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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第6回 「社会理論と社会システム」のポイント

各項目の詳細について

1.現代社会の理解

 本項目は、1)社会システム、2)法と社会システム、3)経済と社会システム、4)社会変動、5)人口、6)地域、7)社会集団及び組織の7項目に分けられています。この7項目は、現代社会を理解するうえで非常に重要な項目です。どの項目もしっかりと学習しておく必要があります。

 各項目の詳細を見てみますと、1)社会システムについては、社会システムの概念、文化・規範、社会意識、産業と職業、社会階級と社会階層、社会指標など、2)法と社会システムについては、法と社会規範、法と社会秩序など、3)経済と社会システムについては、市場の概念、交換の概念、労働の概念、就業形態など、4)社会変動については、社会変動の概念、近代化、産業化、情報化など、5)人口については、人口の概念、人口構造、人口問題、少子高齢化など、6)地域については、地域の概念、コミュニティの概念、都市化と地域社会、過疎化と地域社会、地域社会の集団・組織など、7)社会集団及び組織については、社会集団の概念、第一次集団、第二次集団、ゲマインシャフト、ゲゼルシャフト、アソシエーション、組織の概念、官僚制などがあげられています。

 項目の数はたくさんありますが、一つひとつ丁寧に整理して暗記していけば、確実に点がとれる内容です。面倒くさがらず、用語辞典テキストなどを利用して、確実に学習しましょう。

 第31回試験は、前述しているので詳細の説明は避けますが、やはり「ジニ係数」や「社会集団」に関する内容は基本的なものであり、重要な項目ですのでチェックしておきましょう。さらに過去の問題を見ておくと、第30回試験では、問題15の「裁判員制度」や問題16の「労働市場に関する統計」について問われ、第29回試験では、問題15の「所得格差を示す指標」や、問題16の「日本におけるコミュニティ政策の展開」が本項目に該当します。「所得格差を示す指標」については、先ほどもお話ししましたが「ジニ係数」です。はじめて目にする方も多いと思います。少し解説しておきましょう。ジニ係数は、〈「0」から「1」〉で示され、最も不平等で所得格差が大きい時に「1」に近づき、最も平等で所得格差が小さい時に「0」となります。ちなみに、0のときには完全な平等、つまり皆同じ所得を得ている状態を示します。よって、この数値で、国の所得格差を示す指標です。また、0.5を超えると政府による是正が必要とされています。では、日本はどうでしょうか? 日本は、1980年代以降、この係数は「1」に近づいています(実際は、「0.3791(0.3前後)」で推移しています)。つまり格差が広がっているということです。第28回試験では、広範に問われており、「社会システム」「法と社会(システム)」「経済と社会(システム)」「人口」「社会集団及び組織」について出題されています。例えば、「経済と社会システム」では、「平成22年国民調査」より日本の就業構造について問われ、「人口」では、日本の人口動向について問われました。どちらも常に基本的な内容ですが、現代日本を理解するために非常に重要な統計に関する問題でした。

 さらに過去の問題を見ておくと、第27回試験では、「社会指標」「法と社会」「限界集落」について問われました。特に「限界集落」では基本的な内容が問われ、現代社会の問題や、現代の地域社会に関する問題を基本的に理解する内容が問われました。限界集落は、過疎化による人口の減少により、65歳以上の高齢者が過半数を占め、集落として維持していくことが困難、つまり限界的な状態にある地域のことをいいます。この過疎地域は、人口では全国の約8%にすぎませんが、市町村数の約4割を占めています。また、第26回試験では、「階級及び階層」に関する問題や「近代の社会変動の趨勢」「都市化を伴う地域社会の変化」「近代官僚制」について問われ、第25回試験では、「現代社会における人々の働き」に関する問題が出題されました。キーワードとしては、「ワーク・ライフ・バランス」です。こちらの用語について不明確な人は、必ず整理しておきましょう。
 この他、第24回試験では、「人口統計で用いられる基本用語」に関する問題(問題16)が出題されていました。本設問では、人口増加率、合計特殊出生率、従属人口指数、平均寿命、生涯未婚率などの用語が問われていました。ここでは、「合計特殊出生率」について整理しておきます。合計特殊出生率とは、「人口統計上の指標で、一人の女性が一生の間に産む子供の平均数を示す」ものです。細かい計算式はお示ししませんが、女性が出産可能な年齢を15歳から49歳までと規定し、各年齢の出生率を出して足し合わせることで、一人の女性が一生の間に産む子供の数の平均を求めています。この指標によって、異なる時代、異なる集団間の出生による人口の自然増減を比較・評価することができるのです。

 以上、本項目では、基礎から応用まで幅広く、かつ前述の7項目が相互的に出題されています。これらのことから、まずは、用語辞典で用語の整理をしたうえで、ワークブックなどの参考書を活用して学習することをおすすめいたします。
 本項目からは、今後も出題される可能性はとても高く、特に、1)社会システム、2)法と社会システム、3)経済と社会システム、4)社会変動については、詳細を整理しておきましょう。

2.生活の理解

 本項目では、1)家族、2)生活の捉え方についての理解が重要です。1)家族については、家族の概念、家族の変容、家族の構造や形態、家族の機能、世帯の概念などがあげられています。また、高齢者世帯、核家族化、単独世帯化の進行や統計的理解も必要となりますので、テキストなどを一読しておいてください。
 2)生活の捉え方については、ライフステージ、生活時間、消費、生活様式、ライフスタイル、生活の質などがあげられています。

 第31回試験では、本項目から出題されませんでしたが、第30回試験では、問題18「高齢者世帯の世帯構造」に関する問題が出題されています。このほか、第29回試験では、問題17で「ライフサイクル」について問われています。ライフサイクルとは、設問文を借りれば「各段階の固有の発達課題を達成していく過程」といえます。また、第27回試験では、「家族」と「世帯」に関する内容が問われました。こちらは、非常に基本的な内容ですが、重要項目ですので必ず整理しておいてください。このほか、「人の生涯の軌跡」に関する問題が問われ、具体的には「ライフコース」「ライフサイクル」「ライフイベント」などについて問われています。詳細について整理しておいてください。今後も出題される可能性が高いと思います。また、第26回試験では、「第23年度国民生活基礎調査(厚生労働省)」による世帯状況に関する具体的数値、統計が出題されました。この他、「平成23年度国民基礎調査」の「所得」「児童のいる世帯」や、「国民医療費」「地方財政白書」などについてチェックしておきましょう。第25回試験では、問題18で「現代の家族」に関する問題が出題され、用語としては、「核家族世帯」や「生殖家族」「定位家族」などが問われました。

 以上、社会構造を知るうえで、家族や生活の捉え方については必須項目となりますので、今後もこの項目から出題される可能性は高いと思います。テキストワークブックをベースにして、しっかりと整理しておきましょう。内容的には、一度整理しておけば十分解答が可能な問題だと思います。