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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第40回 クローズアップ~児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度

 試験まで残り1か月となりました。新しい一年が始まりました。いよいよ追い込みです。まだまだ諦めることなく、最後の最後まで一緒に頑張りましょう。

 それでは、今回は、「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」で特に理解しておくべきポイントについて解説します。

「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」のポイントの振り返り

 本科目は、例年全7問中1~2問が事例問題として出題されています。内容をみてみると、子ども家庭福祉に関する基礎問題のほか、子ども家庭福祉の「施設」に関する問題では、「各児童福祉施設」や「専門職」に関する問題が問われています。また、本科目は、「児童福祉法」「(子どもの)権利」に関する内容や、母子保健法、母子自立支援員、婦人保護施設、保育所など幅広い知識が問われます。押さえておくべき点はある程度焦点化できますので、基礎をきちんと理解しておけば確実に得点ができます。
 法制度としては、「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」や「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)」が出題されていますので、法律を一読しておいてください。ちなみに、施設内での児童虐待については、児童福祉法で明文化されていますので、そちらについても一読しておいてください。さらに、法改正に伴い、児童虐待の予防と共に、自立援助までの一貫した対応について明文化されました。中でも、児童虐待の予防を担う相談体制として、母子保健法を根拠法とする「母子健康包括支援センター」が重要な役割を担っていきます。

 加えて、本科目で強調したいのは、「社会的養護」についての基礎知識です。具体的には、「施設養護」と言われる乳児院や児童養護施設の基礎知識と、前述しました子どもの権利として「施設内虐待」の理解です。施設養護については、社会的養護の9割を占め、取り組み課題として、(1)専門的なケアや自立支援に向けた取り組み、(2)継続的・安定的な環境での支援の確保、(3)ケア単位の小規模化と家庭的な養護の推進が挙げられています。一方、社会的養護の1割にとどまる「家庭的養護」については、その充実が検討されています。具体的には、(1)里親制度の拡充、(2)小規模グループ形態の住居による新たな養育制度の創設(ファミリーホーム)、(3)施設におけるケアの小規模化などが挙げられます。ここでは、里親制度についてチェックしておいてください。

 もう一点、強調しておきたいのは、「子どもの貧困」に関する基礎知識です。新聞などで報道されているので、ご存知の方も多いかと思いますが、我が国は、「約7人に1人の子どもが貧困」であると言われています。この根拠は、17歳以下の子どもがいる家庭の相対的貧困率が13.9%であるからです。そして、この貧困率は、OPCDの中でも高いカテゴリーにあります。この子どもの貧困に対しては、新たに設けられた「生活困窮者自立支援法」で、任意事業ではありますが「学習支援事業」として、生活困窮者の自立促進のための生活困窮家庭での養育相談や学び直しの機会提供、学習支援といった「貧困の連鎖」の防止の取り組みや中間的就労事業の立ち上げ支援など、育成支援などを実施することになっています。このほか、生活保護受給家庭の子どもの高等学校等への修学費用が生業扶助(高等学校等修学費)で確保されています。さらに、小学校や中学校へのスクールソーシャルワーカーの設置などを見越した取り組みも始まっています。以上のように、子どもの貧困については重要項目ですので、必ず押さえておきましょう。

 最後に、本年度は、児童福祉法の改正が行われていますので、同法第1条の目的については一読しておいてください。このほか、本法では、国や自治体の責務をはじめ、児童の定義や保育士の規定、児童虐待に対する対応等、重要項目についても確認しておきましょう。

 それでは、本科目の重要項目の整理をしてきます。

児童相談所および児童相談所長の役割と機能

 まず、児童相談所の役割と機能についてまとめていきます。児童相談所の概要については、第30回、第28回試験では、児童相談所での対応事例が問われています。こちらは、過去問ベースでチェックしておきましょう。

 児童相談所に関する統計については、最新のものを紹介しておきます。児童相談所は、都道府県と指定都市に設置義務があり、2006(平成18)年4月からは中核市など政令で定める市についても設置することができるようになりました。この場合、人口50万人に対して最低1か所程度の設置が適当とされています。

 児童相談所の業務としては、(1)児童福祉法上の措置を相当と認めた少年の処遇、(2)児童自立支援施設や児童養護施設に送致する保護処分の少年の処遇、(3)親権者の施設入所の不同意の場合の家裁申し立て、(4)保護にかける児童への養子縁組、(5)緊急一時保護による一時保護、(6)親権者への親権喪失の申告請求、(7)未成年後見人の選任および解任の請求(未成年後見人請求の間の親権代行)、(8)児童の里親への委託および停止、解除、変更、(9)家庭裁判所の審判に付する児童の送致、(10)児童福祉施設への入居措置および施設入所児童の措置の停止、解除、変更があります。具体的な相談内容を見てみると、障害相談(最も多く、18万5186件:40.5%)をはじめ、児童虐待を含む養育相談、非行相談、育成相談、保健相談、その他の相談に分類されており、その総数は、対応総数45万7472件となっています(2016(平成28年度))。この相談件数は、前年より約2万件増加しています。

 児童福祉施設については、このような措置方式の施設として、乳児院や情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設などがあげられます。この場合には、保育所や助産施設、母子生活支援施設などは含まれず、これらの施設は行政との契約方式をとっています。なお、従来の障害種類別等に分かれていた障害児施設については、入所による支援を行う施設は障害児入所施設となり、福祉型障害児入所施設と医療型障害児入所施設に改編されました。また、この入所措置は、本来は都道府県・指定都市の権限ですが、実際には児童相談所長に委任されています。

 児童虐待の児童相談所の対応の流れも少し整理しておくと、保護者が拒否を続けた場合、(1)家庭訪問、(2)都道府県知事の出頭要求、(3)立入調査(処遇や対応の調査程度)、(4)再出頭要求(都道府県知事)、(5)許可令状請求(等道府県知事):裁判所(地裁・家裁・簡裁)の許可令状発付、(6)臨検・捜査(強制立入調査)といった流れをとります。こちらも、重要項目ですので、チェックしておきましょう。

 以上、児童相談所は児童分野における総合相談窓口ですので、十分な学習が必要です。児童相談所に関しては、基礎的かつ重要な内容ですので、曖昧な点や不明な点は、ワークブックや法律に立ち返って確認しておく必要があります。

児童虐待の定義

 児童虐待は、児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)によって規定されています。この法律は、2000(平成12)年5月に成立し、児童虐待の予防および早期発見、その他の児童虐待の防止に関する国および地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護および自立の支援のための措置などを定めることで、児童虐待の防止などに関する施策を促進し、児童の権利利益の擁護に資することを目的として制定されました。

 児童虐待防止法は、2004(平成16)年4月に一部改正がなされ、この改正では、児童相談所長に対し、特に児童の安全確保などに警察の協力が必要な場合は、警察署長へ援助要請することを義務づけました。また、虐待を受けたと思われる児童を発見した者には、速やかに通告する義務を課すなどの措置が講じられました。さらに、2007(平成19)年6月の児童虐待防止法(2008年施行)により、第1条の目的に「児童の権利利益の擁護に資する」主旨が明記されました。

 具体的に児童虐待の定義についてみてみますと、同法第2条で、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者)がその監護する児童について行う以下(1)~(4)の行為としています。(1)児童の身体に外傷が生じる、または生じるおそれのある暴行を加えること、(2)児童にわいせつな行為をすること、または児童にわいせつな行為をさせること、(3)児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、または長時間の放置、(4)児童に対する著しい暴言または著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力を見せる行為、その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うことをいいます。

 つまり、法律の規定する「児童虐待」とは、(1)身体的虐待、(2)性的虐待、(3)育児放棄(ネグレクト)、(4)心理的虐待の4つといえます。

 【児童虐待の定義】

  • (1)身体的虐待…児童の身体に外傷が生じる、または生じるおそれのある暴行を加えること
  • (2)性的虐待…児童にわいせつな行為をすること、または児童にわいせつな行為をさせること
  • (3)育児放棄(ネグレクト)…児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、または長時間の放置
  • (4)心理的虐待…児童に対する著しい暴言または著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力を見せる行為、その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと


 さらに、2007(平成19)年には児童相談所運営指針が改正され、児童虐待に関する対応についても言及しています。それによりますと、児童虐待の対応を迅速かつ的確に行うために、(1)虐待に関する情報については、すべて虐待通告として受理し、緊急受理会議の開催を徹底すること、(2)安全確認を行う時間ルールを設定し、その時間は48時間以内が望ましい、(3)市町村においても安全確認を行うこと、(4)すべての在宅虐待事例に関する定期的なフォローについても明記されました。

 児童虐待に関しては、本年度も試験に出題される可能性が高いと思いますので、必ず確認しておきましょう。児童相談所や保育所、児童家庭支援センター、医療機関(病院)などとの連携に関しても整理しておくとよいでしょう。関連項目としては、親権(者)については、必ず確認しておいてください。また、前述しましたが、施設内虐待については、児童福祉法で規定されていますので、そちらも併せて整理しておいてください。

里親制度

 里親制度については、前述した通り、社会的養護の重要な役割を担っていくことになります。里親の登録は、児童相談所に申請、調査を実施し、都道府県知事が認定します。この時、児童福祉審議会または地方社会福祉審議会で判定されて登録されます。里親の種類とその詳細は、表で確認しておいてください。少し整理しておくと、養育里親は、養育里親名簿に登録され、期間は、養育里親5年、専門里親2年となっています。また、養子縁組によって養親となることを希望する里親と親族里親については、養育里親とは別の名簿に登録されることとなっています。養育里親は、委託児童は4人を上限(委託児童と委託児童以外の合計6人を上限)に、要件として、1)養育里親の研修を受講、2)欠格事由に該当しないこと(同居人を含む)、3)経済的に困窮していないことが挙げられます。また、専門里親については、委託児童は2人が上限(委託児童の全体の人数は4人を上限)に、要件として、養育里親であって次に該当する者、1)アからウのいずれかに該当 (ア:3年以上の養育里親の経験を有する者。イ:3年以上の児童福祉事業に従事した者で都道府県知事が適当と認めた者。ウ:都道府県知事がア・イと同等以上の能力を有すると認めた者)、2)専門里親研修の課程修了者、3)委託児童の養育に専念することが可能な者とされています。

表 養育里親と専門里親
  養育里親 専門里親
登録 養育里親名簿に登録 → 期間 養育里親5年 専門里親2年
・児童相談所(都道府県知事)に申請、調査実施、都道府県知事が認定
・児童福祉審議会の意見を聴く
※ 養子縁組によって養親となることを希望する里親(養子縁組里親)と親族里親は、養育里親とは別の名簿に登録
対象児童 要保護児童(保護者のいない児童又は保護者に監護させることが不適切であると認められる児童) 要保護児童のうち都道府県知事がその養育に関し特に支援が必要と認めた児童
  • 1.児童虐待等の行為により心身に有害な影響を受けた児童
  • 2.非行等の問題を有する児童
  • 3.身体、知的、精神障害がある児童
人数

要件
【人数】 委託児童は4人を上限
(委託児童と委託児童以外の合計6人を上限)
【要件】
  • 1.養育里親の研修を修了
  • 2.欠格事由に該当しないこと(同居人を含む)
  • 3.経済的に困窮していないこと
【人数】 委託児童は2人が上限
 (委託児童の全体の人数は4人を上限)
【要件】 養育里親であって次に該当する者
  • 1.(1)から(3)のいずれかに該当
    (1)3年以上の養育里親の経験を有する者
    (2)3年以上の児童福祉事業に従事し、都道府県知事が適当と認めた者
    (3)都道府県知事が(1)、(2)と同等以上の能力を有すると認めた者
  • 2.専門里親研修の修了者
  • 3.委託児童の養育に専念することが可能な者

表 親族里親及び養子縁組を希望する里親
親族
里親
親族里親に扶養義務〈3親等以内〉がある児童、児童の両親その他当該児童を現に監護する者が死亡、行方不明、拘禁、入院などの状態になったことにより、これらの者による養育が期待できないこと
※養子縁組を希望する里親:要保護児童(養育里親等の要件に準じて都道府県知事が判断する)

表 里親支援専門員
里親支援専門相談員 親里親支援を行う乳児院や児童養護施設に配置され、児童相談所の里親担当職員、里親委託等推進員、里親会等と連携し、所属施設の入所児童の里親委託の推進、退所児童の里親支援(アフターケア)や退所児童以外を含めた里親・地域支援

 以上、「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」の解説でした。
 次回は、「クローズアップ~就労支援サービス」です。

新年が明けましたね

 受験生の皆さんにとっては、この年末・年始はあまり関係なかったかもしれませんね。国家試験が終わる2月3日(日)以降にやっと年明けになりそうですね。そして、3月には合格発表もありますし、4月からはまた新しい年度が始まります。国家試験まで、あと約30日。逆に言うと、あと30日でこの生活、勉強の毎日から解放されます。もう勉強しなくてよくなるんですよ。そう考えると、今、もっともっとできることがあるのではないでしょうか。

 試験日までの残りの時間は、とにかく繰り返しの「確認」をしてください。試験当日を迎えるまで学習を続けていくべきです。ただし、これぐらいの時期からは、単に詰め込むだけの学習ではなく、「整理しながら」「確認しながら」学習することが大切です。混乱したり、焦って間違ったことを覚えたりしないように気をつけてください。

 そして、これもとても大切なことですが、体調管理にはくれぐれも気をつけてください。どんなに学習して万全であったとしても、当日、体調が悪ければ、今までやってきたことを十分に発揮することはできません。基本的なことですが、手洗い、うがいを必ず習慣づけましょう。私は、外出・移動の際はマスクをつけ、帰宅時には手洗いうがい、自宅や研究室では加湿を使用、と完全防備をしています。また、暴飲暴食にも気をつけ、睡眠や休息を心がけましょう。そして、適度な運動も頭を活性化させるために大切です。万全を尽くしましょう。

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