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露木先生の受験対策講座

毎週火曜日更新。人気講師による受験対策講座を、一年通してご提供。合格を目指して一緒にがんばりましょう。
露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第4回 「人体の構造と機能及び疾病」のポイント

いよいよ、科目の解説です

 今回から、いよいよ各科目の具体的な内容やそのポイントについて解説していきたいと思います。今後は、毎回、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが示す出題基準に即した内容をもとに整理していきます。

 最初から難しいテキストを読み込んだり、模擬問題などを解くよりも、まずは昨年度の第33回社会福祉士国家試験(【共通科目】【専門科目】)に目を通しておいてください。現時点でわからない問題がたくさんあると思いますが、どのような問題が出題されているかを確認しておきましょう。さらに、出てくる専門用語については、現時点で用語辞典などを活用して整理しておいてください。

本科目のねらい

 本科目の出題基準によると、大項目として、1.人の成長・発達、2.心身機能と身体構造の概要、3.国際生活機能分類(ICF)の 基本的考え方と概要、4.健康の捉え方、5.疾病と障害の概要、6.リハビリテーションの概要の6つがあげられています。

 この科目は、医学一般の知識を中心に、国際生活機能分類(ICF)や健康の捉え方、リハビリテーションの概要など、障害者(身体・知的・精神等)の分野までを範囲としています。

第33回試験をみてみると…

 まず、基本的なことですが、この科目の問題は全150問中7問出題されます。試験当日は、朝一番目の科目となりますので、緊張もピークに達し、集中力も途切れがちな科目といえます。そのため、日頃は間違えないような問題を間違えたり、焦って設問を読み間違えたりと、実力が発揮できない人も多いようです。国家試験は、平常心と日頃の学習の繰り返しによる確実性が結果につながりますので、注意してください。

 本科目の出題傾向は、昨年とほとんど変わりませんでした。つまり、出題基準からバランスよく、広範囲の事項について出題されていました。各問題をみてみると、問題2では、「人体の構造と機能」について問われ、定番ですが「人の成長と老化」について問われていました。これに加え、WHOや「健康日本21」、健康増進法などの健康に関する定義(問題3)や、障害やリハビリテーションについても問われていました。予想していた内容としては、このほか、「がん」や「DSM-5」についても出題されました。また、各設問の「誤りの設問文」の「誤り」が微細な情報であったり、わかりにくいなど、受験生にとってはやや難しかった科目かもしれません。

 以上、本科目は、各項目の基礎知識とともに、詳細な内容を問う問題が多く出題されます。それでは、出題基準で取り扱われる6つの項目をもとに整理していきます。

各項目の詳細について

1.人の成長・発達

 この項目は、「身体の成長・発達」「精神の成長・発達」「老化」の3つに分けられています。
 過去の問題を見てみると、第33回試験では、問題1で「身体の成長と老化」について問われています。同様の内容は、毎年問われていて、例えば、第32回試験では、問題2で「高齢者の脱水」に関して問われ、第30回試験でも、問題1で「身体の標準的な成長・発達」、問題4で「加齢を伴う生理機能の変化(疾患・病態)」、第29回試験でも、問題1で「身体の標準低な成長・発達」、問題2で「加齢を伴う生理機能の変化」について問われています。このように、高齢者の疾患や病態については、出題頻度が高い項目となります。脱水のほか、難聴(高音域から進行するなど)、フレイル、褥瘡、廃用症候群などチェックしておいてください。また、第31回試験では、問題1で「エリクソンの発達理論」について問われています。こちらは、次の科目「心理学理論と心理的支援」とも関連する知識です。併せて学習しておきましょう。この他、また、第28回試験では、問題1で「乳幼児にみられる標準的発達」に関する内容が問われました。

 このことからも、今後もこの項目から出題される可能性は高いと思いますので、「老化」「加齢に伴う疾患」「精神の成長・発達」についてはしっかりと整理しておきましょう。

2.心身機能と身体構造の概要

 この項目は、「人体部位の名称」「各器官等の構造と機能」の2つに分けられています。

 まず、「人体部位の名称」ですが、具体的には、出題基準で、頭部、頸部、胸部、背部、腹部、四肢、体幹、脊柱、血管が例示としてあげられています。また、「各器官等の構造と機能」では、具体的には、血液、呼吸器、消化器、泌尿器、循環器、支持運動器官、内分泌器官、神経系、感覚器、皮膚、生殖器、免疫系が例示としてあげられています。

 どちらも試験では重要な内容ですし、特に医療ソーシャルワーカー(MSW)にとってはとても重要な知識です。医療ソーシャルワーカーは、医師ではないので診断はできませんが、人体部位やどの器官がどのような機能をもっているのかなどについてはよく理解しておく必要があります。また、この知識は、医療ソーシャルワーカーだけが必要とするものではなく、例えば、高齢者支援や障害者支援など、さまざまな支援領域でも必要となる知識であり、社会福祉士にとって必須の知識となります。

 第33回試験では、問題2で「心臓と血管の構造と機能」が問われています。また、第32回試験では、問題1の「人体の構造と機能」や問題3の「消化器の構造と機能」について問われています。同様に、第31回試験でも、問題2で「人体の各機関の機能と構造」について問われ、「副交感神経」「脳幹」「大脳」「脊髄神経」「三半規管」について問われています。第30回試験でも、問題2で「人体の各器官」について問われ、こちらは基礎的な内容ですが、「頚椎」「頸動脈」「大腸」「肺」「胃」など器官の機能などについて問われました。このほか、第29回試験では、問題3の「心臓の正常解剖」で、また第28回試験では、「人体の部位と疾病、病態との関連性」について問われ、具体的には、【吐血・骨折・麻痺・褥瘡(じょくそう)・嚥下 (えんげ)】の基礎的な内容が問われました。やや詳細の内容に思いましたが、社会福祉士が利用者を理解する際、社会的な側面のみならず、肉体的、心理的側面への理解も重要で、それらの多側面を包括的に、全人的に理解することが求められています。そのため、人体の構造を理解することや、病気を理解することは、社会福祉士にとっても重要な知識の一つとなります。内容的には、一読し、学習をしておけば必ず得点できるものですので、過去問で出てきた項目を優先して整理しておきましょう。

3.国際生活機能分類(ICF)の基本的考え方と概要

 この項目では、国際生活機能分類(ICF)の正しい理解が求められています。具体的には、「国際障害分類(ICIDH)から国際生活機能分類(ICF)への変遷」「心身機能と身体構造、活動、参加の概念」「環境因子と個人因子の概念」「健康状態と生活機能低下の概念」の理解と整理が必要となります。

 近年の国家試験の出題を見てみると、この国際生活機能分類(ICF)の出題頻度はとても高くなってきました。健康な状態や障害に関する概念を整理するうえで、極めて重要な分類といえます。そして、第32回、第30回、第28回、第27回試験では、ズバリ「国際生活機能分類(ICF)」の基本的考え方と概要に関する問題が問われました。内容的には基本的なものですが、現代の人々の生活や障害(障壁)を理解するために非常に重要です。なぜならば、現代の支援モデルは「他職種連携協働」「チームケア」であり、さまざまな専門職種が共通の言語・理解をするためのツールとして、ICFを用いているからです。

 「国際生活機能分類(ICF)の基本的考え方と概要については、「活動」や「参加」の定義、「活動制限」や「参加制約」の定義などの整理とともに、「心身機能と身体構造、活動、参加の概念」についても整理しておきましょう。今後も、「環境因子と個人因子の概念」に関する問題や、全項目を網羅したような概論的な問題が出題されることが想定されます。

 以上のような理由から、本項目についても社会福祉士には必須の知識となりますので、曖昧な知識や理解ではなく、確実に整理しておく必要があります。用語や概念が曖昧な人は、時間に余裕がある今、もう一度しっかりと確認しておいてください。

4.健康の捉え方

 この項目では、「健康の捉え方」として、「健康の概念」の整理が重要となります。特に、WHO憲章による健康の定義、「健康日本21」などについて整理しておくとよいでしょう。事実、第30回試験では、「WHOの活動」について出題されています。また、第32回試験では、1978年のアルマ・アタ宣言(WHO)について出題されています。こちらについては、過去問ベースで整理しておきましょう。

 さらに過去の問題を見ておくと、第29回、第27回試験では出題されませんでしたが、第33回第32回、第31回、第28回試験などでは出題されています。まず、第31回試験を見ておくと、「健康」に関する幅広い知識が問われています。いくつかキーワードを上げておくと「一次予防」「特定健康診査」「健康日本21(第二次)」「ヘルシンキ宣言」などです。こちらについては、各自で、用語整理しておきましょう。第28回試験では、「日本の健康政策」について問われ、具体的な内容としては、【健康日本21(第二次)・8020運動・歯周疾患検診・特定健康診査・特定保健指導】などが問われました。こちらの内容も、基礎的な部分について整理しておきましょう。また、第26回試験の問題3で「健康」に関する問題が出題されています。内容を見てみると、前述したWHO憲章による健康の定義も問われていますが、ここで、「健康とは、身体的、精神的、社会的、そしてスピリチュアルに完全に良好な状態をいう」と、出題されました。正しいように思うかもしれませんが、実は、1990年代、健康定義の改訂の議論がされていました。その際、スピリチェアルに関する内容も、健康の定義に盛り込むことが検討されていましたが、結局、各国の意見の相違や時期尚早、もう少しきちんとした議論が必要などの声があり、結局、総会で議論されることはありませんでした。つまり、半世紀前の健康の定義を、今もなお、採用していることになります。時代の変化とともに「健康」の定義は変わっていくのか、それとも「健康」の概念は、いつの時代も変わらぬものなのか、これからの医療を考えるうえでもとても重要な問題です。ここまでの解説を読んでおくと、第33回の問題3で出題された「健康の概念と健康増進」に関する問題も解答できるのではないでしょうか。合わせて、第33回試験の問題4では、がんに関する内容が問われています。こちらは、過去問ベースで整理しておきましょう。

 以上、「健康の概念」はとても重要ですので、WHO憲章の健康の定義をはじめ、前項目の国際生活機能分類(ICF)における健康な状態や障害と関連させて学習しておくとよいと思います。また、生活習慣病や国が進める健康づくりに関する対策などを確認しておいてください。

5.疾病と障害の概要

 この項目は、「疾病の概要」「障害の概要」「精神疾患の診断・統計マニュアルの概要」の3項目に分けられています。

 まず、「疾病の概要」では、具体的には、悪性腫瘍、生活習慣病、感染症、神経・精神疾患、先天性・精神疾患、難病などが例示としてあげられています。神経・精神疾患や難病では、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症などがあり、症状や病態、後遺障害などの整理や理解が重要となります。

 第33回試験では、問題5が該当します。内容としては、後天性免疫不全症候群や難病、外傷性脳損傷、糖尿病などの疾病や障害が問われています。一つひとつの内容はそれほど難しいものではありませんので、過去問をベースに復習しておきましょう。問題5は、ほぼ毎年出題されているDSM-5に関する内容です(自閉症スペクトラム症)。また、第32回試験では、問題6で「脳血管性認知症」の特徴的な症状について問われています。認知症については、アルツハイマー型認知症や、レビー小体型認知症、ピック病(前頭側頭型認知症)などについても用語の整理をしておきましょう。第31回試験では、問題5で「高血圧」、問題6で「障害」に関する広範の知識が問われています。問題6の障害の理解については、「高次脳機能障害」や「脳性麻痺」「糖尿病」などの具体的障害について問われています。例えば、糖尿病は、その関連症状(障害)に、視覚障害(網膜症・失明)、腎機能障害(腎症・人工透析など)、神経障害(壊疽・切断)が挙げられます。これに加え、問題7では、「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)」について問われています。こちらは、毎年出題されている重要項目ですので、必ずチェックしておきましょう。ちなみに、出題は「神経やせ症/神経性無食欲症」の診断基準でした。ここでは、統合失調症と双極性障害についてチェックしておいてください。また第30回試験では、「肢体不自由となる疾患」「精神疾患の診断・統計マニュアル」「廃用症候群」について問われています。さらに過去の問題を見ておくと、第29回試験では、「感染症」や「生活習慣病」「認知症」などが本項目に該当します。また、第28回試験では、「食中毒」について問われ、第27回試験では、「糖尿病」と「脳卒中(多発性脳梗塞)」について問われています。こちらも、基本的な内容を問うもので、事前学習をしていれば十分解答可能な内容となっています。

 ちなみに、第26回試験では、事例問題「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」と、問題5「認知症」について問われています。「認知症」については、例年、出題される重要項目といえます。第25回試験でも同様の内容が問われています。そして、これからも出題される可能性が高い項目です。具体的には、認知症のアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病の特徴や原因などが問われています。さらに、過去問では、事例問題で、「感染症に関する知識」を問う問題が出題されました。内容としては、黄色ブドウ球菌による皮膚感染症に関する問題でした。感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)とともに各感染症の内容について整理しておきましょう。あと、インフルエンザについてもチェックしておいてください。今年は、感染症が世界的問題として取り上げられる可能性もありますので、必ず整理しておきましょう。

 また、精神疾患については、「精神疾患の診断・統計マニュアル」の知識も重要となります。第29回試験からは、最新版のDSM-5から出題されています。少しだけ解説しておくと、DSMとは、アメリカ精神医学会によって作成されるもので、WHO(世界保健機構)による「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)」とともに、国際的に広く用いられる精神障害者の分類のための共通言語と標準的基準を示すものです。特徴としては、操作主義を精神医学へ導入した「操作的診断基準」によって診断することにあります(DSM-III以降から)。操作主義とは、「直に測定できないことを、他の現象によってその存在が示される減少を測定するために定義する手続きのこと」です。また、DSM−5は、それまでの「III」「IV」で採用していた網羅的な「多軸診断システム」を廃止しています。難しい用語が出てきたので、少し解説すると、「多軸診断システム」とは、「多様な軸を準備して、異なった側面から患者を網羅的かつ総合的に診断する構造(システム)」です。第30回試験では、DSM-5における「統合失調症」と診断するための症状について出題されましたが、今後もこのような具体的な内容に踏み込んだ問題も出題される可能性があるので、模擬問題集模擬試験などを通して学習しておきましょう。ちなみに、診断するための症状(5つ)は、(1)妄想、(2)幻覚、(3)まとまりのない発言、(4)ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動、(5)陰性症状です。前述しましたが、第31回試験は、「神経やせ症/神経性無食欲症」について問われています。

 このほか、本項目で、私が注目している内容としては、高次脳機能障害と嚥下障害です。こちらの2項目は、次回、出題される可能性が高いと思いますので、必ずチェックしておいてください。また、視覚障害、聴覚障害、平衡機能障害、肢体不自由、内部障害、知的障害、発達障害、認知症、高次脳機能障害、精神障害などの障害の特徴と共に、生活上の困難などについても整理しておくとよいでしょう。特に、内部障害、発達障害、嚥下障害、高次脳機能障害については学習しておきましょう。

6.リハビリテーションの概要

 この項目は、リハビリテーションの定義、目的、対象、方法について整理しておく必要があります。わが国においては、リハビリテーションという用語が一人歩きをしてしまっているため、専門家として正しく用語を理解し、正しく使用する必要があります。

 本項目については、第31回、第30回、第29回、第28回試験では問われませんでしたが、ここ2回連続(第33回試験、第32回試験)で出題されています。内容的には、難しいものではありません。リハビリテーションの基礎からは始まり、近年のリハビリテーションについて、「がん」「内部障害」「脳卒中」などを例に出題されています。また、第27回試験では、問題7で「リハビリテーション全般」に関する内容が問われています。「保健医療サービス」の内容と少し被るものですが、こちらでは、法律に規定された業務を問うというよりも、実際の施術といった具体的内容を問うものでした。関連づけて学習すると、効果が得られると思います。

 以上のように、出題基準をもとに本科目の概要を整理してきました。この科目については、しっかり学習すれば十分解答可能だと思いますので、「苦手意識」を捨てて、丁寧に学習してみてください。必ず得点につながります。

 次回は、「心理学理論と心理的支援」の具体的な内容、ポイントについて解説していきます。

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