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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第38回 クローズアップ~福祉サービスの組織と経営

 今回は、「福祉サービスの組織と経営」で特に理解しておくべきポイントについて解説します。

「福祉サービスの組織と経営」のポイントの振り返り

 本科目の出題基準の大項目は、(1)福祉サービスに係る組織や団体、(2)福祉サービスの組織と経営に係る基礎理論、(3)福祉サービス提供組織の経営と実際、(4)福祉サービスの管理運営の方法と実際となっています。

 なかでも重要なのは、(2)福祉サービスの組織と経営に係る基礎理論で、組織やリーダーシップに関する内容です。また、(3)福祉サービス提供組織の経営と実際では、「福祉人材の確保・育成」に関する知識が問われていますし、このほか、(1)福祉サービスに係る組織や団体では、「基礎となる組織理論」「基礎となる戦略や経営理論」「コンプライアンス、法令の遵守、監査」が出題されています。また、(4)福祉サービスの管理運営の方法と実際では、「人事管理」「メンタルヘルス対策や組織としての衛生管理体制」「組織で働く者の就労意欲やキャリア形成」に関する問題が出題されています。

 本科目では、基礎を押さえて前述の4項目を満遍なく学習するとともに、相互に関連づけながら整理すると理解が進むでしょう。今回は、出題の頻度が高い「社会福祉法人制度」と「特定非営利活動法人制度」について解説します。

社会福祉法人(社会福祉法)

 まず、社会福祉法人については大きな改正があり「社会福祉法人改革」として、非常に大きな変更がありました。今回は、社会福祉法人の基礎とその改正点について確認していきたいと思います。

 福祉サービスは社会福祉を目的とする事業の具体的行為ですが、社会福祉を目的とする事業の内容については、社会福祉法の第2条などに規定されています。これらは「社会福祉事業」として整理されていますが、この社会福祉事業は、第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業とに分けられています。簡単に説明しますと、第一種社会福祉事業は、公共性の高い事業で人格の尊厳に重大な関係をもつ事業とされています。また、この第一種社会福祉事業については、国、地方公共団体または社会福祉法人が経営します。さらに、第二種社会福祉事業は、在宅サービスなど、利用者への影響が比較的小さいため、公的規制の必要性が低い事業とされています。同法同条においては、この2つの事業の具体的な施設や事業が明確に示されていますので、必ず確認しておいてください。

社会福祉法人

 では、社会福祉法人について少し整理しておきましょう。所管庁は都道県知事ですが、2つ以上の都道府県で事業が行われる場合は厚生労働大臣となります(認可主義)。平成28年4月より、(1)2つ以上の都道府県で事業を行う法人は、従来国所管でしたが、主たる事業所に事務所を置く都道府県が所管へと変更になり(※全国的に事業を行うことを目的とする法人その他省令で定める法人を除く)、また(2)都道府県の区域内で2つ以上の市町村で事業を行う法人のうち、主たる事務所を政令市に置く法人については、政令市が所管となりました。

 また、平成29年4月より、評議員会をおかなければならないものとし、評議員会において理事、監事および会計監査人の選任等の重要事項の決裁を行うものとすることになりました。つまり、評議員会は社会福祉法人の意思決定機関(議決機関)となりました。一方、理事は法人事業執行機関・代表となりました。

 さらに、社会福祉法人は、前述の通り、社会福祉事業を目的とするものですが、「経営する社会福祉事業に支障がない限りにおいて、(1)公益事業、(2)収益事業を行うことができます。これに加えて、平成28年4月から「日常生活または社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料または低額な料金で福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならないものとされ、地域における公益的な取り組みを実施する責務」が規定されています。これを地域公益事業と言います。

 重要項目を表にしておきますので、チェックしておきましょう。

図 社会福祉法人の概要

認可主義 社会福祉法人の設立には、必要事項を取り決めたうえで「定款」をもって所管庁の認可を受ける必要がある。
所轄庁は、原則、都道府県。
2つ以上の都道府県で事業が行われる場合、従来は国所管であったが、主たる事業所に事業所を置く都道府県が所管となる。
都道府県の区域内で2つ以上の市町村で事業を行う法人のうち、主たる事業を政令市に置く法人は政令市が所管となる。
組織 理事:法人事業執行機関・代表。6名以上。
幹事:2名以上。
評議会:設置義務。意思決定機関(議決機関)。理事を超える人数
→定款変更や理事の選任など
事業 (1)社会福祉事業
 第1種社会福祉事業
 (公益性が高く、人格の尊厳に重大な関係を持つ事業)
 第2種社会福祉事業 税制面の優遇:原則非課税
 (法人税、事業税、都道府県税・市町村税、固定資産税)
(2)地域公益事業(公益的な取り組みを実施する責務)
 経営する社会福祉事業に支障がない限りにおいて
(3)公益事業 ※剰余金は、同法人の社会福祉事業や公益事業に充当する
(4)収益事業収益 ※収益は、同法人の社会福祉事業または一部の公益事業に充当する

社会福祉法

 次に、社会福祉法について少し整理しておきます。第1条には以下のように目的が示されています。

(目的)
第一条 この法律は、社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定め、社会福祉を目的とする他の法律と相まって、福祉サービスの利用者の利益の保護及び地域における社会福祉の推進を図るとともに、社会福祉事業の公明かつ適正な実施の確保及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図り、もって社会福祉の増進に資することを目的とする。

 つまり、この法律では、福祉サービス事業者を国、地方公共団体および社会福祉法人とそれ以外の主体とに区別せず、「社会福祉を目的とする事業を経営する者」として広く規定しています。そして、国および地方公共団体は、福祉サービスの提供主体ではなく、制度の企画・立案や運営・管理の役割を果たすべき主体とされており、同法第6条では、「社会福祉を目的とする事業の広範かつ計画的な実施が図られるよう、福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策、福祉サービスの適切な利用の推進に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない」と明文化されています。

 さらに、同法では、第3条で「福祉サービスの基本的理念」を整理し、第5条で「福祉サービスの提供の原則」を示しています。また、福祉サービス事業者は、常に「地域福祉の推進」に努めることが重要であることもあげています。

 なお、社会福祉法人については、同法第6章(第22~59条)で整理されています。必ず一読しておきましょう。

特定非営利活動法人制度

 特定非営利活動法人は、認証によって法人格を取得することができます。特定非営利活動促進法により法人化する団体は、所轄庁である都道府県知事の認証を得て、登記することによって活動することができます(認証主義)。社会福祉法人は「認可主義」でしたね。なお、法人の事務所が2つ以上の都道府県にあるときは、主たる事務所の所在地の都道府県知事(また、その事務所が1つの指定都市の区域内のみに所在する特定非営利活動法人にあっては当該指定都市の長)となります。

 また、特定非営利活動法人は、年に一回、事業報告書や決算報告書、役員名簿などを所轄庁に提出することになっています。所轄庁は、提出された事業報告書等を閲覧できるようにし、法人側もそれらの書類を事業所に備えて、社員(会員)や関係者が閲覧できるようにしておくこととなっています。また、特定非営利活動の範囲については、特定非営利活動促進法において20分野に限定しています。

 さらに、特定非営利活動法人の組織は、(1)法人の業務を決定する理事・理事会、(2)社員からなる社員総会、(3)理事の業務執行状況や法人の財産状況を監査する監事の3つの機関から成り立っています。また同法人は、理事を3名以上置かなければならず、同法人の業務は、定款に特別の定めがない場合は、理事の過半数をもって決定していくことになっています。

 また、特定非営利活動法人は、社会福祉法人とは違い税制の優遇措置はありません。つまり、特定非営利活動法人の行うほとんどの事業は、法人税法上の収益事業に該当し、普通法人と同様に法人税率が適応されます。さらに、事業税をはじめ、市町村・都道府県民税、消費税、固定資産税も課税されます。ただし、社会福祉法人のように、法人要件に、社会福祉事業を行うのに必要な資産を備える必要はありません。

 このように、国家試験では、特定非営利活動法人の基礎を中心とし、社会福祉法人や公益法人(社団法人、財団法人)などとの違いなどが問われています。曖昧な理解やうろ覚えですと、国家試験当日に混乱し、誤答する可能性がありますので、今、余裕があるときに、整理をして暗記してほしいと思います。

まとめ

 ここまで、社会福祉法人制度と特定非営利活動法人制度について整理してきました。このほか、「組織理論」や「リーダーシップ(三隅二不二のPM理論)」については、過去に出題されていますので、特にリーダーシップに関する基礎理論については整理しておいてください。

 ここでは詳細な解説はしませんが、リーダーシップ理論は、大別すると「特性理論(リーダーの特性を研究)」「行動理論(優れたリーダーの行動を研究)」「条件適合理論(条件に応じたリーダーのあり方を研究)」に3つに分けられ、「行動理論」の代表的な研究としては、三隅二不二のPM理論があります。この理論では、リーダーの行動を「リーダーシップP行動」、「リーダーシップ M行動」で説明しています。

リーダーシップP行動 規則遵守、指示命令、時間厳守といった目標達成を志向
リーダーシップM行動 気楽に話し合う、気を配る、信頼する、意見を求めるなどを志向

 また、「福祉サービスの適切なサービス提供体制の確保の方法と実際」に関する問題も出題されていましたので、同じく確認が必要です。このほか、「福祉サービス提供組織における人材養成と確保(OJT,OFF-JTなど)」に関する問題や「福祉サービス提供組織における人材の確保と育成、労務管理(「新人材確保指針」、就業規則作成時の要件など)」に関する問題、「サービス・マネジメント」に関する問題も出題されました。ここでは、働きやすい労働環境の整理が重要になります。企業や施設にとって「人」は宝ですからね。

 この人材育成の確保や労務管理については、ここ数年問われています。第30回試験では、人材育成や研修について具体的な内容が問われていますし、第29回試験では「個人が暗黙的に行ってきた仕事の仕方(暗黙知)を形式知化する方法」について問われ、第28回試験では「リスクマネジメント」や「労働法上の労働契約、就業規則、労働協約」について問われています。さらに、第27回試験では「キャリア」「人材の育成確保」「メンタルヘルス」「労働安全衛生管理」について広く問われています。また、過去には「育児・介護休業」について問われています。今年度は、「育児・介護休業」について問われる可能性が非常に高いのでチェックしておきましょう。ここ数年の変更点は必ず押さえておきましょう。

 本科目では、幅広い知識が問われていますので、ワークブックなどで整理されている項目については、必ず確認しておきましょう。以上、「福祉サービスの組織と経営」の解説でした。  次回は、「クローズアップ~高齢者に対する支援と介護保険制度」です。

寒くなりました

 全国的に、急に寒くなってきたので、風邪など体調を崩さないように、気をつけてくださいね。また、インフルエンザの予防接種や、風邪対策などご自身でできることは全部やっておきましょう。なんといっても、皆さん、受験生ですから。

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