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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第9回 「福祉行財政と福祉計画」のポイント

 さて、今回は、「福祉行財政と福祉計画」の具体的な内容、ポイントについて解説していきたいと思います。今回も、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが示す出題基準に即した内容で整理していきます。季節も6月、いよいよ「梅雨」ですね。長く雨が続く時は、静かにコーヒーやハーブティなどを飲みながら、過去の問題や今できる用語の整理、暗記などを進めていきましょう。

本科目のねらい

 本科目の出題基準によると、大項目として、1.福祉行政の実施体制、2.福祉行財政の動向、3.福祉計画の意義と目的、4.福祉計画の主体と方法、5.福祉計画の実際の5つがあげられています。

 これらをみてみると、大きく分けて、(1)福祉行政・福祉行財政に関する理解と、(2)福祉計画に関する理解の2つが求められているのがわかります。

第32回試験をみてみると…

 本科目は、ある程度は出題内容が想定できますが、実際に出題されてみると難しく感じます。これは、毎年のことです。わかってはいるのに難しい科目です。

 本科目は、(1)福祉行政・福祉行財政、(2)福祉計画の2つに大別することができますが、毎年、問われる知識は広範にわたっています。だからといって諦めてしまうのではなく、過去問解説集模擬問題集などを中心に丁寧に整理、学習しておくと、得点につながると思います。ただし、やはり、漠然としていて、広範すぎてどこから手をつけていいのかわからない人も多いでしょう。内容としては、国や地方の役割・機能について整理しておくこと、また、特に地方における財源や役割・機能について整理しておくことをおすすめいたします。

 では、具体的に何から取りかかるかといえば、例えば、皆さんが勤務する施設や機関、通っている大学や専門学校、住んでいる都道府県、市や区などの地域福祉計画をホームページなどで確認してみてください。この地域福祉計画には、その街や地域が目指す方向性が示され、地域福祉を推進し、地域の連携体制を構築する具体的な方法が示されています。皆さんもぜひこの機会に、皆さんが勤務する施設や機関などの属する地域の地域福祉計画や地域福祉に関する統計を一読してみてください。皆さんが生活する地域の「圏域」がどのように設定されているかがわかると思います。

 第32回試験をみてみると、やはり重要項目がしっかり出題されています。例えば、地方公共団体の役割(問題42)や、社会福祉施設等の費用に関する国の負担(問題43)、地方の財政を理解するための「地方財政白書」(問題44)などが問われています。また、福祉計画では、各計画に関する詳細が問われ、変更の際、内閣総理大臣に提出しなければいけいない計画(問題45)や、評価を行うとされる計画(問題46)などが問われています。福祉計画については、過去問題(まずは過去3か年)をベースに整理しておきましょう。では、出題基準で取り扱われる5つの項目をもとに整理していきます。

各項目の詳細について

(1)福祉行政・福祉行財政

1.福祉行政の実施体制

 本項目は、1)国の役割、2)都道府県の役割、3)市町村の役割、4)国と地方の関係、5)福祉の財源、6)福祉行政の組織及び団体の役割、7)福祉行政における専門職の役割の7項目に分けられています。

 1)国の役割では、法定受託事務と自治事務、2)都道府県の役割では、福祉行政の広域的調整、事業者の指導監督、3)市町村の役割では、サービスの実施主体、介護保険制度における保険者に関する理解が必要となります。

 また、これら1)~3)が関係する4)国と地方の関係では、地方分権の推進について学習しておくことが重要です。「地方分権」とは、日本国憲法で定める地方自治の理念に基づき、その地域住民のニーズに応答し、全般的な住民の福祉を達成するために、地方自治体の業務に関わる権限と責任を国から地方へ委譲することをいいます。

 また、5)福祉の財源では、国の財源、地方の財源、保険料財源、民間の財源などについてよく理解しておくことが重要です。そして、6)福祉行政の組織及び団体の役割では、福祉事務所、児童相談所、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所、婦人相談所、地域包括支援センターなど、7)福祉行政における専門職の役割では、福祉事務所の現業員・査察指導員、児童福祉司、身体障害者福祉司、知的障害者福祉司などの専門職の役割や機能について、テキスト用語辞典を参考に整理しておいてください。

 過去の問題を整理してみると、第32回試験では、問題42と、問題43が該当し、問題42は、地方公共団体について問われています。具体的には、特別区、都道府県、中核市、広域連合、政令指定都市などについて問われています。問題43は、国が3/4負担する費用として、「救護施設の入所措置に要する費用」を選ぶ問題が出題されています。それぞれ、養護老人ホームの入所措置:10/10、婦人相談所の一時保護:1/2、母子生活支援施設の母子保護の実施:1/2、児童養護施設の入所措置:1/2となっています。また、第31回試験は、都道府県の役割について問われており、市町村や国の役割と合わせて整理しておきましょう。また、第30回試験では、基礎的な内容ですが、問題42で「地方公共団体の事務」について問われています。このほか、「地方財政の状況」や「国の費用負担」「社会福祉等に係る法廷の機関(都道府県、市町村)」「厚生労働大臣の役割」について問われています。こちらについては、必ず過去問をベースに整理しておきましょう。また、第29回試験では、「地方公共団体が関わる社会保険等」「社会福祉制度の利用」のほか、「社会福祉法に定める共同募金」や「社会福祉における専門職」について問われました。「社会福祉における専門職」では、知的障害者福祉司、児童福祉司、身体障害者福祉司、主任介護支援専門員、都道府県の社会福祉主事について問われています。さらに、第28回試験では、「介護保険の保険料」「不服申し立て制度」「福祉事務所」について問われています。

 本項目は、出題基準で示される範囲も広いですが、毎年、2~3問程度出題されています。どこから取りかかっていいかわからないかもしれませんが、まずは過去問解説集で、過去に出題された項目、内容をしっかり整理しておきましょう。

2.福祉行財政の動向

 本項目では、福祉行財政の動向についての理解が大切です。特に、社会福祉基礎構造改革の大きな流れを整理するとともに、これに関連する介護保険制度や障害者自立支援法、生活保護制度についての理解、母子生活支援施設、助産施設、保育所入所制度などについても整理しておいてください。福祉行財政の基礎については、テキストを中心に学習し、動向については、『厚生労働白書』や『地方財政白書』などを活用して整理しておくとよいでしょう。また、こちらは、前項の「1.福祉行政の実際」と関連づけて学習すると理解が深まります。

 第32回試験では、地方の財政状況を理解するために重要な統計資料である「地方財政白書」から出題されています。こちらの地方財政白書は出題頻度も高く、また地方の財政状況を整理、理解するためには必須の統計資料となります。また、第31回試験では、問題43の国の一般会計歳出予算の社会保障関係費で、予算額が最も多いものが問われ、答えは「年金給付費」となります。このように統計問題は出題頻度が高いので必ずチェックしておきましょう。

(2)福祉計画

3.福祉計画の意義と目的

 さて、ここからは、「福祉計画」に関する内容です。

 本項目は、1)福祉計画の意義と目的、2)福祉計画における住民参加の意義、3)福祉行財政と福祉計画の関係の3項目に分けられています。福祉計画については次の項目でも整理しますが、まずは福祉計画自体について理解しておくことが重要です。福祉計画といえば、主に地域福祉計画を思い浮かべる人が多いと思いますが、この地域福祉計画は、2000年(平成12年)6月の社会福祉事業法(現:社会福祉法)の改正により新たに規定された事項であり、市町村地域福祉計画や都道府県地域福祉支援計画があります。また、この地域福祉計画の策定にあたっては、各地方自治体が主体的に取り組むこととなっており、地域住民の意見を十分に反映させながら策定する計画ですので、今後の地域福祉を総合的に推進するうえでの大きな柱となっています。

 福祉計画で重要なことは、行政主導ではなく、地域住民を主体として地域全体で福祉の今後を考え計画していくことです。

 過去の問題を整理しておくと、第31回試験では、問題47の「法律に基づく、福祉計画に定めるべき事項」が関係してきます。ここでは、介護保険事業支援計画や都道府県障害者福祉計画、市町村障害者計画、市町村障害児福祉計画、市町村市域福祉計画が出題されています。各計画については、根拠法や定めるべき事項などを整理しておきましょう。また、第30回試験では、問題48で「近年の福祉計画等」について、「地域福祉計画」「障害者基本計画」「都道府県健康増進計画」「市町村子ども・子育て支援事業計画」「第6期介護保険事業計画」が問われています。ここで挙げた計画については、必ず整理しておきましょう。また、第27回試験では、福祉計画策定における住民などの意見の反映に関する内容が問われています。まず、ここで重要なことは、福祉計画は、行政主体で策定されるものではなく、地域住民や当事者を含む市民が主体的に策定していくものであるということです。それを前提に、福祉計画の意義と目的について整理しておくと理解が促進されます。このような形式は、今後も出題される可能性が非常に高いですので、各法律をチェックしておいてください。

4.福祉計画の主体と方法

 本項目は、1)福祉計画の主体、2)福祉計画の種類、3)福祉計画の策定過程、4)福祉計画の策定方法と留意点、5)福祉計画の評価方法の5項目に分かれています。1)福祉計画の主体については、前項でも説明したように、住民が参加することが重要とされています。また、2)福祉計画の種類については、具体的には、地域福祉計画、老人福祉計画、介護保険事業計画、障害福祉計画などがあげられています。3)福祉計画の策定過程については、問題分析と合意形成過程の理解が重要です。そのほか、4)福祉計画の策定方法と留意点、5)福祉計画の評価方法については、テキストを活用して整理しておいてください。

 第32回試験では、問題45で、福祉計画の主体について問われ、問題47では1990年の福祉関係八法改正より以前の福祉計画について問われています。また、第31回試験では、問題45で「福祉計画の策定に際して、相互の計画を一体的のものとして作成するもの」について問われています。答えを示してしまうと、「市町村老人福祉計画と市町村介護保険事業計画」ということになります。また、問題46では、福祉計画策定の一連の過程について問われています。ここでは、PDCAサイクルを少し整理しておきましょう。PDCAサイクルとは、P=Plan,D=Do,C=Check,A=Actであり、「計画」→「実施」→「検証・確認」→「改善」の4つの段階のサイクルを一貫して行い、それを繰り返すことによって品質の向上を図る手法です。また、第30回試験では、「計画期間が5年を一期とする福祉計画」を問う問題が出題されています。答えは、「市町村子ども・子育て支援事業計画」です。このほか、「市町村介護保健事業計画」や「市町村老人福祉計画」「市町村障害福祉計画」「市町村地域福祉計画」などが選択肢としてあげられています。合わせて計画期間を整理しておきましょう。また、第29回試験では、福祉計画等の策定の具体的な内容について問われました。こちらは過去の問題をベースにチェックしておいてください。第28回試験では、「市町村の策定する地域福祉計画」と「社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画」について問われています。学習のポイントとしては、両者の共通点と相違点を整理しておくことです。問題46では、市町村老人福祉計画、市町村介護保険事業計画、市町村地域福祉計画、市町村障害福祉計画、市町村子ども・子育て支援事業計画から出題されています。各福祉計画の詳細とともに、関係・関連する福祉計画との互換性などについてもチェックしておきましょう。また、第27回試験では、問題47で「福祉計画・医療計画などの策定技法と評価」に関する問題が出題されています。以上、福祉計画の主体と方法については、過去の問題をベースに整理しておいてください。まずは、過去3か年の問題を中心に整理しておきましょう。

5.福祉計画の実際

 本項目については、実践事例や実際の福祉計画などを使って学習しておくとよいでしょう。本項目の内容は、事例問題として出題されるかもしれませんし、応用問題もありますので、3.福祉計画の意義と目的や4.福祉計画の主体と方法の基礎部分をしっかりと学習しておき、その内容を応用することがポイントです。それが、本項目の一番の攻略法だといえます。

 ちなみに、第28回試験では、ズバリ「地域福祉計画策定状況」の調査結果概要について問われました。第32回試験では、問題48で「第7期介護保険事業計画」に関する内容が問われています。こちらは、介護保険制度を理解する上でも重要な問題となっていますので、過去問をベースに整理しておきましょう。また、第29回試験でも、介護保険事業支援計画について問われました。都道府県が策定するものが、介護保険〈支援〉計画です。そう〈支援〉が入ります。一方、市町村が策定するものは、介護保険計画です。〈支援〉が入りません。本設問は、市町村の介護保険計画において定められる内容か、都道府県の介護保険支援計画において定められる内容なのかを判断するものでした。過去問解説集をベースにチェックしておいてください。

 以上が、「福祉行財政と福祉計画」のポイントです。各項目、重要なポイントを整理しながら、しっかりと内容を頭に入れていってください。

 次回は、「社会保障」の具体的な内容、ポイントについて解説していきます。

「梅雨」がはじまりますね。

 全国的に、南から梅雨入りの時期となってきましたね。この1か月は、ジメジメとした天気が続くのではないでしょうか。そうなると、体調も崩しやすいので、食事、運動、休息をしっかりととって、この時期を乗り越えましょうね。

 止まない雨はありません。暗く重い雨の後には、ピカピカの晴天空が待っています。国家試験の勉強も一緒です。今はどんより曇り空や雨脚の強い真っ黒な空がかかっているかもしれませんが、暗ければ暗いほど、次に来る晴天の輝きは明るいものです。つまり、苦労すればしただけの結果が必ず得られるものです。

 最後の最後まで、一緒に頑張りましょう。

===新型コロナウイルスについて===
 最後に、本講座も、多くの方に受講していただいておりますので、
 皆様とともに、注意喚起を共有できればと思います。

 自身への感染を防ぐことはもとより、周囲の人々、大切な人々、愛する人々の
 ウイルスを拡散しないためにも、不要不急の外出は自粛しましょう。
 不要不急の外出の場合は、
 (1)喚起の悪い密閉空間
 (2)多数が集まる密集場所
 (3)近距離での会話や発声をする密接場面
 を避ける行動を意識しましょう。

 自宅にいましょう。外出を自粛、控えましょう。STAY HOME!!!   皆さんで、協力してこの難局をのりこえましょう。

 〈新型コロナウイルスの感染が疑われる場合の方は〉
 躊躇せず相談してください。 自己判断せず、必ず相談をしましょう。

 最後に、 この度の新型コロナウイルス(COVID19)で、大切な方が罹患され治療中である
方や、ご不幸にもお亡くなりになられた方もいらっしゃるかと思います。
お見舞い、そしてお悔やみ申し上げます。

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