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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第23回 「更生保護制度」のポイント

 さて、今回は、「更生保護制度」の具体的な内容、ポイントについて解説していきたいと思います。今回も、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが示す出題基準に即した内容で整理していきます。

 本科目が、社会福祉士国家試験19科目の最後の科目となり、4月から行ってきた科目ごとのポイント解説がすべて終わります。これで、全科目の概要がつかめたのではないでしょうか?
 まだまだ暑い日が続きますが、ご自愛ください。そして、今、この時に、基礎を繰り返し身に着けておいてください。

本科目のねらい

 本科目の出題基準によると、大項目として、1.更生保護制度の概要、2.更生保護制度の担い手、3.更生保護制度における関係機関・団体との連携、4.医療観察制度の概要、5.更生保護における近年の動向と課題の5項目があげられています。

第31回試験をみてみると…

 本科目は、4問の出題でした。内容的には、例年出題されている重要項目からの出題でした。そういった意味では、重要項目に沿って、用語や内容の整理をすることで得点につながります。特に第31回試験は、細かい内容を問うような難問ではありませんでした(これは、ここ近年の傾向でもあります)。よって、本科目の学習は基礎知識、用語の整理が重要となります。例えば、問題147の「保護観察制度」や、問題148の「構成保護制度の担い手である保護観察官・保護司」に関する問題、問題150の「社会復帰調整官」に関する問題といったように、基本的な内容が問われていました。こちらは過去問をベースに整理しておきましょう。ちなみに、第30回試験も同様の内容が問われています。過去問ベースに整理すると、本科目の理解が深まると思います。

 臨床をされている人でも、日頃、本分野や前回の就労支援などのケースにあまり関わりをもっていない人も多いと思います。一見、なぜ社会福祉士が「更生保護、就労支援なの?」と思う人もいらっしゃるでしょう。

 しかし、社会福祉士には、この更生保護分野や就労支援の分野で、広く活動することが、社会から期待されています。社会福祉士をめざす人は、本科目の内容については、しっかり理解、習得しておいてほしいと思います。

各項目の詳細について

1.更生保護制度の概要

 本項目では、1)制度の概要、2)保護観察、3)生活環境の調整、4)仮釈放等、5)更生緊急保護などについて理解します。

 ここでは、保護処分について整理しておきます。保護処分は、家庭裁判所が非行少年に行う終局処分で、少年法第24条に規定されています。それによると、(1)保護観察所の保護観察、(2)児童自立支援施設または児童養護施設への送致、(3)少年院への送致が主な役割です。言葉としては聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。しかし、内容の正しい整理や理解が必要となります。

 まず、第31回試験は本項目から1問、第30回試験は2問、第29回試験は3問、第28回、第27回試験は本項目から1問出題されており、さらに過去の問題を見てみると、第26回で1問、第25回で2問、第24回試験で3問、第23回試験で2問出題されています。このことから、基本的な内容ですが、重要であることがわかります。よって、まず、この更生保護制度の概要を理解することが、この科目を攻略するコツといえます。

 具体的には、保護観察について問われています。保護観察とは、刑務所などでの「施設内処遇」に対して、社会生活を通して更生をはかる「社会内処遇」と言われており、保護観察は、非行少年や犯罪者本人に対して、補導援護や指導監督を通し改善更生を図ります。第31回試験では、この保護観察制度の基礎について問われています(問題147)。この実施は、保護観察所がつかさどります。この「保護観察の遵守事項」については、第28回試験で問われています。内容としては、保護観察における「指導観察」「補導援護」の具体的な内容をはじめ、遵守事項の「一般遵守事項」「特別遵守事項」の整理が必要となります。また、第27回試験でも、「少年に対する保護観察」に関する知識が問われました。内容としては、1号観察と、2号観察について問われています。1号観察とは、保護処分としての保護観察で、家庭裁判所において決定されるものです。一方、2号観察とは、少年院を退院したのち収容期間の満了日または本退院までの期間受ける保護観察で、保護観察所長が地方更生保護委員会に申請し、地方更生保護委員会が決定します。

 最後に、第29回試験を見てみると、問題147「更生保護制度の目的」、問題150「非行少年の取り扱い」、問題148「更生緊急保護」について問われています。各項目について少し解説を加えておくと、「更生保護制度の目的」は、一言で言うと「社会を保護し、個人及び公共の福祉の増進をめざすこと」です。その方策は、一つ目に、犯罪を犯した者及び非行のある少年に対し、社会内において適切な処遇を行うことにより、再び犯罪をすることを防ぎ、またはその非行をなくし、これらの者が善良な社会の一員として自立し、改善更生することを助けること(保護観察等)、二つ目は、恩赦の適切な運用を図ること、三つ目は犯罪予防の活動の促進等を行うことにあります(こちらは、第30回試験問題147でも出題されています)。また、問題150の「非行少年の取り扱い」については、少年法について整理しておくことと、用語として「触法少年」「犯罪少年」「虞犯少年」について確認しておきましょう。「触法少年」「犯罪少年」は共に、刑罰法令に触れる行為をした少年ですが、「虞犯少年」は、刑罰法令に触れる行為はないが、将来犯罪を犯す恐れのある少年を指します。問題148の「更生緊急保護」についても解説をしておくと、刑事上の手続きまたは保護処分による身体の拘束を解かれた後、親族からの援助を受けることができず、公共の衛生福祉に関する機関等から医療、宿泊、職業その他の保護を受けることができない場合、またはこれらの援助もしくは保護のみによって改善更生することができないと認められる場合に行われる保護をいいます。具体的には、緊急的に、金品を給与または貸与し、宿泊場所を供与し、宿泊場所への帰住、医療、療養、就職または教養訓練を受け、職業を補導し、社会生活に適応させるために必要な生活指導を行い、生活環境の改善また調整を図ること等により、速やかな改善更生を保護するものです。

 以上で説明した項目は重要ですので、今後も出題される可能性は高いと思います。まずは、用語をしっかりと理解しておいてください。一度しっかりと学習しておけば、必ず得点できると思います。そして、この「保護観察」を行うものが、次項の「保護観察官」そして「保護司」です。

2.更生保護制度の担い手

 本項目では、1)保護観察官、2)保護司、3)更生保護施設、4)民間協力者についての理解が重要です。

 ここでは、保護観察について簡単に整理しておきます。保護観察とは、犯罪者や非行少年に対して用いられる社会内処遇であり、保護観察所によって実施されます。こちらについては、専門職員の保護監察官と、これを補佐する保護司が関わります。保護司は、法務大臣が委嘱する非常勤の国家公務員で、交通費などの実費については国から支給されますが無給です。

 また、保護観察の対象は、(1)保護観察処分を受けた非行少年、(2)少年院仮退院者、(3)仮釈放者、(4)保護観察付執行猶予者、(5)婦人補導院仮退院者の5つです。

 第31回試験、第30回試験、第29回試験、第28回試験、第27回試験共に、保護観察官、保護司について問われています。このように、本項目では、必ず押さえておかなければいけない事項といえます。これに加え、更生保護施設について問われています。こちらも本科目を理解するための基本的な内容です。初めて聞く用語、役名、施設なので難しく感じるかもしれませんが、一度キチンと整理してしまえば必ず得点できる内容です。少しだけ解説しておくと、「保護観察官」は、更生保護に関する専門的知識に基づき、保護観察をはじめ、調査、生活環境の調整その他犯罪者の更生保護および犯罪の予防に関する事務に従事し、保護観察所と司法更生保護委員会の事務局に配置される国家公務員です。近年、この仕事に社会福祉士が重視されています。

 一方「保護司」は、社会奉仕の精神をもつ民間のボランティアです。法務大臣からの委嘱により、犯罪を侵した者および非行のある少年の改善更生を手助け、犯罪予防のために世論啓発などを行います。そのため、実費弁償費のみで、給与は支給されません。

 さらに第24回試験を見ておくと、「被害者担当官の対応」に関する事例問題が問われています。こちらについては、2004(平成16)年成立の犯罪被害者等基本法や2005(平成17)年に策定された犯罪被害者等基本計画などを学習する必要があります。犯罪被害者等基本法第3条においては、基本理念が示されていますし、さらには、更生保護における犯罪被害者等施策は、(1)仮釈放等審理における意見等聴取制度、(2)保護観察対象者に対する心情等伝達制度、(3)更生保護における被害者等通知制度(加害者の処遇状況等に関する通知)、(4)犯罪被害者等に対する相談・支援の4視点から成り立っており、こちらについても学習する必要がありました。

3.更生保護制度における関係機関・団体との連携

 本項目では、関係機関や団体との連携について理解します。例えば、1)刑事司法・少年司法関係機関との連携、2)就労支援機関・団体との連携、3)福祉機関・団体との連携、4)その他の民間団体との連携があげられます。

 ここでは、検察庁について少し整理しておきます。検察庁は、検察官の行う事務を統括するところで、最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁があります。この検察庁では、検察官や検察事務官などが執務しており、検察官は刑事事件について捜査および起訴・不起訴の処分を行い、裁判所に法の正当な適用を請求し、裁判の執行を指揮監督するなどの権限をもっています。そのほか、公益の代表者として民法など各種の法律によって数多くの権限が与えられています。また、検察は国家社会の治安維持に任ずることを目的とし、検察権の行使に当たって、常に不偏不党・厳正公平を旨とし、また事件処理の過程において人権を尊重すべきことを基本としています。このほかにも、裁判所や矯正施設、就労支援機関・団体などについても、用語や役割・機能について、しっかりと学習しておいてください。連携の基本は、相手の専門性、役割や機能を理解することです。

 第29回試験、第27回試験では、本項目からの出題はありませんでしたが、第31回試験では、問題149で「刑務所出所者を対象とする就労支援メニュー」を実施する機関として「ハローワーク」を答えさせる問題が出題されています。また、第30回試験では、問題149で「触法少年に関する関係機関の対応」について問われています。また、第28回試験では、問題150で「家庭裁判所と他の機関との連携」について問われ、第25回試験では、「保護観察所が連携する関係機関・施設」が問われました。検察庁や地方更生保護委員会、裁判所、公職職業安定所、福祉事務所などの関係機関・施設と保護観察の内容との知識が必要です。

4.医療観察制度の概要

 本項目では、医療観察制度についての理解が重要です。医療観察制度とは、心神喪失または心神耗弱の状態で、殺人や放火などの重大な他害行為を行った人の社会復帰を促進することを目的として新たに創設された処遇制度です。この制度は、2003(平成15)年に成立した「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」に基づき、適切な処遇を決定するための審判手続が設けられたほか、入院決定を受けた人については、厚生労働省所管の指定入院医療機関による専門的な医療が提供され、その間、保護観察所は、その人について、退院後の生活環境の調整を行います。そのため、生活環境の調査や調整、精神保健観察、関係機関・団体との連携などについての整理が重要となります。聞き慣れない言葉も多々あるかと思いますが、用語に関しては一度整理しておくとよいでしょう。

 第29回試験では問われませんでしたが、第31回試験、第30回試験、第28回試験、第27回試験では問われています。こちらも、本科目を理解するために必要な項目、知識といえます。内容としては、社会復帰調整官としてかかわる「医療観察法」上の業務に関する事例問題が出題されています。こちらは、基本的な知識と共に、実際を理解する応用的問題と言えます。必ず、問題にあたって確認しておいてください。

 本項目の「医療保護制度」「社会復帰調整官」については、重要項目です。今年も出題される可能性が高いのでここで覚えてしまいましょう。

5.更生保護における近年の動向と課題

 本項目では、刑務所出所者等総合的就労支援対策、各種処遇プログラムの導入、高齢者・障害者等の社会復帰・再犯防止施策、更生保護のあり方を考える有識者会議などの出題が想定されます。

 重要項目ですので、今後出題される可能性は非常に高いと思います。特に、各種処遇プログラムの導入、高齢者・障害者等の社会復帰・再犯防止施策についてはよく整理しておいてください。また、更生保護のあり方を考える有識者会議についても確認しておきましょう。

 以上が、「更生保護制度」のポイントです。冒頭でもお話ししましたが、用語がよくわからなかったり、漢字が難しかったりと、取っ付きにくい科目かと思いますが、一度じっくりと学習すると、意外と理解しやすい科目でもあります。まずは、テキストを読み込むところから始めてください。

全科目のポイント解説が終わりました

 これで一通り、4月から行ってきた科目ごとのポイント解説が終了しました。次回からは、各科目をもう一巡しますが、科目ごとに特に重要な内容に焦点を当て、クローズアップして解説していきたいと思います。というわけで、次回は「クローズアップ~人体の構造と機能及び疾病」です。

伸び悩みでお困りの皆さん

 この夏の時期は、過去の問題を解いたり、暗記をメインとした試験勉強をされている方も多いでしょう。それで、思いのほかできなかったり、4月の頃に比べて間違いが目立つようになったり、伸び悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

 でもなぜ「伸び悩む」のでしょうか?

 それは、過去問を本格的に解き始めたからではないでしょうか? 試験勉強にじっくり取り組むようになって、「できない点」が明確になってきたからではないでしょうか? つまり、次のステージに移行するための必要な試練だと思いませんか? 私も実際、試験勉強をした時、「スランプ」や「伸び悩み」がありました。では、どうしたか。とにかく、続けました。続けていくと、わかってくることがあるのです。「コツ」というか、「法則」というか、科目の全体像というか…。ですので、伸び悩みに苦しんでいる人は、諦めず、休まず、続けてみてください。秋に必ず効果が出てきます。最後の最後まで、一緒に頑張りましょうね。

 それでは、残暑厳しいですが、お身体大切に。最後の最後まで一緒に頑張りましょう。

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