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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第34回 クローズアップ~権利擁護と成年後見制度

 今回は、「権利擁護と成年後見制度」で特に理解しておくべきポイントについて解説します。本科目で、共通科目の講義は終わりです。共通科目は、苦手な人が多いかもしれませんが、6割以上の得点を確保しておくことが合格の必要条件となります。そのためには、基礎をしっかりと頭に入れ、繰り返し学習しておいてください。

「権利擁護と成年後見制度」のポイント振り返り

 本科目は、タイトル通り、(1)権利擁護と(2)成年後見制度の内容が中心に出題されます。割合としては、(2)成年後見制度に関する問題が2問~3問、残りの4~5問は、「(1)日本国憲法の基本原理や民法、行政法に関する内容」と、「(2)権利擁護と権利擁護活動の実際(個人情報の取り扱いを含む。)」から出題されています。特に(1)では、行政法の理解として、「行政不服申し立て」「行政行為の効力の原則」など、連続して出題されています。(2)の成年後見制度については、成年後見制度の基礎から始まり、成年後見の概要や保佐の概要が出題されています。また、(2)の権利擁護、活動の実際については、認知症高齢者や、障害者、児童など広く人々の権利、人権に焦点が当てられています。

相続

 相続人と相続分の関係は、第一順位は子(相続分1/2)・配偶者(相続分1/2)、第二順位は直系尊属(相続分1/3)・配偶者(相続分2/3)、第三順位は兄弟姉妹(相続分1/4)・配偶者(相続分3/4)で、配偶者のみの場合には相続分は1となっていましたが、平成25年の民法改正によって、嫡出でない子供の法定相続分を嫡出子の1/2とする規定は削除され、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分は原則平等となりました。

 また、相続の承認には、単純承認と被相続人の消極財産(相続債務)につき相続財産の程度で責任を負う限定承認があります。相続をしない場合は、相続放棄がなされます。相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所に申述をしなければなりませんが、これをしない場合は単純承認とみなされます。

 相続財産に含まれるものとしては、所有権をはじめ、損害賠償請求権、借地権、借家権などのさまざまな権利や、金銭債務などの各種義務があります。身元保証人の地位や生命保険金、死亡退職金などは含まれません。また、当たり前の話ですが、生活保護受給権も相続の対象にはなりません。

 このほか、相続人が不在の場合については、相続財産は法人(相続財産法人)となり、家庭裁判所は利害関係人または検察官の請求により相続財産の管理人を選出し、かつ円体格その旨を告知することとなっています。

遺言

 遺言は、満15歳に達した者が行えることになっており、成年被後見人であっても、事理を弁識する能力が一時回復したと医師が証明した場合、その時に医師2名以上の立会いの下に遺言をすることができます。遺言の普通方式には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」があります。また、特別方式には、「危急時遺言(死亡危急者遺言、船舶遭難者遺言)」「隔絶地遺言(伝染病隔離者遺言、在船者遺言)」があります。

 ここでは、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」について整理しておきます。今後、試験に出る可能性が高いので、しっかりと整理しておいてください。

 「自筆証書遺言」は、全文・日付・氏名を自らで書き、これに押印して作成します。押印は拇印でも有効ですが、日付として「○年○月」や「○年○月吉日」と記された証書は、日付の記載を欠くものとして無効に取り扱われます。また、遺言の保管者や発見者は、相続が始まったことがわかった後、延滞なくこれを家庭裁判所に提出し、その検認を受けなければなりません。

 これに対し、「公正証書遺言」は、証人2名以上の立会いのうえ、遺言者が公証人に遺言の趣旨を口授し、これを公証人は筆記し、遺言者および証人に読み聞かせまたは閲覧させ、遺言者および証人が筆記の正確なことを承認した後に、各自これに署名し、押印して作成します。作成にあたっては、手話などによっても可能ですが、視覚障害者についての点字による作成は認められていません。また、自ら書けない場合は、公証人(※)がその事情を公正証書遺言に付記して署名に代えることができます。

※公証人とは、法務大臣によって任命され、当事者の嘱託を受けて、債務弁済、賃貸借、離婚給付、任意後見などの契約や遺言の公正証書を作成する人をいう。

親権(者)

 親権を行う者は、子の利益のために子の監護および教育をする権利を有し、義務を負い(民法第820条)、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する(同法第824条)ことになっています。また、子と利益の相反する行為については、親権者に代表権はなく、子との利益が相反する行為をなすにあたっては、親権者はその子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない(同法第826条第1項)とされています。

≪ 親権:子の利益のために子の監護および教育を行う権利、義務 ≫
  • □ 監護教育権(第820条)
  • □ 居所指定権(第821条)
  • □ 懲戒権(第822条)
  • □ 職業許可権(第823条)
  • □ 財産管理権・法定代理権(第824条・第832条)
  • □ 未婚の未成年者の子に対する親権の代行権(第833条)

 さらに、親などの保護者による虐待により児童が死傷する事件が多発するなど、児童虐待が社会問題となってきたことを背景に、親権を最長2年間停止する制度を柱とした「民法等の一部を改正する法律」が平成24年4月より施行されました(一部の規定を除く)。内容としては、これまで、親権を制限するには、期限を定めずに親から親権を奪う「親権喪失(民法第834条)」しかありませんでしたが、新たに「親権停止(同法第834条の2)」が設けられました。この創設された親権停止制度は、親族や検察官らのほか、子ども本人や未成年後見人も家庭裁判所に親権の停止を申し立てることができるとし、2年以内の期間に限って親権を行うことができないようにするものです。

成年後見人の役割

 ここでは、成年後見制度に関しての解説は省略して、成年後見人の役割に焦点を当てて整理したいと思います。そのため、成年後見制度に関しては、各自でしっかりと学習しておいてください。

 成年後見人は、家庭裁判所が職権によって選任します。成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は成年被後見人もしくはその親族その他の利害関係人の請求によって、または職権によって、成年後見人を選任します。また、成年後見人に法人を選任したり、複数人を選任することができます。成年後見人になることができない者は、(1)未成年者、(2)家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人または補助人(親権または管理権の喪失の宣告を受けた親権者、解任の審判を受けた後見人・保佐人・補助人・遺言執行者など)、(3)破産者、(4)成年被後見人に対して訴訟をし、またはした者ならびにその配偶者および直系血族、(5)行方の知れない者とされています。このあたりは、しっかりと覚えておいてください。

 次に、成年後見人の代理権・取消権の対象となる行為を列挙しておきます。(1)狭義の財産管理を目的とする法律行為(預貯金の管理・払い戻し、不動産その他の重要な財産の処分、遺産分割、相続の承認・放棄、賃貸借契約の締結・解除など)、(2)生活または療養看護(身上監護)を目的とする法律行為(介護契約・施設入所契約・医療契約の締結など)です。この(2)について、生活、療養看護および財産の管理に関する事務を行うにあたっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態および生活の状況に配慮する身上配慮義務がありますが、これは介護義務を意味するものではありません。また、医療契約を締結することは成年後見人の事務に含まれていますが、成年被後見人が医療・治療を受けることについては、成年被後見人自身の同意(承諾)が必要になってきます。そのため、成年後見人は、成年被後見人を代理して成年被後見人が医療・治療を受けることに関する同意をする権限はないとされています。ただし、医師と相談のうえ、危険性の比較的少ない、軽微な医療行為は可能であるとする場合もあります。

 このほかの代理権・取消権については、登記の申請や要介護認定の申請などの公法上の行為や、後見事務に関して生じる紛争についての訴訟行為があげられます。

成年後見制度の概要
  後見 保佐 補助
対象となる人 判断能力が欠けているのが通常の人 判断能力が著しく不十分な人 判断能力が不十分な人
鑑定の要否 原則として必要(明らかに鑑定が必要ない場合は不要) 原則として診断書等で可
取消権又は同意権のまた範囲 日常生活や身分行為に関する行為「以外」の行為の取消権 同意権、取消権
  • 1.元本を領収し、または使用すること
  • 2.借財または保証をすること
  • 3.不動産に関する権利の得喪
  • 4.訴訟行為
  • 5.贈与、和解または仲裁合意
  • 6.相続の承認、放棄、遺産の分割
  • 7.贈与の拒絶、遺贈の放棄等
  • 8.新築、改築、増築、大修繕
  • 9.短期賃借期間を超える賃借
一部の同意権、取得権
付与同意 不要 必要
代理権の範囲 財産に関するすべての法律行為 申立ての範囲内で家庭裁判所が定める「特定の法律行為」
付与同意 不要 必要
代理権の制限 本人の住居用不動産の処分 家庭裁判所の許可が必要
本人と利益相反する行為は、家庭裁判所が選任した特別代理人が本人を代理する
身分行為(結婚・離婚・認知など)は、代理権の対象とならない
裁判を受けた場合の資格の制限
  • ・医師、税理士等の資格
  • ・会社員、公務員等の地位等
 

 以上、「権利擁護と成年後見制度」の解説でした。

 次回は、「クローズアップ~社会調査の基礎」です。

いよいよ、本格的に…

 ようやく国家試験の学習をスタートしたという人も多いのではないでしょうか。

 もちろん、コツコツと、夏から進めてきた人もたくさんいると思います。しかし、春や夏から早めにスタートした人は、この時期スランプに陥り、伸び悩み、苦しんでいるかもしれません。特に、全国模試や過去問の一年分を解いてみると、70点前後で、合格点まで20点ほど足りない状態が続いている人もいるかと思います。

 この20点の不足の理由は、「うろ覚え」のためです。「暗記モノは、試験直前に一気に覚える」という思考が、現時点での勉強や暗記にブレーキをかけてしまっています。暗記モノは、試験の約1か月前までに覚えておくことが重要です。あとは、この1か月半で、繰り返し身に着けていくのです。短期的に暗記をした場合は、大抵、試験当日にその力を発揮することはできません。20点の不足に悩んでいる人は、今日から、暗記モノを始めてください。また、後にしようと避けているものも、今やっておいてください。

 そう多くの時間はありません。今できることは今やる。今日やることは今日やる。これが重要だと思います。

 暗記モノは、短期記憶を積み重ねることで、長期記憶となり、長期記憶となるとどんなに緊張する国家試験当日でも、冷静に出てくる知識となっています。逆に、「うろ覚え」は、試験当日の混乱やパニックを招きます。今から、一つひとつ着実に暗記していきましょう。

 残された時間、最後の最後まで一緒に頑張りましょう。

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