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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第2回 「平成」から「令和」へ変わるとき

 今回は、第31回社会福祉士国家試験の共通科目の解説をお送りいたします。そして、次回第3回では、第31回社会福祉士国家試験の専門科目の解説をお送りする予定です。いよいよ、今年度の講義が本格的にはじまりますよ。

「平成」は自然災害時代? そして「令和」へ

 まず、先日、新元号の発表が行われました。5月1日の改元に向けて、様々な準備が進められる一方で、残り約三週間となった「平成」をじっくりあじわうといったムーブメントも起こっています。そして、次の「令和」の時代が、その名の通り「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ。そして、日本人が明日への希望を咲かせる国」であることを願います。

 さて、タイトルでも示しましたが、平成は「自然災害」、特に震災が多い時代でした。「平成」を、この一言でくくるのは安易な感じもしますが、事実、気象庁のデータを見てみると、震度6以上の震災は、大正期は2回、昭和期は5回に対して、平成期は震度6強以上の震災だけ数えても14回と、多く地震の災害に見舞われました。代表的な震災を列挙してみると、平成7年の阪神淡路大震災からはじまり、平成12年の鳥取県西部地震、平成16年の新潟県中越地震、平成19年の能登半島地震、新潟県中越沖地震、そして、平成23年の3月11日に起きた東日本大震災、平成28年の4月14の熊本地震、さらに昨年(平成30年)の9月には、北海道胆振地方東部地震など、多くの地震が各地に大きな災害を引き起こしました。これらの震災で、お亡くなりになられた方々には心よりお悔やみ申し上げます。あの日から、日常や生活が一変してしまい、未だ復旧の途にある方も多くいらっしゃるかと思います。一刻も早い復旧ができますよう、心からお祈り申し上げます。

 私事ですが、熊本は祖父祖母の生まれ育った街で、子どもの頃から幾度と通った街です。この地震で、祖父の大好きな「熊本城」の長堀や櫓などは崩れ落ちてしまいましたが、熊本城の天守閣は再建され、20年後には城全体を地震前の状態に戻す目標が示されています。この知らせは、熊本県民、熊本市民の皆さんにとっても、本当に元気やパワーが湧いてくるものです。先日も、熊本に訪れたのですが、主要道路もまだまだ迂回ルートを要しており、不便な生活が続いていることを実感しました。今回は、熊本を例にあげましたが、各地で同じような出来事が起こったことを想像します。

 過去から現在へと継承し、未来へと続く我々の生活や人生。喜怒哀楽、色々です。そんな中でも、先週もお話ししましたが、少しだけ前(未来)を見つめて歩んでいきたいと思います。特に、この「平成」から「令和」へと変わる時だからこそ強く感じます。

 私は、ソーシャルワーカー(社会福祉士)の仕事の時間軸って、「カレンダーを少し早めにめくって、時計は10分遅らせる仕事」だと思います。あ、これは、日頃の仕事や生活で、「本当に早めにカレンダーをめくれとか、時計を遅らせろ」と言っているのではないですよ。ただ、私が、約20年ソーシャルワーカー(社会福祉士)として仕事をしてきて感じることは、ソーシャルワーカーって、人の生活や人生、生と死に係わる仕事だからこそ、その瞬間は「少し未来を見つめながらも、いまを十分ゆっくりと味わう」そんな歩幅で関わっていきたいと思っているのです。私は、「死ぬときは、カレンダー(催しや壁に掛けられた絵画など)が半月ほど早い施設や病院、自宅で、臨終を告げる医師の腕時計は10分遅れている方がいいなぁ」と思っています。

 さて、話が少しずれてしまいましたが、今回は、3月15日に合格発表がありました「第31回社会福祉士国家試験」の講評と要約をしたいと思います。

第31回社会福祉士国家試験 ―チェックしておいてください!

 まだ、試験問題を見ていない人は、この機会に一読しておいてください(問題【共通科目】【専門科目】正答)。
 合格者数 12,456人(受験者数 41、639人)で、合格率は、29.9%でした。
 さて、気になる合格の基準ですが、1問1点で、満点が150点ですが、今回は得点89点以上の人が合格でした。この得点は、近年の合格ラインの平均値となる点数と言えそうです。ただ、実際に受験された方に取っては、平均値(89点)とは言え、1点、2点の不足に「泣いた」という方も多いのではないでしょうか。なお、試験科目の一部免除を受けた受験者は総得点67点に対し得点39点以上の人が合格でした。詳細は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターの情報をご参照ください。

 次に、第31回試験の出題傾向についてですが、これまでの試験同様に「正しいもの(適切なもの)を一つ選ぶ形式」の問題のみでした。また、第25回試験から新たな出題形式が採用され、「正しいものを二つ選ぶ形式」の問題が出題されていましたが、減少傾向ではありますが、31回試験でも出題されました。このような動向は今後も想定されるため、試験という過度の緊張のなかで問題文を的確に読み、柔軟に対応できる適応力が重要となってきます。そのため、「うろ覚え」では対応できず、各項目についてはしっかりと暗記、理解しておく必要があります。
 曖昧な知識では正確な解答まで辿り着けず、解答に迷った人が多かったように思います。このような場合、試験が終わった後、不安な気持ちで合格発表を待つことになります。皆さんも、今から、着実な基礎固めをしていきましょうね。

 試験を受けた人たちから感想をいただいたのですが、「しっかりと暗記しておけば、意外と解けた問題が多かった」という冷静な感想でした。私も同感です。しっかりと統計や法律、用語などについて整理していた人は、あとはじっくりと、まちがえなく問題を読解さえすれば解答できた問題が多かったと思います。ただ、そうは言っても、やはり、実際の試験となると冷静さを欠いてしまうものです。ここで大切なのが、日頃からの学習になります。繰り返し覚えた知識は、強いプレッシャーの下でも揺るぎない知識としてあなたを支えてくれます。

 また、法律や制度についても多く出題されていました。事前に法律や制度にあたっていた人は、確実に得点できたと思います。この統計や制度に関しては、毎年必ず問われますし、非常に重要な学習ポイントであることがわかります。さらに、このような問題は図表での出題がありませんので、過去問解説集模擬問題集を繰り返し、文章に慣れ、問題に慣れておくことが重要です。

 さらに、合格基準として全19科目(18科目群)の各科目群で点数があることが条件なので、この18科目群の中で1科目群でも0点があると不合格になってしまいます。実際、0点科目があって、不合格だったという人もたくさんいらっしゃいます。このことからも、全科目を万遍なく学習する必要があります。また、得意、不得意は主観的なところも多く、確実に必要・重要項目を暗記、整理していくことが重要となります。実際、社会福祉士として実践するうえでも、幅広い知識と技術の習得は必須条件となりますので、国家試験合格のためだけでなく、取得後の知識としても、必ず整理、暗記しておきましょう。

 さて、今回は、第31回社会福祉士国家試験の午前〈共通科目〉の解説を行います。ちなみに、社会福祉士の国家試験は、1日で実施され、午前が精神保健福祉士との「共通科目」で、午後は社会福祉士の「専門科目」となっています。

 ちなみに、午前「共通科目」は、試験時間は10時から12時15分までの135分(2時間15分)で、以下の11科目が実施されます。

  • ■ 人体の構造と機能及び疾病(7問)
  • ■ 心理学理論と心理的支援(7問)
  • ■ 社会理論と社会システム(7問)
  • ■ 現代社会と福祉(10問)
  • ■ 地域福祉の理論と方法(10問)
  • ■ 福祉行財政と福祉計画(7問)
  • ■ 社会保障(7問)
  • ■ 障害者に対する支援と障害者自立支援制度(7問)
  • ■ 低所得者に対する支援と生活保護制度(7問)
  • ■ 保健医療サービス(7問)
  • ■ 権利擁護と成年後見制度(7問)