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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第39回 クローズアップ~高齢者に対する支援と介護保険制度

 今回は、「高齢者に対する支援と介護保険制度」で特に理解しておくべきポイントについて解説します。

「高齢者に対する支援と介護保険制度」のポイントの振り返り

 本科目の過去の問題を見てみると、全10問中2問程度が事例問題です。事例問題については、地域包括支援センターの社会福祉士の対応などの事例問題が出題されています。今後は、地域包括ケアの事例や高齢者虐待の対応事例、認知症高齢者や終末期の支援事例、介護予防の対応事例、介護過程・技術に関する事例問題などが出題される可能性がありますので、まずは基礎知識を整理した上で、その実際についても確認しておきましょう。

 このほか、本科目の内容をみてみますと、出題基準の大項目では18項目に細分化されていますが、大きくは(1)高齢者に対する支援、(2)介護保険制度の2つに分けることができます。

 (1)高齢者に対する支援では、(1)老人福祉法をはじめ高齢者の基礎と、高齢者の動向などの「高齢者福祉概論」、(2)介護の概念や介護過程などの「介護概論」、(3)認知症高齢者や終末期の高齢者への支援・ケアなどの「高齢者ケア」、(4)「地域包括支援センター」、(5)「高齢者虐待」、(6)高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)などの「高齢者の生活と社会参加」に分けることができます。

 (2)介護保険制度では、介護予防からはじまり、介護保険法、介護報酬、介護保険法における組織および団体の役割と実際、専門職の役割と実際、ネットワーキングと実際などが含まれます。

 分量的にも、範囲的にも、広範で学習が難しいと思いますが、(2)介護保険制度に関しては必ず確認しておいてください。また、高齢者虐待、認知症高齢者や終末期の高齢者への支援・ケアについても整理しておきましょう。

介護保険制度

 介護保険制度は、施行されて18年になりますが、高齢者の福祉、特に介護というニーズを充足するためにさまざまな福祉サービスが用意されています。膨大な量ですので、ここでは介護保険制度の概観のみを取り扱います。そのため、各自で必ずしっかりと整理、学習しておいてください。

 介護保険制度については、都道府県や市町村の役割と共に、介護保険改正に伴う新しい介護保険の仕組みに関する内容や介護報酬について問われています。また、介護保険制度では、地域保活ケアや介護予防などは現在の高齢者福祉の潮流であり、キーワードとして学習する必要があります。このほか、介護保険法における国、都道府県、市町村、サービス事業所などの役割とその実際については、必ず整理しておきましょう。また同様に、介護保険法における専門職についても、その役割と実際については整理しておいてください。

 では、ここでは、重要な点や項目を列挙しておきます。

 まず、「介護保険のシステム」についてです。例えば、保険者(市町村および特別区)と被保険者(「第一号被保険者=65歳以上の者」「第二号被保険者=40歳以上65歳未満の医療保険加入者」)の関係や、介護サービスは「要介護者」と「要支援者」へのサービスとで分かれていますので、「居宅サービス」「地域密着型サービス」「施設サービス」については、必ずその内容について学習しておいてください。これに、新たな枠組みとして「地域支援事業」が加わりました。「地域支援事業」の中身としては、「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」と「包括的支援事業」、「任意事業」があります。特に「包括的支援事業」については、地域包括支援センターの役割とともに、「在宅医療・介護連携推進事業」「認知症総合支援事業」「生活支援サービス」「地域ケア会議推進事業」などについて、その詳細を整理しておきましょう。

 このほかに、介護保険サービスを利用するためには「要介護(要支援)認定」、つまり「要介護度」をもっていなければなりません。「要支援」は、要支援1と要支援2の2段階、「要介護」は、要介護1からはじまり要介護5までの5段階があります。基本的なことですが、数字が大きくなるにつれて介護の度合いが重くなります。この要介護度をつけるためには、申請を行い、訪問調査や主治医の意見書、コンピュータによる一次判定、介護認定審査会による二次判定などの審査を経ることが必要です(ちなみに、この審査に不服がある場合は、都道府県の「介護保険審査会」に審査請求を行います)。この流れについても、今一度確認しておきましょう。

 さらに、高齢者福祉や介護保険制度で重視されている概念として、「地域包括ケアシステム」に関連して、「地域密着」「認知症ケア」「在宅復帰支援」などがキーワードと言えそうです。これらのキーワードについても、必ず確認しておいてください。また、「地域包括ケアシステム」では、「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部改正に関する法律」により、「高齢者」のみならず、「障害者」「児童」とサービスを「丸ごと化」する取り組みが進められ、「共生型サービス」が新たに始まります。

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)

 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)は、2005(平成17)年に制定されました。この法律は、高齢者に対する虐待が深刻な状況にある実態をふまえ、高齢者の尊厳の保持にとって高齢者に対する虐待を防止することが重要であるということから制定されました。具体的には、高齢者虐待の防止等に関する国等の責務、虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置、また、養護者の負担の軽減を図ること等を目的とする養護者に対する支援について定めています。この法律における「高齢者虐待」とは、65歳以上の者に対し、家庭で現に養護する者や施設などの職員による虐待をいいます。

 【高齢者虐待の種類】

  • (1)身体的虐待
  • (2)ネグレクト
  • (3)心理的(精神的)虐待
  • (4)性的虐待
  • (5)経済的虐待


 また、養護者による高齢者虐待の種別・類型の順位をみてみますと、1位が身体的虐待で6割を占めています。ついで、2位は心理的虐待、3位はネグレクトと呼ばれる介護等放棄になっています。ちなみに、介護施設従業者等によるものは、特別養護老人ホームが約3割と最も多いです。このほかの統計数値については、ワークブックなどで確認しておきましょう。
 高齢者虐待に対する具体的な対策と支援については、(1)市町村による相談、助言等、(2)養護者による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合の市町村への通報義務等、(3)通報、届け出があった場合の市町村による安全確認や事実確認のための措置、地域包括支援センターその他の関係機関等との対応協議、(4)高齢者の一時的保護、(5)地域包括支援センター職員などによる居所への立ち入り調査や質問などが示されています。

 さらに、施設などの高齢者虐待の防止に関しては、(1)養介護施設の設置者などによる施設従事者への研修の実施、(2)苦情処理体制の整備、(3)業務に従事する職員による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合の市町村への通報義務などが規定されています。

 私の実際の経験では、在宅介護をしている介護者には、ストレスと、自分が虐待をしてしまうのではないかといった心配や不安を抱えながら家庭介護を行っている人がたくさんいます。しかし、虐待という行為は重大な人権侵害であり、いかなる理由でも許されません。社会福祉士は、虐待行為自体がよいことなのか、悪いことなのかと短絡的に結論づけ、それを裁くのではなく、その虐待を未然に防ぐために、介護者や家庭の状況を的確に把握し、アセスメントを行うことが重要です。また、虐待者本人への支援とともに、この本人を取り巻く環境への支援、また虐待者本人と、この本人を取り巻く環境との交互作用面への支援や調整が重要であることがわかります。

 そういった意味では、日頃からの連携や協働体制が重要になってきますし、家族の介護疲れや身体的状況に関するアセスメントが重要になります。

まとめ

 高齢者、障害者、児童に関する問題は、特に個々人の得意・不得意がでやすい科目ですが、確実に学習をすれば必ず得点できる科目です。得意だとか、不得意だとか、そういった価値観に左右されることなく、確実に学習していきましょう。

 以上、「高齢者に対する支援と介護保険制度」の解説でした。

 次回は、「クローズアップ~児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」です。

 本年の講義はこれがラスト。年末年始にまとまった時間が取れる人も多いのではないでしょうか? この年末年始の時間をいかに過ごすか、有効に活用できるか、が合否に大きく影響します。まだまだ、時間はあります。現時点で諦めることなく、まずは過去問題をベースに一つひとつ積み重ねていきましょう。

本年ラストの講義

 さて、本講義を持って、年内最後の講義となります。4月から共に1年間国家試験勉強を進めてきましたが、1年が終わります。国家試験までは、まだ1か月強あります。この年末年始が、試験前の最後のまとまったお休みとなりますので、過去問解説集模擬問題集を中心に、苦手な科目やまだ理解が不十分な項目などは、この期間で整理しておきましょう。
 それでは、みなさん、よいお年をお過ごしください。

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