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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第14回 「権利擁護と成年後見制度」のポイント

 さて、今回は、「権利擁護と成年後見制度」の具体的な内容、ポイントについて解説していきたいと思います。今回も、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが示す出題基準に即した内容で整理していきます。

本科目のねらい

 本科目の出題基準によると、大項目として、1.相談援助活動と法(日本国憲法の基本原理、民法・行政法の理解を含む。)との関わり、2.成年後見制度、3.日常生活自立支援事業、4.成年後見制度利用支援事業、5.権利擁護に係る組織、団体の役割と実際、6.権利擁護活動の実際の6項目が挙げられています。

第31回試験をみてみると…

 まず、本科目は、7問中2問が事例問題でした。例年、事例問題は1~2問程度出題され、知識を問う形の事例・実例が問われています。第31回試験では、取消訴訟に関する救済に効果的な手段に関する具体的な内容を問う問題が出題されました(問題79)。また、特定商取引に関する法律に規定されるクーリング・オフによる契約解除(解約)に関する具体的な内容を問う問題が出題されました(問題82)。どちらも、基礎的知識と同時に、その知識を活用できる応用力や実践力を問う問題となっています。こちらについては、過去の問題をベースに整理しておきましょう。

 また、社会福祉士の役割・機能として重視、期待されている「成年後見制度」に関する問題がしっかりと出題されていました。どの分野の社会福祉士も、成年後見制度の知識は必須ですので、実践で活用できるように整理しておきましょう。できれば、現場をもっている方や学生の場合は、実習などで一事例担当すると理解が深まるでしょう。

 このほか、出題内容としては、出題基準でも挙げられている「憲法」「民法」「行政法」から、「憲法」は「生存権」について、「民法」は「特別養子縁組制度」「クーリング・オフ(前出の事例問題)」について、「行政法」は「行政事件訴訟法上の取消訴訟」について、それぞれ出題されています。また、「人権擁護」という切り口で、「児童福祉法」と「児童虐待防止法」について問われています。よって、「人権」と「暴力」や「虐待」「(障害者の)権利条約」などの出題は、今年度も引き続き出題される可能性がありますので、各種虐待法やDV法、障害者の権利条約などについて整理しておきましょう。

 では、出題基準で取り扱われる6項目をもとに整理していきます。

各項目の詳細について

1.相談援助活動と法 (日本国憲法の基本原理、民法・行政法の理解を含む。)との関わり

 本項目では、相談援助活動と法との関わりについて理解するために、1)相談援助活動において想定される法律問題、2)日本国憲法の基本原理の理解、3)民法の理解、4)行政法の理解の4項目についておさえておくことが重要です。

 まず、1)相談援助活動において想定される法律問題について、具体例としては、福祉サービスの利用と契約、消費者被害と消費者保護、自己破産、借家保証、行政処分と不服申立などがあります。これらの内容はしっかりと理解しておかなければなりません。試験でも出題されやすい内容ですが、何より現場に出てからも必要な内容ばかりです。次に、2)日本国憲法の基本原理の理解では、前文や第11条などで謳われている「基本的人権の尊重」、第13条の「幸福追求権」、第25条の「生存権保障」などについての理解が重要となります。また、3)民法の理解では、契約、不法行為、親族、相続などについての整理と理解が不可欠です。最後に、4)行政法の理解では、行政行為、行政争訟、情報公開などについて理解しておきましょう。ちなみに、2016(平成28)年4月より、「異議申し立て」については、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律で、削除されました。

 以上の4項目については、ソーシャルワークの実際の場面で頻回に登場する知識・用語なので、しっかりと理解しておいてください。専門的な用語だったり、難しい用語だったりするので、取り掛かりにくいかもしれませんが、内容を理解してしまえば必ず得点につながります。

 例えば、「瑕疵」といわれると、何と読むのか、どういう意味かわからなくて、取り掛かりにくいですよね。「瑕疵」は、「かし」と読みます。意味は、「キズ、欠点」です。つまり、契約などにおいては、契約の「キズ」「欠陥」のことです。このように、イメージで、難しいと勝手に思い込んでいるものが多いと思います。用語辞典や、国語辞典などで用語を一つひとつ整理していくと、どんどん得点につながっていきます。

 過去の問題を整理しておくと、第31回試験では、前述の通り、「憲法」「民法」「行政法」から各1問ずつ出題されています。ここでは、一つひとつ取り上げることはできませんが、例えば、第30回試験では、「憲法」から国民の義務について問われました。国民の三大義務は、「教育の義務」「勤労の義務」「納税の義務」です。合わせて、国民の三大権利とは、「生存権」「教育を受ける権利」「参政権」をいいます。また、第29回試験では、問題79で、「日常生活自立支援事業における日常的金銭管理の根拠を民法上の典型契約」について問われました。少しだけ解説しておくと、民法では13種類の契約を規定しており、この契約を典型契約といいます。

契約の類型(タイプ)契約その内容
1.財産権を譲渡するタイプの契約(1)贈与無償で財産権を譲渡する契約
(2)売買金銭で対価を支払うことを約束して財産権の譲渡をする契約
(3)交換物々交換の契約
2.貸すタイプの契約(4)消費借りたものは消費してしまい、借りたものと同等のものを返還する契約
(5)使用賃借無償で借りる契約
(6)賃貸借賃料を支払って借りる契約
3.労務を提供するタイプの契約(7)雇用給料を支払って労働者を雇う契約
(8)請負仕事の完成に対して対価を支払う契約
(9)委任専門家(受任者)等に事務等法律行為を委託するもので、専門家(受任者)がそれを承諾することで効果が生じる契約
4.その他の契約(10)寄託物を預かって保管する契約
(11)組合組合員全員で組合を作る契約
(12)終身定期金当事者の一方が、自己・相手方、または第三者の死亡に至るまで定期に金銭その他の物を相手方または第三者に給付する約束によって生じる契約
(13)和解紛争を相互に譲歩して話し合って解決する契約

 このように、本項目では、聞きなれない用語や、契約等の詳細内容が問われています。まずは、過去の問題をベースに出題された内容を整理しておきましょう。