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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第6回 「社会理論と社会システム」のポイント

 5月、新緑の季節。青い空、緑の大地を見ていると、身体の内面から力が湧いてくるようです。「五月病」なんて言葉がありますが、疲れたときは無理せず休んだり、愚痴ったりすることが大切です。そして、そんなときは、大きな空、海を眺めてみると、その深刻さが少しだけ軽減されます。「どうしようもない」ことは、「どうにもならない」ので、焦らず、ゆっくりと向き合っていけばいいと思います。少し時間を置くだけで、見えてくるものは違ってくるものです。

 さて、今回は、「社会理論と社会システム」の具体的な内容、ポイントについて解説していきたいと思います。今回も、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが示す出題基準が示す出題基準に即した内容で、整理していきます。

本科目のねらい

 本科目の出題基準によると、大項目として、1.現代社会の理解、2.生活の理解、3.人と社会の関係、4.社会問題の理解の4つがあげられています。

第32回試験をみてみると…

 本科目は、社会学系の科目ですので、「現代社会と福祉」「地域福祉の理論と方法」「社会保障」と並び、毎年、苦手意識をもっている受験生が多い科目の一つです。

 第32回試験を振り返ってみると、具体的な社会学理論について出題されました。具体的には、現代社会の諸問題や、社会学の基本的な用語を問う問題です。例えば、問題16では、「過去5年間の日本の失業等の動向(出典:労働力調査年報)」について統計問題が出題されています。この他、問題15では、ヴェーバーの支配の3類型(①伝統的支配、②カリスマ的支配、③合理的支配)から、「合理的支配」の具体的内容が問われました。また、問題19では、社会的行為からパーソンズの「主意主義的行為理論」について問われています。このほか、社会学の基礎となる用語として「コンパクトシティ」「囚人のジレンマ」「構築主義」などが問われています。例年出題され、出題頻度の高い貧困に関する用語や人名とその理論については、出題されませんでしたが、「ジニ係数」や「相対的貧困率」などは基本的な内容ですので、必ず調べておきましょう。「ジニ係数」は、第31回試験で出題されています。

 以上、挙げた内容は基礎的な内容ですが、きちんと事前学習している必要があります。今は、まだ理論やその内容を見てもわからないことが多いと思いますが、最初から絶対に諦めず、過去問をベースに、これらの理論に関する専門用語を暗記していきましょう。基本的な内容が暗記できれば、応用も可能となってきます。ただし、繰り返しますが、今から暗記を諦めてしまっては、できるものもできませんし、社会福祉士の合格は絶望的です。

 このほか、本科目では、「都市化」「近代官僚制」「限界集落」「家族」などの出題頻度が高く、かつ基礎的な内容であり、重要な内容と言えます。

 まず、皆さんが克服するのは、「面倒」「苦手」といった自分自身の〈心〉です。「面倒」「苦手」という思考がある以上、どんなに学習しても頭には入ってきません。なぜならば、頭は無意識に情報をシャットアウトしてしまうからです。本科目の学習法は、まずは各専門用語をしっかりと理解することです。特に、今の時期は焦らずに用語辞典などを活用して、社会福祉特有の用語について整理するようにしましょう。
 では、出題基準で取り扱われる4つの項目をもとに整理していきます。

1.現代社会の理解

 本項目は、1)社会システム、2)法と社会システム、3)経済と社会システム、4)社会変動、5)人口、6)地域、7)社会集団及び組織の7項目に分けられています。この7項目は、現代社会を理解するうえで非常に重要な項目です。どの項目もしっかりと学習しておく必要があります。

 各項目の詳細を見てみますと、1)社会システムについては、社会システムの概念、文化・規範、社会意識、産業と職業、社会階級と社会階層、社会指標など、2)法と社会システムについては、法と社会規範、法と社会秩序など、3)経済と社会システムについては、市場の概念、交換の概念、労働の概念、就業形態など、4)社会変動については、社会変動の概念、近代化、産業化、情報化など、5)人口については、人口の概念、人口構造、人口問題、少子高齢化など、6)地域については、地域の概念、コミュニティの概念、都市化と地域社会、過疎化と地域社会、地域社会の集団・組織など、7)社会集団及び組織については、社会集団の概念、第一次集団、第二次集団、ゲマインシャフト、ゲゼルシャフト、アソシエーション、組織の概念、官僚制などがあげられています。

 項目の数はたくさんありますが、一つひとつ丁寧に整理して暗記していけば、確実に点がとれる内容です。面倒くさがらず、用語辞典テキストなどを利用して、確実に学習しましょう。

 第32回試験では、問題15のウェーバーの「合法的支配」や問題16の「日本の失業の動向」、問題17「コンパクトシティ」などが挙げられます。まずは、こちらの用語や、統計資料を見てみることから始めてみましょう。また、第31回試験は、「ジニ係数」や「社会集団」に関する内容は基本的なものであり、重要な項目について問われています。さらに過去の問題を見ておくと、第30回試験では、問題15の「裁判員制度」や問題16の「労働市場に関する統計」について問われ、第29回試験では、問題15の「所得格差を示す指標」や、問題16の「日本におけるコミュニティ政策の展開」が本項目に該当します。「所得格差を示す指標」については、先ほどもお話ししましたが「ジニ係数」です。はじめて目にする方も多いと思います。少し解説しておきましょう。ジニ係数は、〈「0」から「1」〉で示され、最も不平等で所得格差が大きい時に「1」に近づき、最も平等で所得格差が小さい時に「0」となります。ちなみに、0のときには完全な平等、つまり皆同じ所得を得ている状態を示します。よって、この数値で、国の所得格差を示す指標です。また、0.5を超えると政府による是正が必要とされています。では、日本はどうでしょうか? 日本は、1980年代以降、この係数は「1」に近づいています(実際は、「0.3791(0.3前後)」で推移しています)。つまり格差が広がっているということです。 

 さらに過去の問題を見ておくと、出題回(年)は示しませんが、「限界集落」について問われました。限界集落は、過疎化による人口の減少により、65歳以上の高齢者が過半数を占め、集落として維持していくことが困難、つまり限界的な状態にある地域のことをいいます。この過疎地域は、人口では全国の約8%にすぎませんが、市町村数の約4割を占めています。また「人口統計で用いられる基本用語」に関する問題も出題されています。例えば、人口増加率、合計特殊出生率、従属人口指数、平均寿命、生涯未婚率などの用語が問われています。ここでは、「合計特殊出生率」について整理しておきます。合計特殊出生率とは、「人口統計上の指標で、一人の女性が一生の間に産む子供の平均数を示す」ものです。細かい計算式はお示ししませんが、女性が出産可能な年齢を15歳から49歳までと規定し、各年齢の出生率を出して足し合わせることで、一人の女性が一生の間に産む子供の数の平均を求めています。この指標によって、異なる時代、異なる集団間の出生による人口の自然増減を比較・評価することができるのです。

 以上、本項目では、基礎から応用まで幅広く、かつ前述の7項目が相互的に出題されています。これらのことから、まずは、用語辞典で用語の整理をしたうえで、ワークブックなどの参考書を活用して学習することをおすすめいたします。
 本項目からは、今後も出題される可能性はとても高く、特に、1)社会システム、2)法と社会システム、3)経済と社会システム、4)社会変動については、詳細を整理しておきましょう。

2.生活の理解

 本項目では、1)家族、2)生活の捉え方についての理解が重要です。1)家族については、家族の概念、家族の変容、家族の構造や形態、家族の機能、世帯の概念などがあげられています。また、高齢者世帯、核家族化、単独世帯化の進行や統計的理解も必要となりますので、テキストなどを一読しておいてください。
 2)生活の捉え方については、ライフステージ、生活時間、消費、生活様式、ライフスタイル、生活の質などがあげられています。
 第31回試験では、65歳以上の者のいる世帯の世帯構造について問われ、第32回試験では、「直系家族(問題18)について問われています。説文文の言葉を借りて説明すると、〈直系家族とは、後継となる子供の家族との同居を繰り替えして、家族が世代的に再生産される〉ということになります。この他、第30回試験では、問題18「高齢者世帯の世帯構造」に関する問題が出題されています。このほか、第29回試験では、問題17で「ライフサイクル」について問われています。ライフサイクルとは、設問文を借りれば「各段階の固有の発達課題を達成していく過程」といえます。また、第27回試験では、「家族」と「世帯」に関する内容が問われました。こちらは、非常に基本的な内容ですが、重要項目ですので必ず整理しておいてください。このほか、「人の生涯の軌跡」に関する問題が問われ、具体的には「ライフコース」「ライフサイクル」「ライフイベント」などについて問われています。詳細について整理しておいてください。今後も出題される可能性が高いと思います。また、第26回試験では、「国民生活基礎調査(厚生労働省)」による世帯状況に関する具体的数値、統計が出題されました。この他、「国民基礎調査」の「所得」「児童のいる世帯」や、「国民医療費」「地方財政白書」などについてチェックしておきましょう。第25回試験では、問題18で「現代の家族」に関する問題が出題され、用語としては、「核家族世帯」や「生殖家族」「定位家族」などが問われました。

 以上、社会構造を知るうえで、家族や生活の捉え方については必須項目となりますので、今後もこの項目から出題される可能性は高いと思います。テキストワークブックをベースにして、しっかりと整理しておきましょう。内容的には、一度整理しておけば十分解答が可能な問題だと思います。

3.人と社会の関係

 本項目は、1)社会関係と社会的孤立、2)社会的行為、3)社会的役割、4)社会的ジレンマについての理解が重要です。社会における個人との関係性に着目して整理する項目となります。
 近年の社会状況から、社会的孤立や社会的役割、社会的ジレンマについては出題される可能性は高いと思います。したがって、『新・社会福祉士養成講座 第3巻 社会理論と社会システム(第3版)』の「第4章 社会問題の理解」の内容などを参考にして、整理しておくとよいでしょう。
 第32回試験では、問題19でパーソンズの「社会的行為論」について問われています。「社会的行為」については、整理しておいて欲しいともいます。「行為」と「行動」は、社会学的にはどのように整理されているのか。また、問題20では「囚人のジレンマ」について出題されています。現時点では、問題文やワークブックの説明程度の理解で十分です。まずは社会学特有の用語に慣れていきましょう。さらに過去問題を見ておくと、第31回試験では、問題20の社会的行為が本項目に該当します。このほか第30回試験では、問題19で「子どもが、ままごとのような「ごっご」遊びで親の役割をまねることを通して自己を形成し、社会の一員となっていく過程を示す概念」について問われました。これを「役割取得」といいます。このような基礎的な内容ですが、本選択肢で示された、「役割期待」「役割葛藤」「役割演技」「役割分化」については各自で用語の整理をしておきましょう。特に「役割葛藤」は出題頻度が高い項目です。例えば、第27回試験は「役割葛藤」がピンポイントで問われ、第25回試験では、広く「役割概念」について問われました。具体的には、「役割期待」や「役割葛藤」「役割距離」「役割分化」「役割取得」などの用語が出題されています。さらに過去の問題を整理しておくと、第29回試験では、問題19「社会的行為」、問題20「社会的役割」について問われています。また、第28回試験では、「社会的ジレンマ」について問われました。社会的ジレンマとは、ある行為者にとって利益をもたらす合理的選択が、他の個人や社会全体にとって合理的とならず、損害をもたらす事態を指す用語で、人々がそのような経験を積み重ねることで、規範や道徳などの社会性が形成するとされています。また、第27回試験では、「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」に関する基本的な内容が問われました。ちなみに、第23回試験でも、同様に「ソーシャルキャピタル」について問われています。この「ソーシャルキャピタル」とは、「社会関係資本」と称され、社会構造が資本的に動くメカニズムに焦点をあてた概念と言えます。また、第26回試験では、「社会的行為」について問われています。

 このような問題は、暗記問題ですが、同じ用語がなんども問われていることに気がつきます。勉強法としては、過去問解説集ワークブックなどを活用して、用語を整理しておきましょう。暗記問題は、覚えるまでは苦労ですが、覚えてしまえば必ず得点できるものです。

4.社会問題の理解

 本項目では、1)社会問題の捉え方、2)具体的な社会問題についての理解が重要です。1)社会問題の捉え方については、社会病理、逸脱などがあげられています。

 また、2)具体的な社会問題については、差別、貧困、失業、自殺、犯罪、非行、公害、社会的排除、ハラスメント、DV、児童虐待、いじめ、環境破壊などがあげられています。これらについては、まずは用語の正しい理解と、それに関連する法律や制度について整理しておく必要があります。また、統計データなどの最新の情報や新聞などで取りあげられている話題についてもよく理解しておく必要があります。

 第32回試験では、問題21で、構築主義の説明が出題されています。構築主義とは、社会問題が認識されるプロセスを解明しようとするものです。第31回試験では、問題18の人口に関する内容が、本項目に関連する項目と言えます。高齢化や少子化、人口の減少など、我が国の社会保障制度を支える上で非常に重要な問題となります。科目「社会保障」と関連させて学習するとよいでしょう。第30回試験では、児童虐待に関する検挙状況について問われました。また、第28回試験では、(社会問題の捉え方に関する)構築主義的なアプローチについて問われました。構築主義とは、ある認識が人々の相互作用から社会的に構成されていく過程を明らかにしようとする考え方で、事実や現実は人間関係の中でそのつど生成、変形されると考える立場を取っています。こちらについては、過去問ベースで整理しておきましょう。

 以上、前述の2)の具体的な社会問題については、一つひとつの用語を整理しておきましょう。どのような社会的問題が生じているのか、個人の問題として捉えるのではなく、問題が個人と社会や環境との相互作用によって生じることを意識して整理すると、理解が促進されます。

 ここまでが、「社会理論と社会システム」のポイントです。聞きなれない用語や概念などが出てくる科目なので、苦手意識をもっている人が多い科目です。しかし、一度しっかりと用語や人名、概念などについて学習すると、意外と解きやすい問題でもあります。そして、このように暗記を要する科目は、早い段階で自分なりの整理を一度行い、そのうえで暗記してみてください(中央法規出版からは、暗記マスターなども出版されています)。そして、過去問解説集模擬問題集を使って繰り返し問題を解きながら、暗記を確実なものにしていくと、より力がつきます。
 次回は、「現代社会と福祉」の具体的な内容、ポイントについて解説していきます。

中弛み(なかだるみ)の季節

 6月は梅雨の時期ですので、ジメジメと、悶々と、何となく気分が乗りませんね。目立った連休もなく、体も心も疲れぎみ。4月に立てた目標や、それを実現するためのモチベーションも、徐々に忘れ、中弛みの季節ではないでしょうか?

 そんな時は、無理して外に出ようとせず、自宅でも、自宅の近所でも、気分転換できる手軽な場所で、リセットしてみてはいかがでしょうか?

 例えば、ゆっくり自分のためにコーヒーや紅茶を入れて、10分でも、30分でも何も考えずにのんびりしてみるとか。人間の脳はよくできていて、気持ち、気分一つで、行動も見えてくる世界も全然違ってきます。

 それでは、Have a break!! Have a good time!!

===新型コロナウイルスについて===
 最後に、本講座も、多くの方に受講していただいておりますので、
 皆様とともに、注意喚起を共有できればと思います。

 自身への感染を防ぐことはもとより、周囲の人々、大切な人々、愛する人々の
 ウイルスを拡散しないためにも、不要不急の外出は自粛しましょう。
 不要不急の外出の場合は、
 (1)喚起の悪い密閉空間
 (2)多数が集まる密集場所
 (3)近距離での会話や発声をする密接場面
 を避ける行動を意識しましょう。

 自宅にいましょう。外出を自粛、控えましょう。STAY HOME!!!   皆さんで、協力してこの難局をのりこえましょう。

 〈新型コロナウイルスの感染が疑われる場合の方は〉
 躊躇せず相談してください。 自己判断せず、必ず相談をしましょう。

 最後に、 この度の新型コロナウイルス(COVID19)で、大切な方が罹患され治療中である
方や、ご不幸にもお亡くなりになられた方もいらっしゃるかと思います。
お見舞い、そしてお悔やみ申し上げます。

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