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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第30回 クローズアップ~社会保障

年金保険制度

 次に、社会保険に属する「年金保険」について整理しておきます。

 日本では、1961(昭和36)年4月に国民皆年金制度が発足しました。年金保険は、厚生年金保険、共済組合(国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合)、日本私立学校振興・共済事業団(私立学校教職員共済)、国民年金の4つに分けられています。

 その変遷をみてみますと、1985(昭和60)年には、基礎年金の導入に伴い、年金制度の一元化が行われました。つまり基礎部分、いわゆる「一階部分」を一元化して統一しました。その後、1991(平成3)年には、20歳以上の学生の国民年金への強制加入(2000(平成12)年に学生の保険料納付特例制度が導入される)などのトピックスがありました。また、近年の大きな話題として、1985年の「一階部分」の一元化に対し、「二階部分」(被用者年金制度の報酬比例部分)の一元化に向かって制度改正への動きがありました。

 このほかに、1997(平成9)年には基礎年金番号制度が導入され、1998(平成10)年にはドイツと社会保障(年金)協定を締結し、二国間で海外勤務者の年金適用調整などを協定しました(イギリスとは2000(平成12)年、アメリカや韓国とは2004(平成16)年に協定)。

 さらに、2004(平成16)年には、(1)保険料水準固定方式とマクロ経済スライドが導入されました。保険料水準固定方式とは、将来の保険料を固定(負担の上限を設定)し、その収入の範囲内で給付水準を自動的に調整する方法です。また、マクロ経済スライドとは、社会全体の保険料負担の能力の伸びを年金改定率に反映させ、水準を調整する方法です。そのほか、(2)離婚時の厚生年金の分割と第三号被保険者期間の厚生年金の分割、(3)保険料の多段階免除制度、(4)若年者の納付猶予制度の導入、(5)育児休業中の保険料免除の拡大など、大規模な年金改正が行われました。

 また、年金保険制度を揺るがすものとして、平成28年度末の第一号被保険者は1575万人で、その数は減少しています。さらに、納付率については、65.0%となっています。また保険料の全額免除を受けた人や一部免除を受けた人、納付猶予者を含めると、被保険者の保険料の納付割合は低く、いやゆる“年金の空洞化”が指摘されています。さらに、少子高齢化に伴い、生産年齢人口が減少し、保険制度というシステム自体が崩壊しかねない事態に陥っています。このような状況を踏まえ、2012(平成24)年8月に社会保障・税一体改革大綱に基づき改正された基礎年金の国庫負担の2分の1引き上げや被用者年金の一元化が実施されました。さらに、この流れから、2017(平成29)年には、老齢基礎年金の受給資格期間を25年から10年に短縮しました。

 以上は、制度やシステムからみた社会保障ですが、利用者の生活を支える社会福祉士にとって、社会保障とは、単にその仕組みを理解するだけの知識にとどめてはなりません。つまり、社会保障とは、人々が生きていくうえで必要な生活の保障であり、生活費そのものなのです。こういった観点からも、今後の年金制度のあり方を考察していく必要があります。

年金保険以外の社会保険制度の概略(目的)

 前述しましたが、社会保険には年金保険以外に、医療保険、介護保険、雇用保険、労働者災害補償保険があります。

 まず、医療保険からみてみますと、医療保険は医療給付であり、病気や怪我によって治療を要する医療費を保証するための保険給付を行うことにより、国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的としています。

 また、介護保険は介護給付であり、要介護(要支援)状態となった場合に、必要な保健医療・福祉サービスの給付を行い、国民の保健医療の向上、福祉の増進を図ることを目的としています。

 さらに、雇用保険は失業給付であり、労働者が失業した場合に保険給付を行うことによって、労働者の生活・雇用の安定を図ることを目的としています。

 労働者災害補償保険は労災給付であり、業務および通勤災害を被った労働者やその遺族に対して保険給付を行うことで、生活保障や社会復帰の促進等により、労働者の福祉の増進に寄与することを目的としています。

まとめ

 今回は、社会保障のなかでも社会保険を中心に解説してきました。同様に、社会扶助の詳細についても整理しておいてください。特に、生活保護制度については、次々回で取り扱う科目の「低所得者に対する支援と生活保護制度」で問われます。近年、広く生活保護制度について議論されています。くれぐれも、新聞やニュースレベルでとどめるのではなく、生活保護法の一読は当たり前ですが、生活保護制度に関して、現在議論されている内容とそれについての自らの考えについても整理してください。

 本科目は、科目名を聞いただけで毛嫌いをしてしまっている人も多いと思います。しかし、内容を整理しておくと、意外と得点ができる科目です。最初は、用語や仕組みが独特であったりするので勉強しにくい科目に感じるかもしれません。しかし、その用語や仕組みについて一度しっかりと理解してしまえば、内容が頭にスッと入ってきますので、最初の基礎学習(知識)を乗り越えてほしいです。

 以上、「社会保障」の解説でした。

 次回は、「クローズアップ~障害者に対する支援と障害者自立支援制度」です。

 いよいよ、受験勉強の重要な時期になってきました。現時点では、問題を解いても、150点満点中、60点、70点という方も多いかと思いますが、間違えた箇所を一つひとつ丁寧に頭に入れ、それを積み上げることで、合格ラインの90点へと達していきます。試験まで残り約100日ですが、合格に十分な日数はあります。今から、諦めてしまうことなく、一つひとつ積み上げていきましょう。
 11月16日(土)、17日(日)は、東京で「実力アップ講座」を開催します。私が19科目を2日間で一気に講義します。各科目、出題頻度の高い項目や重要項目を2~3項目ピックアップして解説していきます。

 ここからの勉強で重要なことは、不確実なものであったり、うろ覚えの項目を確実に暗記することと、間違った内容を整理したうえで、繰り返し問題を解いて、問題慣れすることです。

 そして、合格点に不足している点数も、実は、意外と単純なミスだったり、文章をよく読めば得点ができたりするものが多く、解答解説を読んだりすると、「なんだ」ということが多いかもしれません。そういった知識は、覚えていないのではなくて、身についていないのです。身についていない知識は、国家試験当日に発揮することはできませんので、繰り返すこと、そして説明できるぐらいに頭の中で整理されていることが重要です。

 それでは、朝晩冷えますので、体調を崩さないように。「国家試験勉強の秋」をエンジョイしましょうね。

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