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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第13回 「保健医療サービス」のポイント

 さて、今回は、「保健医療サービス」の具体的な内容、ポイントについて解説していきたいと思います。今回も、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが示す出題基準に即した内容で整理していきます。

本科目のねらい

 本科目の出題基準によると、大項目として、1.医療保険制度、2.診療報酬、3.保健医療サービスの概要、4.保健医療サービスにおける専門職の役割と実際、5.保健医療サービス関係者との連携と実際の5項目があげられています。

第32回試験をみてみると…

 本科目は、内容的に出題基準全体を網羅する内容でした。ただし、例年の出題されている重要項目からの出題がありませんでした。具体的には、例年出題されている「国民医療費の概況」をはじめ、診療報酬制度なども問題が出題されていません。ただし、重要項目ですので、第31回試験以前の過去の問題で毎年出題されていた問題を参考に学習しておきましょう。

 出題された内容は、医療保険制度から、「医療費の自己負担限度額」に関する問題を始め、「医療施設の利用目的」や「他職種の業務理解」、「医療ソーシャルワーカー の対応事例」などでした。例年、出題頻度が高い項目です。この他、保健師資格に傾倒するような「特定健康診査及び特定保健指導」や「地域における保健師の保健活動に関する指針」について問われていますが、こちらは第32回試験独自の内容だと思います。

 では、出題基準で取り扱われる5項目をもとに整理していきます。

各項目の詳細について

1.医療保険制度

 本項目では、医療保険制度の概要、医療費に関する政策動向についての整理が必要です。具体的には、高額療養費制度の概要など、昨今の医療に関する動向がポイントとなります。高額療養費制度については、臨床の現場でも必要となる知識です。今後、事例問題などでも問われる可能性があるので、この内容についてはよく理解しておいてください。

 第31回試験でも、問題71で「国民医療費の概況」について問われています。こちらは、毎年出題される超重要項目の一つです。よって、過去問題をベースに詳細の内容を整理しておきましょう。このほか、高額療養費制度についても出題頻度が高いので、制度の内容を始め、多数該当や世帯合算までの詳細を整理しておきましょう。簡単に解説しておくと、高額療養費制度とは、「家計に対する医療費の自己負担が過重なものにならないように〈月ごと〉の自己負担限度額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度」です。また、「〈月ごと〉の自己負担限度額」については所得に応じて、70歳以上の場合は3区分6段階に、69歳以下の場合は5区分に分けられ上限額が設けられています。さらに、この「〈月ごと〉の自己負担限度額」は、「複数の医療機関の自己負担額を合算」や「入院と外来の自己負担額を合算」、「同じ世帯(同一の保険証)の自己負担額を合算」することができ、これを「世帯合算」といいます。このほか、この自己負担限度額の支給が〈直近〉の12か月の間に4回以上となる場合に、自己負担限度額が引き下げられ、これを「多数該当」といいます。わせて、第32回試験では、「医療費の自己負担限度額」について、高額療養費制度や高額医療・高額介護合算療養費制度などについて問われています。こちらは、過去問題をベースに整理しておきましょう。

2.診療報酬

 本項目では、診療報酬制度の概要についての理解が重要です。第31回試験では、問題73で「診療報酬」の具体的内容を問う問題が出題されましたが、こちらの問題内容・難易度はスタンダードレベルで、ここから学習が始まります。また、第30回試験では、問題71で「診療報酬」について問われ、入院基本料の算定に関する内容が問われています。また、第28回試験では、問題72で「本制度」の詳細が問われています。内容としては「DPC対象病院の入院医療にかかる費用(包括医療費制度)」「訪問看護」「在宅医療の往診」「療養病床の入院基本料」「退院調整加算」などが問われました。

 基本的なことですが、診療報酬とは、保険医療機関や保険薬局が保健医療サービスに関する対価として保険者から受け取る報酬のことで、この報酬は点数で表示されることから「点数表」と称されています。医療保険では、1点10円で換算し、診療報酬は、「医科」「歯科」「調剤」に分かれています。もう一歩踏み込んでおくと、診療報酬は、原則2年毎に改定され、厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会の議論を踏まえて決定されます。ちなみに、昨年度は、診療報酬改定の年であり、また3年毎に改定される介護報酬改定の年でもあり、ダブル改定の年でした。診療報酬・介護報酬改定についてはチェックしておきましょう。

 本項目の、診療報酬については、前項の国民医療費同様に毎年出題されているので、必ず学習しておきましょう。

3.保健医療サービスの概要

 本項目は、医療施設の概要、保健医療対策の概要について押さえておくことが重要です。医療施設の概要では、病院、特定機能病院、回復期リハビリテーション病棟、地域医療支援病院、診療所などについて整理しておいてください。テキストの内容のレベルで十分なので、病院の機能や役割についても一度整理しておきましょう。
 また、簡単に説明しておきますと、医療施設については3つの類型に整理することができます。
 まず、1つ目は、医療法による医療施設の機能や類型です。ここでは、病院(病院の病床は、(1)精神病床、(2)感染症病床、(3)結核病床、(4)療養病床、(5)一般病床の5種類に分けられています)や診療所、かかりつけ医、助産所、介護老人保健施設などの理解が必要となります。

 また、2つ目は、保健医療政策による医療施設の機能や類型です。ここでは、国立高度専門医療研究センター、がん診療連携拠点病院、救命救急センター、へき地医療拠点病院、災害拠点病院、エイズ診療拠点病院などの理解が必要となります。

 3つ目は、診療報酬における医療施設の機能・類型です。ここでは、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、障害者施設等一般病棟、緩和ケア病棟、在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院などがあげられます。これらの役割や機能についても、よく整理しておく必要があります。このような基本的な事項は、しっかりと確認しておいてください。

 第32回試験では、問題71で、「医療施設等の利用目的」について問われていますが、介護医療院、療養病棟、地域包括ケア病棟、介護老人保健施設、回復期リハビリテーション病棟などから出題されています。ここでは、介護医療院と、地域包括ケア病棟をチェックしておきましょう。また、第31回試験では、問題74で「へき地医療」について問われました。基本的な内容ですので、過去問ベースで整理しておきましょう。第30回試験では、問題72で「医療施設」について、問題73では「医療提供体制」について、問題74では「医療法」について問われました。どれも基礎的な内容ですので、同じく過去問をベースに整理しておきましょう。第29回試験でも、問題71で、医療機関の基準について問われ、内容としては、「特定機能病院、地域医療支援病院、診療所、在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所」について出題されています。こちらについては、必ずチェックしておいてください。また、第28回試験では、「医療法」について問われています。基本的な内容ですが、やや詳細が問われています。第27回試験では、問題73で「医療計画」についても問われました。第26回試験では、「我が国の医療提供施設」に関する問題が出題されました。こちらも基本的な内容です。同様に、第25回試験でも、医療提供施設の定義・規定が出題され、さらに事例問題で、地域医療支援病院と在宅療養支援診療所の連携に関する問題が出題されました。

 以上のことから、医療法で規定される「退院療養計画」「入院診療計画」「医療計画」については、過去問をベースに整理しておきましょう。

4.保健医療サービスにおける専門職の役割と実際

 本項目では、保健や医療における専門職の役割や機能について、具体的に整理することが必要となります。例えば、医師、保健師、看護師、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカーなどの役割です。また、前項とも関連しますが、インフォームドコンセントの意義と実際についても理解しておく必要があります。

 医療ソーシャルワーカーの役割の理解については、業務指針などを中心に整理するとよいと思います。「医療ソーシャルワーカー業務指針」では、業務の範囲を(1)療養中の心理的・社会的問題の解決、調整援助、(2)退院援助、(3)社会復帰援助、(4)受診・受療援助、(5)経済的問題の解決、調整援助、(6)地域活動としています。また、業務の方法等としては、(1)個別援助に係る業務の具体的展開、(2)患者の主体性の尊重、(3)プライバシーの保護、(4)他の保健医療スタッフ及び地域の関係機関との連携、(5)受診・受療援助と医師の指示、(6)問題の予測と計画的対応、(7)記録の作成等としています。これらの業務の範囲や方法等については、テキストや業務指針などを使用してよく理解しておいてください。過去の問題を見てみると、第29回試験では、医療ソーシャルワーカーの業務指針と、事例問題で医療ソーシャルワーカーの具体的支援について問われました(問題74、75を参照)。

 また、医療ソーシャルワーカーと同様に、ほかの専門職の役割を理解する場合にも、各種専門職の倫理綱領や業務指針などを参考にするとよいと思います。また、養成課程、根拠法や業務内容の概観などを理解することも重要となります。このように、ほかの専門職について正しく理解することが、次項でふれます連携や協働をしていくなかでとても重要となります。ちなみに、過去の問題を見ておくと、第32回試験では、訪問リハビリテーションを行う際の理学療法士の業務/保健師の保健活動について問われ、第31回試験では、前述した通り、医療関係職種の具体的な業務内容(業務範囲)について問われています。また、第30回試験では、医師の業務について、第29回試験では、医師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、社会福祉士について、第28回、第25回試験では、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護福祉士の資格とその業務についてまた、第24回試験では、問題67で、医療法などに規定される「医師等」の専門職種の役割や業務に関する問題が出題されました。さらに、第27回試験でも、保健師・助産師・看護師の資格とその業務について問われています。このように、単一の資格、例えば、第32回試験のように、「理学療法士」や「保健師」に限定する学習方法ではなく、広く、他専門職の役割や業務について、学習しておきましょう。

 このほか、本項目では、患者の権利といった観点から、インフォームドコンセントやセカンドオピニオン、アドヴァンス・ディレクティブ(事前指示)については必ず整理しておきましょう。そして、近年注目されている、「ACP=アドバンス・ケア・プランニング」や「人生会議(厚生労働省)」などについては必ずチェックしておきましょう。重要項目と言えます。

 以上のことから、広く保健医療サービスにおける専門職の役割と実際については、必ず整理しておいてください。

5.保健医療サービス関係者との連携と実際

 本項目では、医師、保健師、看護師等との連携、地域の社会資源との連携について押さえておくことが重要です。この2つの項目については、連携の方法、連携の実際、医療チームアプローチの実際などについてよく理解しておいてください。前項でもふれましたが、連携や協働を行うための基礎知識や、その初歩として相手の専門性や業務内容、役割や機能についてよく理解しておく必要があります。

 では、なぜ連携や協働が、重要かつ必要なのでしょうか。それは、人々の抱える問題が多様化し、複雑化しているからです。今までの支援は単一の専門職が単一の視点に基づいて行っていましたが、今後の支援は、多くの専門職が手を繋ぎ合い(連携)、ともに支援を行っていく(協働)ことになります。つまり、各専門職がそれぞれのアセスメントや診断、計画をもち寄って、それを一緒に共有する(カンファレンスなど)ことで、包括的な支援プランを作成していくことになります。

 また、本項目では、医師、保健師、看護師、助産師やリハビリテーション・スタッフ、その他コメディカル・スタッフとの連携についても具体的に理解しておく必要があります。また、地域の社会資源との連携についての整理も重要です。「地域」なくして「医療」を語ることが困難な昨今、当該医療機関がどのような地域に立ち、その地域からどのような期待をされているのか、そのために地域の社会資源とどのように協働していくのかなど、具体的に整理しておくことが大切です。

 第30回試験では、緩和ケア病棟における緩和ケアチームの各専門職の視点と役割に関する事例問題が問われました(問題76)。第29回試験では、「地域連携クリティカルパス(問題76)」について、第28回試験では、問題76で「回復期リハビリテーション病棟における復職を支援するチームのあり方」について問われています。このほか、第25回試験では、問題76で医療における地域連携システムが問われました。内容としては、医療機関の機能分化や、医療計画に関するものでした。本項目は、前述したように、人々のニーズや医療の意味が拡大する現代の保健医療分野では、チーム医療や他職種の連携や協働、統合が重視されています。また、診療報酬をはじめ国の保健医療政策や計画に連携が重要とされていることからも、今後も連携や協働に関する知識や技術については、出題される可能性が非常に高いです。基礎と共に、事例問題を想定し、応用力などをつけておきましょう。そのためにも、過去問解説集模擬問題集を中心に、事例問題慣れをしておくとよいでしょう。
 以上が、「保健医療サービス」のポイントです。
 次回は、「権利擁護と成年後見制度」の具体的な内容、ポイントについて解説していきます。

梅雨時は…

 天候も不順な梅雨。そして、なんとなく中途半端な季節で、「中だるみ」しやすい時期ですね。体調も崩しやすいですし、目標を見失いがちですよね。社会人の方で4月から国家試験の勉強を始めた方も、停滞期というか、「中だるみ」の時期だと思います。

 そんな時は無理して詰め込まず、コーヒーや紅茶を飲みながら、ゆっくり、のんびりと、勉強をしてみてください。ゆっくり、のんびりと、確認しながら勉強できるのは今のうちだけです。月日が進み、年末年始になると、じっくりと勉強することができなくなってきますので、今はとにかく丁寧に勉強しましょう。そして、この基礎学習が、後半戦で発揮されることになるということを意識しましょう。今はいい加減になんとなく覚えて学習するのではなく、丁寧に確実に学習することが大切です。

 もうすぐ梅雨明け!? いよいよピカピカの夏がやってきますよ。

 最後の最後まで、一緒に国家試験勉強、頑張りましょうね。

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