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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第16回 「相談援助の基盤と専門職」のポイント

 さて、今回は、「相談援助の基盤と専門職」の具体的な内容、ポイントについて解説していきたいと思います。今回も、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが示す出題基準が示す出題基準に即した内容で整理していきます。

本科目のねらい

 本科目の出題基準によると、大項目として、1.社会福祉士の役割と意義、2.精神保健福祉士の役割と意義、3.相談援助の概念と範囲、4.相談援助の理念、5.相談援助における権利擁護の意義、6.相談援助に係る専門職の概念と範囲、7.専門職倫理と倫理的ジレンマ、8.総合的かつ包括的な援助と多職種連携(チームアプローチを含む。)の意義と内容の8項目があげられています。

第32回試験をみてみると…

 本科目は、次回で解説する「相談援助の理論と方法」とセットの科目といえます。出題内容としては、「社会福祉士及び介護福祉士法」「IFSW(2014年)のソーシャルワーク・グローバル定義」などのソーシャルワーカーの価値と倫理に関する問題が問われています。このほか、「日本の社会福祉の発展過程」「アウトリーチ」「倫理的ジレンマ」などが出題されました。事例問題に関しては、2問出題されています。

 社会福祉、相談援助の専門職として、基盤となる基本的な考え方、社会福祉士の仕事、役割や機能を理解することが重要で、それが本科目の攻略法です。

各項目の詳細について

1.社会福祉士の役割と意義

2.精神保健福祉士の役割と意義

 この2つの項目では、社会福祉士及び介護福祉士法・精神保健福祉士法に基づく定義、義務、法制度成立の背景、法制度見直しの背景などについて、また、社会福祉士・精神保健福祉士の専門性の理解が重要です。さらに、本項目では、前述の各法の理解と整理が求められ、法で規定されている内容の理解とともに、成立した経緯や近年の見直しなどについての理解も求められます。事前に福祉小六法などで法律に触れておくとよいでしょう。
 過去の問題を見ておくと、第32回、第31回、第30回、第29回試験では、「社会福祉士及び介護福祉士法」に関する問題(共に問題91)が出題されています。こちらは、過去問解説集を使ってチェックしておきましょう。社会福祉士を説明し、その役割や業務を理解する上で重要なものです。また、第28回試験では、認定社会福祉士及び認定上級社会福祉士に関する問題(問題95)が問われました。第27回試験、第26回試験では、2007(平成19)年の社会福祉士及び介護福祉士法改正について問われています。
 以上、この項目は、非常に基本的なことですが、とても重要な内容ですので、社会福祉士になる皆さんは、少なくとも、社会福祉士の倫理綱領、社会福祉士及び介護福祉士法については一読しておいてくださいね。
 社会福祉士は、これらに従って業務を遂行しなければなりません。なぜならば、社会福祉士の倫理綱領では、社会福祉士はこの倫理綱領に「誠実」であることを示しているからです。

3.相談援助の概念と範囲

 本項目では、1)ソーシャルワークに係る各種の定義(特に、国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)の定義)、2)ソーシャルワークの形成過程(特に、慈善組織協会(COS:Charity Organization Society)、セツルメント運動)などについての理解が重要です。このほか、ソーシャルワークが体系化された1900年初頭の理論形成期の整理や理解も求められるため、ソーシャルワークの歴史についてはしっかりと学習しておいてください。例えば、リッチモンドのソーシャル・ケースワークについての学習が重要です。

 過去の問題を見ておくと、まず、第32回、第31回、第30回、第29回、第28回の試験では、IFSW(2014年)のソーシャルワーク・グローバル定義について問われています(いずれも問題92)。こちらは基礎的な内容なので、過去問をベースにチェックしておきましょう。特に、第30回、第29回試験では、ソーシャルワークの中核となる価値倫理について問われており、それは「人権」「社会正義」「集団的責任」「多様性の尊重」です。また、第31回試験、第30回試験では、「日本の社会福祉の発展に寄与した人物とその功績」について問われています。例えば、石井十次、浅賀ふさ、岡村重夫、留岡幸助、竹内愛二、仲村優一、永井三郎、小河滋次郎、三好豊太郎です。いずれの人物も出題頻度が高いので、功績と共に暗記しておきましょう。このほか、海外やアメリカのソーシャルワーク実践理論の発展については、第32回試験では、ジャーメインを始め、シュワルツ、ゴールドシュタイン、バートレットなど、代表的なソーシャルワーク実践理論家について出題されています。また、第29回試験では、慈善組織協会の基礎問題(問題93)や、アメリカにおけるソーシャルワークの統合化(問題94)について問われました。この二つも非常に基礎的な内容なので、必ず確認しておきましょう。また、第28回試験では、リッチモンドからはじまるソーシャルワークの発展に寄与した代表的な研究者とその理論に関する問題(問題93)が問われました。出題された研究者を列挙しておくと、リッチモンド、パールマン、ハミルトン、リード、ジャーメイン、ギッターマンです。これらの人物は基本となる人名で、その業績や理論については必ず整理しておきましょう。

4.相談援助の理念

5.相談援助における権利擁護の意義

 この2つの項目では、相談援助を行ううえで必要となる概念や考え方について、よく学習しておく必要があります。例えば、1)人権尊重、2)社会正義、3)利用者本位、4)尊厳の保持、5)権利擁護、6)自立支援、7)社会的包摂、8)ノーマライゼーションなどについてです。

 これらについては、それぞれの概念をしっかりと理解するとともに、その背景にある時代や社会情勢などにも配慮しながら学習することが大切です。また、これらに制度や政策、法律なども関連してきますので、それらの理解も重要となります。そういった意味では、法を確認するために福祉小六法や、適切に用語を理解するために社会福祉用語辞典などを有効に活用して理解を深めていくとよいでしょう。
 過去の問題を見てみると、第32回試験、第31回試験では、アドボカシーについて問われ、第30回試験では、ノーマライゼーションについて問われています。ノーマライゼーションは、北欧で起こったムーブメントで、のちにアメリカ、さらに1980年代以降、国際障害者年や障害者の社会参加のもと、世界に広がり、一般化していきます。まず、「ノーマライゼーションの父」であるバンク-ミケルセンが、本理念を理論化し、その後「(ノーマライゼーション)育ての親」とも呼ばれるニィリエによって、8つの原理が提言され、具体的には、「1日のノーマルなリズム」や「ノーマルな生活水準」などを示すことで、社会がその実現に向けて取り組む必要性をうったえました。この北欧で起こったムーブメントが、1960年代後半から70年代にかけて、アメリカへ導入されるのですが、その重要人物がヴォルフェンスペルガーです。このように、歴史的変遷とともに、具体的な内容についても整理しておきましょう。このほか、第30回試験では、事例問題で、ストレングス視点(問題94)や自立支援(問題97)などが問われています。第29回試験でも、事例問題で、社会福祉士の発言として、「主体性の尊重」や「利用者本位」といったソーシャルワークの基礎理念を具体的に問う問題が出題されています(問題95)。この他、事例問題については、ソーシャルワーク独自の専門的な知識や技術を駆使することと同時に、ソーシャルワーク専門職としての価値や倫理、原理・原則をベースに構成されます。
 さらに過去の問題を見ておくと、第28回試験では、児童虐待で児童養護移設に入所する児童の自立に関する支援事例が問われています。また、第27回試験では、「権利擁護・人権尊重」に関する問題が問われ、具体的には、「人権」に関する国際的な条約の内容が問われました。問われた条約を列挙しておくと、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」「高齢者のための国連原則」「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」「児童の権利に関する条約」「障害者の権利に関する条約」です。また、問題95は、相談援助における「自己決定」にかかわる支援について問われています。

 第26回試験では、問題93の「ノーマライゼーション」、問題94の「アドボカシー」に関する問題が該当します。基本的な用語、概念ですので、曖昧な理解でなく、用語集やテキストに立ち返り、適切な理解を促進しておいてください。

 以上、社会福祉士の行う支援機能、例えば、「エンパワメント」「ストレングス」「アドボカシー」「ソーシャルインクルージョン」をはじめ、「アウトリーチ」「ソーシャルアクション」等については、整理しておいてください。これらの中に、必ず本年度の試験でも出題される項目があると思います。

 また、1)人権尊重、2)社会正義、3)利用者本位、4)尊厳の保持、5)権利擁護、6)自立支援、7)社会的包摂、8)ノーマライゼーションは、どれも重要な項目ですので必ず用語の整理をしておいてください。特に、社会正義などは、本年度出題されるかもしれません。あと、多様性の尊重なども重要です。

 今後も、この権利擁護をはじめ、相談援助の理念に関する問題は、事例問題として出題される可能性が非常に高いため、実例とともにその理念をよく整理しておきましょう。

6.相談援助に係る専門職の概念と範囲

 本項目は、1)相談援助専門職の概念と範囲、2)福祉行政等における専門職、3)民間の施設・組織における専門職、4)諸外国の動向の4項目に大別できます。

 具体的には、2)福祉行政等における専門職では、福祉事務所の現業員、査察指導員、社会福祉主事、児童福祉司、身体障害者福祉司、知的障害者福祉司などがあげられます。また、3)民間の施設・組織における専門職では、施設長、生活相談員、社会福祉協議会の職員、地域包括支援センターの職員などがあげられます。これらの用語については、社会福祉用語辞典などを活用して、わからない用語がないように確実にしておきましょう。
 この項目は、例年、事例問題で出題されています。例えば、第32回試験では、問題97の地域包括支援センターの対応事例や、事例問題ではありませんが、問題95の「社会福祉施設等において、国より配置が義務付けられている専門職」などが本項目に該当します。このほか、第30回試験では「民生委員」について問われています。こちらは、民生委員法からその規定について問われていますので、過去の問題でフォローしておいてください。また、第27回試験では、医療ソーシャルワーカーの胃がん患者への対応事例が問われました。第26回試験では、社会福祉士の初回面接における対応について出題されています。この他、地域包括支援センターの社会福祉士の対応事例についても問われました。また、第25回試験では、児童福祉司(社会福祉士)による介入拒否ケースへの対応が問われています。第24回試験では、「社会福祉協議会の福祉活動専門員(社会福祉士)の当面の対応」に関する問題でした。第23回試験でも、「デイサービスセンターの生活相談員(社会福祉士)の対応」に関する事例問題が出題されました。
 このように、事例問題で出題されていますので、社会福祉士の役割や機能については必ず整理しておいてください。また、今後出題される可能性が高いのは、4)諸外国の動向だと思います。併せて、必ず確認しておいてください。

7.専門職倫理と倫理的ジレンマ

 本項目では、日本社会福祉士会の倫理綱領、その他職能団体の倫理綱領、国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)倫理綱領などを通して、専門職の倫理についてよく理解しておく必要があります。そして、これらの倫理綱領と実際の援助場面などで遭遇する倫理的ジレンマについても考察しておく必要があります。
『新・社会福祉士養成講座 第6巻 相談援助の基盤と専門職<第3版>』では、倫理的ジレンマとして、(1)守秘義務と第三者の利益を守る義務、(2)守秘義務と社会に対する義務、(3)自己決定とクライエントの保護義務、(4)クライエントに対する義務と所属組織に対する義務、(5)同僚に対する義務と専門性への義務の5つが具体的に解説されています。試験で問われる可能性がありますので、整理しておいてください。

 過去の問題を見ておくと、第32回試験の問題96では、事例問題で、社会福祉士が抱える倫理的ジレンマについて問われています。このほか、第28回試験問題96では、倫理的ジレンマに関する具体的な内容に関する事例問題が出題されています。このほか、関連項目としては、問題91の「社会福祉士の行動規範(日本社会福祉士会)」や、問題92の「ソーシャルワークのグローバル定義(2014:IFSW)」が挙げられます。

8.総合的かつ包括的な援助と多職種連携(チームアプローチを含む。)の意義と内容

 本項目は、タイトルを読んだだけで、誰もが「重要だ」と思いますよね。本項目は、人々が抱える問題や課題が複雑化・多様化し、単独の専門職種では問題解決が困難になった現代におけるチームアプローチの意義や内容を整理するところに意図があります。その際、ジェネラリストの視点に基づく総合的かつ包括的な援助の意義と内容、ジェネラリストの視点に基づく多職種連携(チームアプローチ)の意義と内容に留意することが求められます。本項目も、ソーシャルワーカーにとってとても重要な知識・技術となります。

 過去の問題を整理しておくと、第29回試験では、問題97の事例問題で、総合的かつ包括的な援助の具体例が示されています。また第31回試験ではチームアプローチについて問われ、第28回試験でも、問題97で「チームアプローチに基づくケース会議の開催提案」に関する事例問題が問われました。また、第27回試験では、児童分野におけるスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)に関する事例問題、 第26回試験では、多職種チームに関する問題(問題97)が出題され、チームコンピテンシーをはじめ、チームの機能などについて問われています。第25回試験では、問題97のジェネラリスト・アプローチの援助の視点、過程等が、本項目に該当します。設問文の各項目の内容については、過去問解説集の解説などで、クリアにしておいてください。さらに、第24回試験では、「複合的は課題をもつ家族への相談援助」に関する問題が出題されています。解答としては、「フォーマルなサービスとインフォーマルな資源を組み合わせ、継続的な対応を行う」ということを答えるものでしたが、まさに本項目の冒頭で整理しましたとおり、「複雑化・多様化した問題をフォーマル・インフォーマルな資源を総合的かつ包括的に支援を行う」といった内容ですね。
 このことから、多機関による包括的支援体制、フォーマル/インフォーマル・社会資源との協働体制、ソーシャルサポートネットワーキングなどに関しても整理しておいてください。また、多職種連携、協働を考えた場合は、ヒューマンケアやインタープロフェッショナルワーク(IPW:Interprofessional Work)といった用語の理解も必要になってくるかもしれません。また、機関間相互関係、利用者・家族の参画、機関・団体間同士の合意形成なども重要です。つまり、問題や状況をシステムで捉える視点が重要になるわけです。
 

以上が、「相談援助の基盤と専門職」のポイントです。次回は、「相談援助の理論と方法」の具体的な内容、ポイントについて解説していきます。

社会福祉士とはなにか?

 社会福祉士国家試験の勉強で最も重要なことは、「社会福祉士が、国や国民、利用者、人々から何を期待されているのか?」を知ることだと思います。よって、現代社会のさまざまな問題に常に関心をもつことが重要です。
 まずは、現代社会、そして未来の日本(ナショナル)、リージョナルと言われる「アジア太平洋地区」の今と未来、世界規模(グローバル)の今と未来を想像することが重要です。そして、世界規模(グルーバル)で起こる環境破壊やテロの脅威、格差問題、世界地区(リージョナル)で起こる難民や紛争の問題、日本国(ナショナル)で起こる貧困・格差、過疎化、少子高齢化、差別、ワークライフバランスなどの問題を整理しておくと良いと思います。
 あと、国家資格なので、(新たに施行される)法律や制度を適切に使える知識は当たり前のことですが、その知識を使う「価値倫理」「専門的技術」については、本科目と次項の「相談援助の理論と方法」の範囲とするところです。つまり、社会福祉士は、単に制度や知識をパンパンに持ちその情報の提供をおこなうロボットではなく、その制度や知識を利用者や人々の「生活」や「人生」の文脈において活用できる人間なのです。

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