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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第42回 クローズアップ~更生保護制度

 さて、昨年4月から約1年間お送りしてきました本講座も、いよいよ最後の科目解説となりました(次回は、「第43回 国家試験の心構え」をお送りします)。

 今回は、「更生保護制度」で特に理解しておくべきポイントについて解説します。

 試験を間近にひかえ、不安と焦りでいっぱいかもしれませんが、冷静に、1つひとつ続けて、積み重ねていくことが重要です。1日で成果は出ません。積み重ねたものが形として皆さんの手元に届くのです。最後まで、一緒に頑張りましょうね。ラストスパートです。

「更生保護制度」のポイントの振り返り

 今さらですが、皆さん、「更生保護」ってどんな意味かご存知ですか? そして、なぜ社会福祉士に「更生保護制度」の知識が必要で、なぜこの領域に社会福祉士が関わる必要があるのでしょうか?

 まず、犯罪者に対する処遇について話をしておきますが、こちらは2つに大別されます。1つが「矯正」と呼ばれる「施設内処遇」、もう1つが「更生保護」と呼ばれる「社会内処遇」に分けられており、本科目は、後者の社会内処遇に焦点を当てたものです。そのため、更生保護とは、対象者の改善更生を図り、再犯を防止することによって、社会の安全を守ることを目的としていますが、施設内処遇と異なり、社会内のさまざまな要因や刺激の影響を受ける環境の下で実施されるところに特色があります。このような処遇に対して、地域社会や社会資源のコーディネーション、ネットワーキング、マネジメントが重要となるため、その専門家である社会福祉士に期待が寄せられているのです。事実、社会内処遇(保護観察)を行う保護観察官には社会福祉士もいます。

 では、この社会内処遇および更生保護は、具体的にどのような内容を含んでいるのでしょうか。それは、(1)仮釈放、(2)保護観察、(3)(身体の拘束を解かれた者に対する)更生緊急保護、(4)恩赦、(5)犯罪予防活動です。

 さて、前述を前提に、過去の問題について考察してみましょう。

 本科目は、例年、非常に基本的な問題が出題されています。つまり、各用語を正しく理解しているかを問うような問題です。そのため、基礎的な用語と特有な用語をきちんと整理、理解できていれば解答が可能な問題が多いといえます。

 具体的には、「更生保護制度」「少年司法」「保護観察(保護観察官・保護司)」「医療観察制度(社会復帰調整官)」などで、過去問解説集模擬問題集で繰り返し学習し、また、関連づけて学習することが重要です。
 前述の「少年司法」については、ワークブックでその流れを図を用いて整理していますので、問題文とともに必ずチェックしておいてください。犯罪少年は、警察などの検挙により、検察庁に送致され、その後、家庭裁判所を経て、少年院に入院し、退院、または仮退院の場合は保護観察に付されます。また、虞犯・触法少年の場合は、一般人や警察などによる発見により、児童相談所や家庭裁判所に通告・送致され、その後、児童自立支援施設や保護観察所などに送致されます。とても重要な流れですので、確認しておきましょう。
 このように、本科目の攻略法は、まず専門的な用語についてしっかりと理解することです。用語さえ理解することができれば、あとは「社会復帰」「地域生活支援、社会内処遇」「多職種・他機関との連携協働」といった社会福祉士が専門とする内容について押さえることで、十分回答が可能な科目です。

保護観察:保護観察官および保護司

 まず、保護観察について整理しておきましょう。

 保護観察とは、犯罪者や非行少年本人に、本来自助の責任があることを認め、就職または定住などに関する補導援護をするとともに、善行の保持などを指導監督しながら改善更生を図ることで、社会内処遇とよばれています。また、保護観察の対象者は、以下の5つとなります。

  • (1)保護観察処分少年(1号観察)
  • (2)少年院仮退院者(2号観察)
  • (3)仮釈放者(3号観察)
  • (4)保護観察付執行猶予者(4号観察)
  • (5)婦人補導院仮退院者(5号観察)

※(1)保護観察処分少年は、少年法第24条に規定されており、家庭裁判所が非行少年に行う終局処分です。この処分は、(1)保護観察所の保護観察、(2)児童自立支援施設または児童養護施設への送致、(3)少年院への送致 です。

 次に、保護観察を行う保護観察官と保護司について整理しておきます。

 まず、保護観察官ですが、更生保護に関する専門的知識に基づき、保護観察、人格考査その他犯罪者の更生および犯罪の予防に関する事務に従事し、保護観察所(全国50か所)と地方更生保護委員会(全国8か所)の事務局に配置される国家公務員です。また、保護観察を担当する保護観察官を主任官といい、主任官と協働して保護観察を行う保護司を担当保護司といいます。保護観察官は、約1000人います。

 また、保護司は、犯罪者および非行少年の改善更生を助けることなどを使命とし、法務大臣の委嘱を受けて活動するボランティア(非常勤の国家公務員)です。保護司は、約5万人います。任期は2年で再任を妨げず、給料は支給されずに実費弁償費が支払われます。

 近年における保護司のプロフィールの変化としては、女性保護司の増加と高齢化があります。よって、若手保護司の確保が課題となっています。

更生緊急保護

 更生緊急保護とは、刑務所からの満期釈放者、保護観察に付されない執行猶予者、少年院退院者など、刑事上の手続きまたは保護処分による身体の拘束を解かれた後、親族からの援助を受けることができない場合またはこれらの援助、もしくは公共の衛生福祉に関する機関やその他の機関から医療や宿泊、職業などの保護を受けることができない場合、またはこれらの援助もしくは保護のみによって改善更生することができないと認められる場合に、緊急に、その者に対し、金品を給与・貸与し、宿泊の場を供与し、医療・療養・就職・教育訓練を助け、職業を補導し、社会生活に適応できるように必要な生活指導を行い、生活環境の改善や調整を図り、その者が進んで法律を守る善良な社会の一員となることを援護し、その速やかな改善更生を保護することをいいます。また、更生緊急保護は、その対象となる者の改善更生のために必要な限度で、国の責任において行うものとしています。

 更生緊急保護は、その対象となる者が刑事上の手続きまたは保護処分による身体の拘束を解かれた後6か月を超えない範囲内において、その意思に反しない場合に限り行うものです。ただし、その者の改善更生を保護するため、特に必要があると認められるときは、さらに6か月を超えない範囲内において、これを行うことができるとされています。

 更生緊急保護の内容(更生保護法第85条第1項)

  • ● 金品を給与し、または貸与すること(※)
  • ● 宿泊場所を供与すること(※)
  • ● 宿泊場所への帰住を助けること
  • ● 医療または療養を助けること
  • ● 就職を助けること
  • ● 教養訓練を助けること
  • ● 職業を補導すること
  • ● 社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと
  • ● 生活環境の改善または調整を図ること
  • (※)については、犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則第116条においてその方法が定められている


 更生緊急保護の対象者(更生保護法第85条第1項)

  • ● 懲役、禁錮または拘留の刑の執行を終わった者
  • ● 懲役、禁錮または拘留の刑の執行の免除を得た者
  • ● 懲役または禁錮の刑の執行猶予の言渡しを受け、その裁判が確定するまでの者
  • ● 前号に掲げる者のほか、懲役または禁錮の刑の執行猶予の言渡しを受け、保護観察に付されなかった者
  • ● 訴追を必要としないため公訴を提起しない処分を受けた者
  • ● 罰金または科料の言渡しを受けた者
  • ● 労役場から出場し、または仮出場を許された者
  • ● 少年院から退院し、または仮退院を許された者(保護観察に付されている者を除く)


 更生緊急保護の開始は、更生緊急保護の対象者の申出があった場合において、保護観察所の長がその必要があると認めたときに限り、行うものとしています。また、検察官、刑事施設の長または少年院の長は、更生緊急保護の対象者について、刑事上の手続または保護処分による身体の拘束を解く場合において、必要があると認められるときは、その者に対し、更生緊急保護の制度および申出の手続きについて教示しなければならないとされています。

 さらに、保護観察所の長は、更生緊急保護を行う必要があるか否かを判断するにあたって、その申出をした者の刑事上の手続きに関与した検察官またはその者が収容されていた刑事施設(労役場に留置されていた場合には、当該労役場が附置された刑事施設)の長もしくは少年院の長の意見を聴かなければならないとされています。ただし、仮釈放の期間の満了によって、懲役、禁錮または拘留の刑の執行を終わった者、または仮退院の終了により少年院から退院し、または仮退院を許された者(保護観察に付されている者を除く。)に該当した者については、この限りではないとされています。

 以上が、更生緊急保護についてです。この項目はとても重要ですので、必ず確認しておいてください。

少年法

 次に、少年法について少し整理しておきたいと思います。

 少年法は、非行を犯した少年に対して、できるだけ処罰ではなく、教育的手段によって更生を図ることを目的としています。少年法では、少年を「20歳に満たない者」、成人を「満20歳以上の者」(第2条第1項)としています。

 ここで整理しておいてほしいことは、児童福祉法でも少年を規定しているということです。児童福祉法では、少年を「小学校就学の始期から、満18歳に達するまでの者」(第4条第1項第3号)としています。この辺りは、混同しないようにしておきましょう。また、児童福祉法では、児童を「満18歳に満たない者」とし、乳児を「満1歳に満たない者」、幼児を「満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者」としています(第4条第1項)。

 少年法は、2000(平成12)年の改正で、(1)刑事処分可能年齢の引き下げ(16歳から14歳へ)、(2)被害者等の陳述機会の保障などの法改正が行われました。

 また、少年法における審判に付するべき少年とは、「犯罪少年(14歳(刑事責任年齢)以上20歳未満の罪を犯した少年)」「触法少年(14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年)」「虞犯少年(20歳未満で一定の事由があって、将来罪を犯すおそれのある少年)」の3つに分類されています。

 さらに、14歳以上16歳未満の少年も、検察官への逆送により、刑事裁判での処罰を受けることがあります。また、16歳以上で重大事件を犯した場合、検察官へ逆送され、刑事処分となります。このとき、実刑と判決されると、16歳になるまでは少年院、その後は少年刑務所で受刑することになります。この辺りもとても大切ですので、必ず確認しておいてください。

恩赦(おんしゃ)

 次に、恩赦について整理しておきます。こちらは、一読しておくだけでも大丈夫です。本科目の中心は、何と言っても「保護観察」と「その担い手(保護観察官、保護司)」、「医療保護観察制度」です。

 恩赦は、行政権の作用により、刑事の確定裁判の内容を変更させ、その効力を変更もしくは消滅させる、または国家刑罰権を消滅させる行為です。そして、恩赦は、大赦・特赦・減刑・刑の執行免除および復権の総称であり、政令によって一律に行われる政令恩赦と、特定の者に対して個別に審査して行われる個別恩赦に大別され、さらに個別恩赦は、常時恩赦と特別基準恩赦とに分かれます。

恩赦

恩赦の種類と内容
  種類 内容
政令恩赦 大赦、減刑、復権 皇室または国家の慶弔ないし重要行事に際して行われる
個別恩赦 特赦、減刑、刑の執行の免除、復権 有罪の言い渡しが確定した特定の者について、その者の性格、行状、違法な行為をするおそれの有無、その者に対する社会の感情その他の事項を総合的に勘案したうえで行われる(個別恩赦の基準、更生保護法第90条)

恩赦の内容
種類 内容
大赦 政令恩赦の一つであり、有罪の言い渡しの効力を失わせる。また、有罪の言い渡しを受けていない者に対しては公訴権を消滅させる
特赦 有罪の言渡しの効力が失われる。資格制限も回復
減刑 裁判で言渡された刑を軽くする
刑の執行の免除 裁判で言渡された刑そのものは変更せず、将来に向かって、その刑の執行だけを免除する
復権 刑の執行が終わった者または刑の執行の免除を受けた者に対して、有罪の言い渡しを受けたことによる資格制限を回復する


 恩赦の機能としては、(1)法の画一性に基づく具体的不妥当の矯正、(2)事情の変更による裁判の事後変更、(3)ほかの方法をもってしては救い得ない誤判の救済、(4)有罪の言い渡しを受けた者の事後の行状に基づく、いわゆる刑事政策的な裁判の変更もしくは資格の回復があげられます。実際の運用においては、(4)の機能に着目した恩赦が行われています。

 恩赦は、その者の改善更生と社会復帰を促進し、社会の安全を確保するといった刑事政策的観点に立って実施されています。

 最後に、個別恩赦の手続きについて整理しておきます。個別恩赦は、刑事施設の長、保護観察所の長または検察官が、職権または本人の出願に基づき、中央更生保護審査会(法務省に置かれている審議会)に上申し、中央更生保護審査会において個々の事案について審査を行ったうえで、恩赦を相当と認めるときは、その実施について法務大臣に申出を行います。この申出を受けた内閣が閣議により恩赦を決定し、天皇がこれを認証することとなっています(内閣は中央更生保護審査会からの申出がない者に対して、恩赦の決定をすることはできません(恩赦法第12条))。

試験直前

 さて、今回で各科目のクローズアップ解説が終わりました。

 さぁ、試験まであと少し。試験勉強とともに、体調管理もしっかりしてください。試験当日、体調を崩していたのでは、どんなに実力があっても十分に力を発揮することはできません。くれぐれも、睡眠と休息、食事はしっかりととってください。

 次回は、国家試験前の最終の回です。「国家試験の心構え」と題しまして、午前の部、午後の部の諸注意や、試験前の準備などについてお話ししたいと思います。
 なお、本講座ですが、国家試験後に「特別編」として、第31回社会福祉士国家試験問題の講評を2週にわたってお送りしますので、そちらのほうも参考にしてください。

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