会」へと突入します。さらに、1997(平成9)年には、老年人口と年少人口の比率が逆転します。2005(平成17)年には、年少人口が13.8%、老年人口が20.2%となり、諸説ありますが、老年人口が人口の20%を超え、「超高齢社会」となりました。前述の1950年と同様に、もし日本が100人の村だったら、現代の社会(2019(平令和元)年)は、100人中子どもは12(12.1%)人、高齢者が28(28.4%)人の村になったわけです。残りの15歳から64歳までの60(59.5%)人が生産年齢人口、つまり統計上、働き、日本を支える人口です。ちなみに、2019年の合計特殊出生率(一人の女性が一生のうちに産む平均子ども数)は、1.36となっています(4年連続で低下しています)。

 余談ですが、現在、政府は「(国民)希望出生率」を掲げ、その数値を「1.8」としています。この「(国民)希望出生率」とは、「国が望む出生率」ではなく、「国民の希望が叶った場合の出生率」とされています。

資料:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」
   出生中位・死亡中位推計を基に作成

 では、このような社会の現象は、未来を展望した場合にどのような問題があるのでしょうか? それは、この科目の「社会保障」と大きく関係しています。なぜなら、社会保障(社会保険)は、国民の保険料と国庫(税金)を中心として制度が運用されていますので、保険料や税金を納める若者の数が減少し、医療や年金、介護などの保障を受ける可能性が高い高齢者の数が増えるということは、それだけ働く人(世代)の負担が今後一層増していくということを示します。このようなことから、現在日本では、社会保障制度(社会保険制度)を抜本的に見直しており、国会等において社会保障と税の一体改革が進められているわけです。

 以上のことからもわかるように、この項目では、人口構造や人口動態の変化、少子高齢化の現状と課題の整理、労働環境の変化などについてよく理解しておく必要があります。トピックスとしては、出生数が、平成28年度は100万人を下回っているということです。

 第32回、第31回試験では直接は問われませんでしたが、第33回試験では、問題49で日本の人口については、総人口、高齢化率、合計特殊出生率、平均寿命など人口動態に関する幅広い統計データから出題されました。また、第30回試験では、問題49で「高齢化」について、厚生労働白書より出題されています。また第28回試験では、問題49で「人口推移(総務省)」における年齢別の人口について問われています。設問で「全国でみると、65歳以上の人口の割合は、年少人口の割合の二倍を超えた」とありますが、日本の総人口1億2708万3000人のうち、65歳以上の老年人口は3300万人で、一方0歳から14歳までの年少人口は1623万3000人であり、つまり、この設問は「正答」となります。また、第26回試験では、問題49で「人口動態」に関する問題が問われています。統計資料としては、「日本の将来推計人口」「簡易生命表」「日本の地域別将来推計人口」「人口動態統計」です。

 このほか、関連する項目としては、第29回試験で「社会保障費用統計」から、具体的な数値が問われています。設問の文章を借りながら少し説明すると、社会保障費の財源は、社会保険料の割合(54.7%)が最も多く、次いで公費負担(38.0%)となっています。また、社会保障給付費の対国内総生産費は20%を超え22.16%となっており、部門別社会保障給付費の対国内総生産費を見ると、年金が最も多く、次いで「医療」「その他の福祉」となっています(いずれも2018(平成30)年のデータ)。

 次に、これらに関連して、労働環境の変化について整理しておきます。「日本の将来推計」をみてみると、働く人が減少してくるため、労働環境に関する知識や整理も必要になります。例えば、正規雇用と非正規雇用、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)、ワークライフバランスなどについて整理しておいてください。

 第27回試験では、厚生労働白書から、「正社員と比べ、非正規雇用の労働者が抱える課題」について問われました。また、第25回試験では、雇用状況と労働環境に関する問題が出題されました。前述の「働き方」と「生き方(生活や人生)」の選択やバランスに関連する問題が出題されていますね。このように、今後も出題される可能性が高いので、必ず整理しておいてください。また、第23回試験では、「雇用と労働」に関する問題において、ワークライフバランスやディーセントワークをはじめ、「労働力調査」(総務省)による統計の問題、「男女共同参画白書」(内閣府)に関する問題が出題されました。本項目は、過去問ベースで、新しい資料や統計などを中心に整理すると得点につながります。

2.社会保障の概念や対象及びその理念

 本項目は、1)社会保障の概念と範囲、2)社会保障の役割と意義、3)社会保障の理念、4)社会保障の対象、5)社会保障制度の発達における整理と理解が重要となります。これは、前項同様、社会保障制度自体の抜本的な改革を踏まえ、議論していくために必要な知識となります。もう一度、社会保障の概念や範囲、役割や機能、意義などについて整理しておくとよいでしょう。

 過去問を整理しておくと、第33回試験では、社会保障の役割と機能について問われましたが、出典は厚生労働白書でした。ここで、押さえておきたいものは、「1950年勧告」です。こちらは、社会保障制度の定義をしています(設問3)。また、第32回試験では、問題49で「日本の社会保障制度の歴史的展開」について問われています。さらに、第31回試験では、問題53で「医療保険制度の歴史的展開」について、第30回試験では、問題52で「公的年金制度の沿革」について、年金制度や医療保険制度が問われています。「沿革」とは「物事の移り変わり」です。つまり、制度の歴史や変遷について整理しておく必要があります。あと、第29回試験でも、問題49で「日本の社会保障の歴史的展開」について問われていました。

 以上、社会保障制度に関する詳細な歴史ですが、基礎的な項目も多いので、一読しておきましょう。

3.社会保障の財源と費用

 本項目は、社会保障制度の仕組みを財源と費用の両面から理解する項目です。例えば、社会保障の財源はどのようになっているのか整理しておくことが大切です。そのほか、社会保障給付費や国民負担率についても整理しておいてください。具体的には、統計資料などで社会保障給付費について確認しておくとよいでしょう。過去の問題をみても、この項目の内容はよく出題されており、毎年、1問は出題されています。

 過去の問題を見てみると、第33回、第31回試験では出題されていませんが、第32回試験では、問題50で「社会保障費用」に関する統計問題が出題され、第30回試験でも、問題50で「日本の社会保障の費用」について問われています。出典は、主題頻度が高い「社会保障費用統計(国立社会保障・人口問題研究所)」ですので、一読しておきましょう。また第28回試験でも、問題51で「平成24年度社会保障費統計」の内容について問われています。さらに、第27回試験では、社会保障財源における公費負担に関する内容が問われました。内容的には、基礎的なものです。第26回試験では、問題51で「我が国の社会保障給付費」、問題52「我が国における社会保障の適用対象や給付と負担」に関する問題が問われています。同様に、第25回試験でも、「我が国における社会保障の給付と負担」に関する問題が出題されています。実は、第23回試験でも同様の内容が出題されています。このほか、第24回試験では、「社会保険料の徴収、納付」に関する問題が出題されています。社会保険料の徴収や納付については、しっかり整理しておいてください。

4.社会保険と社会扶助の関係

 本項目では、1)社会保険の概念と範囲、2)社会扶助の概念と範囲についての理解が重要です。

 そもそも、社会保障については、日本国憲法第25条第2項で、同条第1項の国民の生存権を保障するために国が取り組む課題として、「社会福祉」「社会保障」「公衆衛生」の向上及び増進を謳っています。また、1950(昭和25)年の社会保障制度審議会の「社会保障制度に関する勧告(1950年勧告)」において、社会保障制度とは、「社会保険」「国家(公的)扶助」「社会福祉」「公衆衛生及び医療」「老人保健」の5つであるとまとめられています。これを狭義の社会保障といいます。また、広義の社会保障とは、これに「恩給」「戦争犠牲者援護」を含めたものをいいます(第24回試験「現代社会と福祉」問題22)。

 それでは、本項目のタイトルどおり、社会保険と社会扶助について、それぞれ解説していきたいと思います。

 社会保険とは、保険料を財源として給付を行う仕組みのことです。国や公的な団体を保険者とし、被保険者は強制加入が原則です。具体的には、「年金保険」「医療保険」「介護保険」「労働保険(「雇用保険」「労働者災害補償保険」)」があります。社会保険は、給付の権利性が明確で、給付用件に該当すればスティグマを伴わず受給できるという特徴があります。スティグマとは、烙印と訳されたりしますが、「「望ましくない」とか「汚らわしい」として、他人の蔑視と不信を受けるような属性」と定義されています。これは、ある属性に与えられたマイナスイメージと考えてよいでしょう。

 また、社会保険の長所としては、負担について被保険者(保険を受ける側)の理解と同意を受けやすいという特徴があります。逆に、短所としては、一律定型的な給付になりがちなことや、保険料の未納による無保険状態が生じること、モラルハザード(不正給付・不正受給)の誘発のリスクなどがあげられます。

図 社会保障の構造

 次に、社会扶助についてですが、これは租税を財源にして、保険を用いずに給付を行う仕組みのことです。国や地方公共団体の施策として、国民や住民に対して現金またはサービスの提供が行われます。具体的には、「公的扶助(生活保護)」「社会手当」「社会サービス」があげられます。その典型は、前述の公的扶助である生活保護制度ですが、このほかにも、児童福祉、障害者福祉、高齢者福祉といった社会福祉制度や、児童手当や福祉年金(国民年金制度創設時に、すでに高齢のために適用対象外となった層に対する措置として、保険料負担を必要としない無拠出の年金制度)も含まれます。

 社会扶助は、租税負担なしに給付が受けられる特徴があり、長所としては、個別の需要やニーズにきめ細かく、個別に対応できるという点です。短所としては、制度に安住してしまい、自立心を萎えさせてしまったり、資力調査(ミーンズテスト)の実施や所得制限を前提とすることや、給付に関してスティグマを伴いやすい点などがあります。

 ちなみに、第28回試験では、ずばり「社会保険制度と公的扶助制度の基本的な特質」について問われました。こちらについては、非常に基本的な内容ですので、必ず過去の問題をベースに整理しておきましょう。

5.公的保険制度と民間保険制度の関係

 本項目では、主に民間保険についての整理が必要となります。当然、公的施策と民間保険を関連させて学習する必要がありますが、民間年金保険、民間医療保険、民間介護保険などについても整理しておくことが大切です。

 社会福祉士にとって、公的保険制度の知識とともに、民間保険の知識は実務においても非常に重要になります。そういった意味では、臨床現場で必要な知識となりますので、今のうちにしっかりと学習しておきましょう。

 過去の問題では、第31回試験で、日本における社会保険と民間保険に関する問題が出題されています。こちらも過去の問題ベースで整理しておくといいと思います。また、第22回試験で「自賠責と健康保険等の調整」に関する事例問題が出題されています。

6.社会保障制度の体系

 本項目では、1)年金保険制度の概要、2)医療保険制度の概要、3)介護保険制度の概要、4)労災保険制度の概要、5)雇用保険制度の概要、6)社会福祉制度の概要、7)生活保護制度の概要、8)家族手当制度の概要について理解します。具体的には、各制度の目的、対象、給付内容、財源構成などについて理解する必要があります。

 本項目の範囲はかなりボリュームがあります。各制度の詳細について整理していくことになりますが、テキストをはじめ、ワークブックなどで頭のなかを整理しながら学習していくことが大切です。また、図表などを見ながら各制度の関係性について理解することも必要となります。まずは、社会保障制度全体の内容と、それを構成する社会保険制度について整理することが重要です。本項目の1)年金制度、2)医療保険制度については、次項以後、詳細に整理されています。

 第33回試験では、問題52で、労災保険の事例問題が出題され、問題54でも社会保険給付等に関する事例問題が出題されています。また、第32回試験では、問題51で、「休業に関する社会保障制度上の取り扱い」について問われました。こちらは、事例問題同様に、幅広い知識が求められます(問題54と問題55の事例問題も、本項目に該当します)。このほか、問題53の医療保険制度に関する問題や、問題52の遺族年金(年金保険)に関する問題が問われています。第31回試験では、問題49で「社会保障制度の財源」について問われ、問題51、問題54では事例問題で、「家族の介護にかかる社会保障」と「健康保険」について具体的な内容が問われました。また、第30回試験では、各制度(保険)間をまたいで出題されており、例えば、問題51の「社会保険の保険者」に関する問題では、国民年金、介護保険、国民健康保険組合、健康保険、労働者災害補償保険の保険者を問う問題が出題されていました。第29回試験でも、問題をまたいで出題されており、「年金保険制度」「医療保険制度」「労働保険制度(雇用保険制度)」について問われています。

7.年金保険制度の具体的内容

 本項目では、年金保険制度について具体的に理解することになります。年金保険は、大別すると、1)国民年金、2)厚生年金、3)各種共済組合の年金(国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済(日本私立学校振興・共済事業団))となります。

 年金保険制度は、次の項目の医療保険制度と並んで社会保障制度の根幹を担う保険制度であるため、重点的に学習しておいてください。試験でも出題される可能性が非常に高い項目といえるでしょう。

 第33回試験では、問題55で国民年金に関する基本的な内容が問われました。こちらは基礎的な内容でしたが、国民年金を理解するためには重要な問題と言えます。過去の問題の解説をベースに整理しておきましょう。また、第32回試験では、「遺族年金」について問われ、第31回試験では、問題52で「年金保険」に関する詳細な内容を問う問題が出題されました。少しだけ整理しておくと、老齢基礎年金は、保険料納付済期間が従来25年以上なければ受給資格がなかったのですが、2017年8月よりその期間が10年に短縮されています。また、設問文2の老齢基礎年金の満額支給については、40年保険料を納付した場合に受け取ることができます。このような基本的な内容が問われているので、過去問をベースに整理しておきましょう。第29回試験は、問題52で「障害年金に関する詳細事例」、問題53では「公的年金の給付内容」について問われています。また、第28回試験では、問題52の「国民年金の第3号被保険者」、問題53の「国民年金制度の保険料」が本項目に該当し、問題54の「労働災害者保険」も関連します。どちらも基本的な内容ですが、一度きちんと時間をかけて整理する手間が必要です。出題頻度も高いので、必ずチェックしておいてください。やれば、必ず得点になります。さらに、第27回試験では、問題54で「老齢基礎年金額」に関する事例問題が出題されました。こちらは、非常に詳細な内容が問われています。さらに第26回試験も、事例問題で「障害年金制度」について問われました。

8.医療保険制度の具体的内容

 本項目では、医療保険制度について具体的に理解することになります。医療保険は、大別すると、1)国民健康保険、2)健康保険、3)各種共済組合の医療保険の加入制度からなっています。このほか、75歳以上の後期高齢者(65歳以上75歳未満の一定の障害者を含む。)を対象とする後期高齢者医療制度や、退職者医療制度などについても整理しておいてください。

 さらに、この項目では、医療保険制度の仕組みや概要だけでなく、医療給付や医療給付以外の給付、保険料(国の負担)、公費負担医療などについても整理しておいてください。

 医療保険制度については、前項目の年金保険制度と同様に社会保障制度の根幹を担う保険制度であるため、非常に重要な項目となります。試験でも必ず出題されると考えてよいでしょう。

 第33回試験では、問題51で、医療保険制度の詳細が問われ、医療保険の種類や、加入属性(被保険者)、加入条件、保険料など幅広く問われました。また、第31回試験では、事例問題で「健康保険」に関する具体的な内容が問われています。内容としては、「傷病手当金」に関するものです。少し解説しておくと、病気やけが(労働中でない)によって仕事を休み、その期間の給料が支払われなかった場合に、医療保険(健康保険)から傷病手当金として支給されます。ちなみに、支給については、連続した3日以上の休みを経て支払われます。このほか第29回試験では、問題54の「保険給付に関する具体的事例」について問われています。こちらの事例問題は、内容がわかっている方が見ると、かなり滅茶苦茶な設問であることがすぐわかると思います。プライベートな自損事故ですから「自賠責保険」や「労働者災害補償保険」などは真っ先に消去できるでしょう。このほか、「雇用保険の基本手当」は「失業」に関するものであるため、事故直後の療養・休職とは関係ありません。このように基礎的な内容がわかっていれば十分解答可能な内容です。また、第28回試験では、問題55の「健康保険制度の保険給付」に関する内容が問われ、やや細かい内容ですが、社会福祉士にとって必要かつ重要な知識ですので、必ず整理しておきましょう。さらに、第27回試験では、問題55で「医療保険」に関する事例問題が出題されています。第26回試験では、「健康保険の給付」に関する問題が問われています。

9.諸外国における社会保障制度の概要

 本項目では、諸外国における社会保障制度についての理解が重要です。具体的には、スウェーデン、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカなどの社会保障について整理しておいてください。

 本項目からは、第33回、第32回、第30回、第28回、第27回試験では出題されていません。第31回試験では、諸外国の医療や介護の制度について問われ、具体的には、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデンから出題されています。また第29回試験でも「アメリカ、イギリス、ドイツ、スウェーデン、フランス」の社会保障制度に関する内容が問われました。さらに第24回試験では「ドイツ、イギリス、フランス、スウェーデン、アメリカの社会保障」に関して問われました。このことから、今後も諸外国の社会保障に関する統計や制度構造の問題が出題される可能性があるので、基礎的な内容はテキストワークブックで学習を進めておきましょう。

 以上が、「社会保障」のポイントです。特有の用語や構造を理解できるまで少し時間がかかるかもしれませんが、基礎をきちんと整理できれば得点できる科目です。苦手意識を払拭して、基礎からまとめてみましょう。

この時期は、基礎や用語の整理が大切です!

 皆さん、試験勉強は進んでいますか? 個人差があるかと思いますが、少しずつコツコツと、過去問解説集ワークブックなどを活用して、用語の整理を進めていることでしょう。夏以降の勉強の時、重要なことは、夏前までに用語の整理が済んでいるかどうかです。後半になるにつれて焦ってきますし、視野も狭くなってきます。少し余裕があるこの時期に、ぜひ、用語を整理しておきましょう。新たな発見もあると思います。

 ただ、今からあまり追い込んでやらないでくださいね。体調管理をして、毎日1時間でもいいし、5問でもいいので、学習を習慣化できるようにしましょう。

 私事ですが、このところ、朝、昼、晩、深夜、そして平日、休日と関係なく仕事をしているので、少し寝不足気味です。いや、寝不足というより、疲れ気味です。上手に時間を管理できればいいのですが、それを上回る仕事があるため、なかなか終わりが見えません。皆さんはいかがですか?

 でも、国家試験は、終わりがあるものです。目標から逆算して、今、何をする必要があるのかを計画的に実行すると、必ず合格できます。

 最後の最後まで、一緒に頑張りましょうね。

 次回は、「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」の具体的な内容、ポイントについて解説していきます。

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