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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第21回 「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」のポイント

(2)子ども家庭福祉概論――子どもの権利
2.児童・家庭福祉制度の発展過程、3.児童の定義と権利、4.児童福祉法

 まず、4.児童福祉法については、福祉小六法などを活用して必ず確認しておいてください。同法の第1条には、児童福祉の理念が示されています。それによると、「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図れることその他の福祉を等しく保障される権利を有する」とされています。そのほか、児童福祉施設の種類、里親制度、障害児支援、児童福祉制度に係る財源、児童福祉サービスの最近の動向などについても整理しておいてください。

 児童の定義も、同法の第4条で示されています。それによると、満18歳に満たないものを「児童」としています。このように、実は法律って大切なんです。すべての用語や定義は、必ず法律で明確にされています。さらに、この「児童」とは、「乳児」「幼児」「少年」に分けられます。「乳児」とは、児童福祉法(第4条)によれば、満1歳に満たない者をいい、母子保健法(第6条)によれば、1歳に満たない者としています。さらに、母子保健法(第6条)では、出生後28日を経過しない乳児を「新生児」としています。また、「幼児」ですが、児童福祉法(第4条)および母子保健法(第6条)によると、満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者とされています。この他に、「少年」は、児童福祉法(第4条)と少年法(第2条)でそれぞれ規定されています。まず、児童福祉法では、小学校就学の始期から満18歳に達するまでの者としています。また、少年法では、20歳に満たない者としています。通常、福祉関係で用いられる「児童」とは、満18歳までの者を指しています。ちなみに、第28回試験では、ズバリ、「児童福祉法における用語の意味」について問われています。また、第29回試験でも、「児童福祉法」に規定される内容を具体的に問う問題が出題されています。前述の解説以外の用語では、「要支援児童」「保護者」「特定妊婦」について問われました。第31回試験では、児童福祉法に規定される「医療型障害児入所施設(問題136)の内容を問う問題や、市区町村子ども家庭総合支援拠点の説明内容を問う問題(問題139)、発達障害児に関する事例問題で、「医療型児童発達支援」のサービスを問う問題(問題141)が出題されました。

 次に、2.児童・家庭福祉制度の発展過程についてですが、この項目については、テキストなどの年表を利用して、その流れを押さえておくとよいでしょう。また、ワークブックなどを活用して整理してもよいと思います。どのように児童・家庭福祉制度が変遷してきたかについては、時代背景とともに整理すると理解が進みます。
 最後に、児童の権利について少しお話ししておきます。これについては、1909年のアメリカの第1回ホワイトハウス会議宣言や1924年の国際連盟のジェネバ(ジュネーブ)児童権利宣言、1951(昭和26)年の日本の児童憲章、1959年の国際連合の児童の権利に関する宣言、1989年の国連総会で採択された児童の権利に関する条約などが列挙されます。こちらについては、第29回試験の問題138で「児童の権利に関する条約」について問われています。併せて、第30回試験の問題138でも、児童が「自由に自己の意見を表明する権利の確保」を明記する「児童の権利に関する条約」について問われています。こちらは、過去問をベースに一読しておきましょう。

図表 児童の権利に関する宣言と条約
年号宣言や条約内容
1909年第1回ホワイトハウス会議宣言(アメリカ)セオドア・ルーズベルトによって開かれ、要扶養児童問題が論じられ、「家庭は文明の最高の創造物」と宣言された。
1924年ジェネバ(ジュネーブ)児童権利宣言(国際連盟)前文と5か条からなり、(1)心身の正常な発達権、(2)愛護と保護の保障、(3)救済の最優先性、(4)搾取からの保護、(5)人類への奉仕を目指す児童の成長を定めた。
1951
(昭和26)年
児童憲章(日本)世界児童憲章案(1922年)、ジェネバ(ジュネーブ)児童権利宣言(1924年)、アメリカ・児童憲章(1930年)を参考に、児童福祉法の基礎理念を徹底するために作成された。
前文で(1)児童は、人として尊ばれる、(2)児童は、社会の一員として重んぜられる、(3)児童は、よい環境のなかで育てられるとうたっている。
1959年 児童の権利に関する宣言(国際連合)前文と10か条からなる。
「児童が、幸福な生活を送り、かつ、自己と社会の福利のためにこの宣言に掲げる権利と自由を享有することができるようにするため」に公布された。
1989年児童の権利に関する条約(国際連合)児童の定義、児童への差別の禁止、児童の最善の利益、親からの分離禁止、障害児の権利などが網羅的に規定している。また、児童の保護を受ける権利をすべての国々の児童に保障されるべきだとして受動的権利と、一方で、人権保障の必要性を確認し、能動的権利も明確にしている。受動的権利とは、誰かに何かをしてもらう権利で、能動的権利とは、自らが欲する権利で、意見表明や表現の自由、思想・良心及び信教の自由、集会及び結社の自由などである。日本は、採択の5年後(1994年)に国会の承認を得て、158番目の批准国となった。

 ここからは、さらに過去問から重要項目を整理しておきます。まず、第29回、第27回試験では、各法令が対象とする児童について問われました。具体的な内容を表で整理しておきます。第29回試験では、児童扶養手当に関する事例問題が問われています。こちらは、次単元と関連するものですが、ここで解説しておきましょう。

出題された各法令対象
児童扶養手当法18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者又は、20歳未満で政令に定める程度の障害状態にある者
母子及び父子並びに寡婦福祉法20歳に満たない者
児童手当法18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者であって、日本国内に住所を有する者又は留学その他の厚生労働省令で定める理由により日本国内に住所を有しない者
児童の権利に関する条約18歳未満のすべて者
児童虐待防止法18歳に満たない者

 次に、第30回試験では、問題137で、「障害児福祉に貢献した人物」について問われています。また、第28回試験でも、問題137で「日本の児童福祉の歴史」について、人名とその功績について問われています。また、第26回試験も、我が国の児童福祉の歴史上の人物と、その功績(内容)を問う問題でした。答えとしては、野口幽香の二葉幼稚園設立で、園では、貧困家庭の子どもなど、不幸な境遇にある子女に対して幼児教育を行いました。この他、第25回試験では、第二次世界大戦前の各法における児童の対象年齢に関する問題が出題されました。この対象年齢も、ある意味で児童の権利を保障するための年齢制限であるともとらえることができますので、出題された恤救規則、感化法、工場法、救護法、戦前児童虐待防止法の内容と共に、児童の対象年齢について整理しておきましょう。

表 第二次世界大戦前の各法における児童の対象年齢
出題された各法対象年齢
恤救規則(明治7年)無告の窮民であって、かつ13歳以下位の孤児を救済
感化法(明治33年)感化院の入院年齢は、満8歳以上16歳未満の者
工場法(明治44年)就労が禁止されていたのは、12歳未満の児童
救護法(昭和4年)3歳以下の幼者を救済の対象
戦前児童虐待防止法(昭和8年)対象年齢を14歳未満の児童

(3)児童虐待
5.児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)

 児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)は、2000(平成12)年5月に成立し、児童虐待の予防及び早期発見、その他の児童虐待に関する国や地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援のための措置を定めることで、児童虐待の防止に関する施策を促進し、児童の権利擁護を目的として制定されました。2004(平成16)年4月には本法の一部が改正され、特に児童の安全保護などに警察の協力が必要な場合は、児童相談所長等に警察署長への援助要請を義務づける、虐待を受けたと思われる児童を発見した者は速やかに通告する義務を課すなどの措置が講じられました。

 第30回試験では、事例問題で問われていますが、第28回試験、第24回試験では「児童虐待の防止等に関する法律」が出題されています。また、第31回試験では、「児童虐待に関する児童相談所の相談統計」について出題されています。社会福祉士にとって必要な知識ですので、必ず確認しておいてください。そろそろ出題されるかもしれませんよ。要チェックです。