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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第5回 「心理学理論と心理的支援」のポイント

4.心理的支援の方法と実際

 本項目は、大きく4つに分けることができます。それは、1)心理検査の概要、2)カウンセリングの概念と範囲、3)カウンセリングとソーシャルワークとの関係、4)心理療法の概要と実際(心理専門職を含む。)です。

 まず、1)の心理検査の概要については、人格検査、発達検査、知能検査、適性検査などの心理検査について理解することが重要です(投影法、質問紙法、作業検査法なども含みます)。この心理検査の概要については、例年出題されていたものなので、よく理解しておく必要があります。

 また、認知症の検査である長谷川式認知症スケール(HDS-R)もこの項目に当てはまります。HDS-Rについては、内容や検査法を整理しておいてください。そのほか、文章完成法検査(SCT)やロールシャッハ・テスト、内田・クレペリン検査などがあります。各心理検査の適応場面や特徴などを理解しておいてください。第22回試験では、「矢田部ギルフォード(YG)性格検査」に関する問題が出題され、5つの性格類型について問われました。ここ数年、出題がありませんでしたが、第27回試験で「人格検査」について問われ、内容としては、P-Fスタディ、TAT(主題統覚検査、絵画統覚検査)、ロールシャッハ・テスト、東大式エゴグラム、内田・クレペリン精神検査が問われました。さらに、第31回試験でも、心理検査について広範の知識が問われました。検査法を上げておくと、「MMPI」「PFスタディ」「TAT」「WAIS」「CMI」です。こちらについては、ワークブックなどの参考書を参考に、検査の基本的内容をチェックしておいてください。

 2)カウンセリングの概念と範囲については、カウンセリングの目的、対象、方法やピアカウンセリングの目的、方法などに関する理解が必要となります。

 また、3)カウンセリングとソーシャルワークとの関係についても、併せて理解しておく必要があります。この項目は、2.カウンセリングの概念と範囲と大きく関連してきます。第26回試験では、問題12で「カウンセリング」について問われました。内容としては、心理教育的カウンセリング、パーソンセンタード・カウンセリング、認知行動カウンセリング、家族カウンセリング、ピアカウンセリングなどについてです。これらの各カウンセリングの内容については、ぜひ現時点で整理しておいてください。

 4)心理療法の概要と実際(心理専門職を含む。)については、具体的には、精神分析、遊戯療法、行動療法、家族療法、ブリーフ・サイコセラピー、心理劇、動作療法、SST(社会生活技能訓練)、臨床心理士などが例示としてあげられます。この項目からも例年出題されていますので、それぞれについてよく理解しておく必要があります。

 第31回試験では、行動療法に基づく技法について、その詳細が問われています。こちらは、過去問ベースで整理しておきましょう。行動理論は、様々な症状を学習して行動や学習の欠陥によるものとして捉え、問題になっている行動の消去や適応行動の強化が学習理論に基づいて実施される、といった特徴を持っています。第30回試験では、「カウンセリングや心理療法」について、広く問われました。具体的には、認知行動療法や、社会生活技能訓練(SST)、ブリーフセラピー、来談者中心療法/カウンセリング、動機づけ面接などが問われています。こちらは、まず用語の整理からはじめましょう。

 さらに過去問を見ておくと、第29回試験では、問題13で「系統的脱感作法」、問題14で「来談者中心療法」について問われました。前述の「系統的脱感作法」とは、行動療法の一つで、不安階層表を元に、低い場所から順にイメージトレーニングをするもので、リラックスした状態の下で、不安の誘発度の最も低い刺激から徐々に刺激が増やされていき、段階的に不安を克服していく心理療法です。後者の「来談者中心療法」とは、ロジャーズによって提唱されたもので、「問題(不適応や病理)は、クライエント(来談者)自身の評価やイメージの自己概念のなかに、経験的自己(自己経験)をうまく取り込めず、否認や抑圧、歪曲といった自己不一致状態に置かれているために生じる」と考えるため、本療法の目的は、症状を消去させることではなく、自己概念(理想:そうあるべき自分)と自己経験(経験的自己)(現実:あるがままの自分)の「自己一致」にあります。よって、来談者中心療法の3つの条件として、「無条件の肯定的配慮(受容)」「共感的理解」「自己一致」が挙げられます。第29回試験では、「受容(無条件の肯定的配慮)」の応答例について出題されています。正答は「2」の「あなたご自身が経験され苦悩を感じたいくつかの話をお聴きし、私は今あなたが辛い思いをされているのが分かります」となります。

 もう少し、過去の問題を見ておくと、第28回試験では、「マイクロカウンセリング」「心理療法」の2問が出題されました。「心理療法」では、自律訓練法、認知行動療法、家族療法(システムズ・アプローチ)、来談者中心療法、精神分析療法について問われました。詳細については、過去問をベースに整理しておきましょう。また、第27回試験では、来談者中心療法の「感情の明確化」の実践例に関する問題のほかに、自律訓練法、森田療法、認知行動療法、箱庭療法、来談者中心療法について問われています。第26回試験では、動作療法(臨床動作法)、内観療法、行動療法、精神分析療法、心理劇(サイコドラマ)が問われました。また、第25回試験では、森田療法、精神分析療法、来談者(クライエント)中心療法、構造的家族療法、遊戯療法が問われています。
 以上、現時点では、わからない療法、不明確・不明瞭な心理療法もあるかもしれませんが、試験までには、各心理療法の詳細を整理しておきましょう。出題頻度も非常に高いです。

 このように、毎年出題されているので、心理療法についてはチェックしておいてください。

 以上、出題基準をもとに本科目の概要を整理してきました。次回は、「社会理論と社会システム」の具体的な内容、ポイントについて解説していきます。

変化の多い時期です

 急に気温の高い日が多くなり、体調を崩している方が増えているようです。気候の変化に加え、新しい職場や慣れない環境、組織の編成などで、心も疲れやすいときです。

 自分の身体は自分で守らないといけません。適切な言葉かわかりませんが、対人援助(ヒューマンサービス)において、【援助の道具】とは、「援助者自身」と言えます。

 そう、「私自身」です。つまり、私たち援助者は、援助の際、「自ら」を活用して問題解決に取り組み、サービス提供をしていきます。そういった意味では、健康を管理し、援助の場に存在することが重要です(休んで、その場に不在では援助もできませんよね)。また、援助の際は、【援助の道具】である「自身(例えば、感情や価値観や倫理観、行動)を常に統制(コントロール)します。そのためには、「自身」を常に磨いておく必要もあるでしょう。「心や身体」を常に磨き、専門的な知識や技術、価値倫理を常に研鑽しておく必要があります。これを「自己研鑽」といいます。これは、対人援助をする社会福祉士にとって、非常に重要なことです。

 また、「自己研鑽」をする前段階として、「自己」をよく理解し、知っておかなければなりません。これを「自己覚知」といいます。「自己覚知」とは、「自らの思考や感情、行動様式、価値観や倫理観などをよく理解し、援助の際、それをコントロールする力」です。もちろん、このコントロールは、セルフスーパービジョンのように自身で行う場合もあれば、スーパーバイザーからの教育、管理、支持的な要素の訓練を通して行われる場合もあります。どちらにしても、自己をよく知ったうえで、自身で統制可能な状態なのか、そうでないのかを見極める力が必要になります。ちなみに、「自己覚知」は、「自身の〈あらさがし〉をして、援助者に向いているか、向いていないかを見極めるもの」ではありません。

 センス(感性・才能)といった意味であれば、それを選択した時点で、ほかのものより「センスがある」ということです。皆さんも、この講座を読み、国家試験の勉強をし、社会福祉士を目指している時点で、「社会福祉士としてのセンスがある」ということです。自信をもって、皆さんそれぞれの目標や夢に向かっていきましょう。最後の最後まで、一緒に国家試験勉強を頑張りましょうね。

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