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5分で学ぶ露木先生の合格ゼミ
ー社会福祉士受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

 新年度のスタートに合わせて、露木先生の受験対策講座もリニューアルいたします。これから学習を始める方、苦手な科目を学びたい方、モチベーションを維持したい方にとって、スマホで手軽に、科目別のポイント解説をチェックすることができます。
 社会福祉士国家試験を受験される方は、ぜひ、「露木ゼミ」をご活用ください!

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

特別編(1)
第36回社会福祉士国家試験 午前<共通科目>問題の講評

 まずは皆さん、大変お疲れさまでした。試験からまだそれほど時間が経っていませんが、解答速報や問題の見直しなどをして、少し冷静に試験を振り返れるようになったのではないでしょうか?
 ただ、合格ラインはまだわかりませんので、合否に関係なく、第36回試験の振り返りをしておきましょうね。合格した人は、さらに現場実践での「知」となりますし、不合格だった人は、来年度の受験に向けて、反省したり課題を見つけ出したりと、準備を進めることができます。合格発表までの時間を有効に使ってください。
 それでは、今回は、「午前<共通科目>問題」の講評です。

今日のレッスン

Lessen.1 午前〈共通科目〉問題の総括

 2回に分けて、第36回社会福祉士国家試験の講評を行いたいと思います。今回は、午前<共通科目>問題(精神保健福祉士との共通科目の問題)についてです(解答速報はこちら)。
 午前<共通科目>の試験科目は以下の11科目で、試験時間は10時から12時15分までの135分(2時間15分)でした。

■ 人体の構造と機能及び疾病(7問)
■ 心理学理論と心理的支援(7問)
■ 社会理論と社会システム(7問)
■ 現代社会と福祉(10問)
■ 地域福祉の理論と方法(10問)
■ 福祉行財政と福祉計画(7問)
■ 社会保障(7問)
■ 障害者に対する支援と障害者自立支援制度(7問)
■ 低所得者に対する支援と生活保護制度(7問)
■ 保健医療サービス(7問)
■ 権利擁護と成年後見制度(7問)

 講評ですから、短絡的に「難しい問題でした」とか、「やさしい問題でした」とか、「よい問題でした」とか、「悪問でした」とか主観的なことはあまり書かないようにしたいと思いますが、そうは言っても…。まず、私が実際に解いてみた感想を少し述べると、問題自体は、「(過去の問題をベースとした)基本的な内容を問う問題」を中心に、「現代の社会問題や福祉に関する知識」が問われ、全体的な印象としては、「過去問題や基礎知識をベースに、関連する新たな知識や、それを活かす応用力が必要でした」というところでしょうか。
 このことから、過去の問題とその設問文から芋づる式に関連知識をきちんと学習していれば解答できる内容が中心でしたで、「昨年度(第35回)試験の難易度からやや軟化(易しい内容)」という印象です。ですから、合格ラインは、昨年度第35回試験の90点を上回る、100点前後になるかもしれませんね。詳細をもう少し記してみると、午前の共通科目、午後の専門科目共に、昨年よりやや易しくなった印象がありますが、まずは基本をきちんと押さえておくことで大きな失点にはならなかったと思います。

 皆さんは、どんな感想や印象ですか?
 過去の問題や、各種模擬問題をはじめ、「露木ゼミ」で取り上げた基礎的な内容も多く問われていたので、制度や統計、基本的事項をしっかりと押さえていた方は、かなり明確、明瞭に解けた問題が多かったのではないでしょうか。
 一方で、各科目で新たに問われた項目もありました。ただし、多少、用語や法律・通知、人名などがわからなくても、設問文をしっかり読み、その内容や時代背景、福祉の変遷や動向などをしっかり捉えることで、正答までたどり着ける問題が多くありました。そういった意味では、一つひとつの設問の誤りを指摘できる力が必要でしたので、項目に対する関連知識が必要となります。
 このように、社会福祉士・精神保健福祉士の試験では、福祉の動向や変遷などをきちんと理解しておくことが重要であることがわかります。


Lessen.2 科目別分析と講評

 人体の構造と機能及び疾病については、例年通り出題基準から幅広く出題されています。各問題をみてみると、定番ですが、問題2の「ICF生活機能分類」や問題6の「DSM-5」に関する問題が問われています。このほか、問題5では「自閉症スペクトラム症」に関する問題が出題されました。
 心理学理論と心理的支援は、広範囲な事項が満遍なく出題されていました。問題8、9、10では、心理学概論の基礎的な知識が問われました。具体的には、問題8で「知覚」、問題9「学習理論」、問題10「記憶」について問われました。このほか、心的外傷後ストレス障害(PTSD)をはじめ、心理検査心理療法(クライエント中心療法)など、基本的な内容が出題されました。
 社会理論と社会システムから続く社会学系の科目が苦手の人は多いですが、社会学系の科目は、現代社会を学問的に捉える力を試すものです。つまり、現代社会の問題と、それを科学的に整理する力(理論:人名や功績など)が必要になります。
 今回も、人名をはじめ、理論、用語などが出題されています。実際の問題を見てみると、問題16はウェルマンのコミュニティ解放論をはじめ、定番ですが、人々の生活を支えるための概念(ライフサイクルなど)が出題されました。
 現代社会と福祉は、まず、現代社会の問題をきちんと理解していることが重要となります。そして、それを社会福祉学的に理解するために必要な項目が出題されていました。内容的には、やや難しかったり、苦戦した方もいらしたかもしれません。
 具体的な内容を見ておくと、日本の貧困(問題24)やアメリカのニューディール政策(問題23)をはじめ、問題22では、福祉における政府と民間の役割について問われています。定番の内容としては、 問題28のエスピン-アンデルセンの福祉レジーム論や、ブラッドショーのニード類型に関する問題です。残念ながら、重要となる教育政策や時事的な内容の出題がありませんでしたが、現代のソーシャルワーカーは、「いかに現代社会の動向に関心を向けているか」が重要で、日頃から新聞やニュースなどを通して時事に精通しておく習慣が大切ですね。
 地域福祉の理論と方法は、幅広い分野から問題が出題されていました。そして、じっくりと読み込ませる問題が多かったですね(事例問題が多く出題されました)。また、基礎的な内容も多く出題されていますが、例えば、問題32の「社会福祉協議会」に関する問題や、問題33の「地域福祉に関連する法律、事業に規定される対象」、問題34の「市町村地域福祉計画に関する社会福祉法の規定」については得点しておきたい内容です。
 この他、社会福祉法を根拠とする問題をはじめ、地域福祉の財源に関する問題が出題されました。
 福祉行財政と福祉計画は、大別すると(1)福祉行財政、(2)福祉計画の二つに分けることができます。内容的にも、出題を予想していた地方財政に関する統計的な内容は、例年出題される「地方財政白書」からの出題でした(問題45)。こちらについては、地方の財政を理解するためにも現代の社会福祉士に必須の知識となります。基礎的な用語を押さえた上で、各項目の統計を整理する学習をきちんとしていれば解けた問題でした。
 このほか、問題43、44では、措置費制度地方公共団体の事務に関する内容が問われています。次に、福祉計画に関しては全部で3問出題されましたが、内容的には非常に基本的な内容でした。福祉計画については、社会福祉士として活躍される皆さんは、地域で策定される福祉計画をもとに、我々の地域福祉が実施されますので、一読しておきましょう。
 社会保障については、基本的な項目が出題されています、わが国の社会保障の仕組みを理解するために基礎的な知識です。社会保障とは、「働く人が支える仕組み」ですので、現代の「働く人」の状況を的確に理解する力が必要です。現代の「働く人」の実情については重要ポイントです。労働人口や人口の動向や推計については、必ず整理しておかなければなりません(問題49)。同様に、「社会保障費用統計」などの統計資料に目を通し、社会保障費用の収入と支出について理解しておくことが重要です。
 また、社会保障とは一言で「私(個人)の“困った”を社会全体で支える仕組み」といえます。その「私(個人)の“困った”」とは、「働けなくなって生活費“困った”(年金保険)」であり、「医療や介護で“困った”(医療保険/介護保険)」であり、「失業や働き、仕事中の病気や怪我で“困った(労働保険)」ということです(社会保険)。このほかに、「生活に困窮して“困った”(生活保護)」「子育ての費用で“困った(手当等)」などもありますね(公的・社会扶助)。
 このような「私(個人)の“困った”」を「社会全体」で支えることを社会保障と言います。問題51では、日本の社会保険を外観するような問題が出題され、この他、年金保険、医療保険、労働保険(労災保険含む)について出題されました。社会福祉士にとって、社会保障に関する知識は重要となりますので、わからなかった問題は必ず復習しておきましょう。
 障害者に対する支援と障害者自立支援法は、昨年同様に、基礎的な内容を問うものが多く出題され、そういった意味では、標準レベルの難易度でした(やや易しかったかもしれません)。具体的に見ていくと、障害者福祉制度の発展過程(問題57)からはじまり、障害者総合支援法に関する給付内容専門職など(事例問題を含む)が出題されています。
 出題頻度の高い障害者の実態調査(出典:生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」については出題されていませんが、障害者の生活実態を理解する上で重要なので一読しておいてください。この他、国家試験に関わらず、「虐待防止法」や「差別解消法」については、整理しておきましょう。
 低所得者に対する支援と生活保護制度は、出題基準から万遍なく出題されており、例年通りの内容、例年通りの難易度でした。定番の生活保護の原理原則や種類(8つの扶助)をはじめ、生活福祉資金の貸付生活困窮者自立支援制度(事例問題)などが出題されました。このほか、生活保護の義務と権利、生活保護法の施設などについても整理しておきましょう。
 保健医療サービスは、出題基準に沿った基本的な内容が問われました。例年出題されている「国民医療費の概況」ついても出題されています(問題71)をはじめ、医療保険制度(問題70)や診療報酬制度(問題72)については基礎的な内容です。また、近年注目される「アドバンス・ケア・プランニング(人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン)についても出題されています。
 権利擁護と成年後見制度は、(1)憲法・民法・行政法、(2)成年後見制度、(3)権利擁護といった構成で出題されました。
 まず、(1)憲法・民法・行政法では、問題77で憲法(社会権)、問題78、79で民法(法定相続/相続)に関する内容が問われています。また、成年後見制度については、3問の事例問題と、成年後見人等の選任に関する統計問題が出題されています。この他、出題が予測されていた日常生活自立支援事業についは出題がありませんでした。
 最後に、昨年同様、権利擁護に関する問題は出題されませんでしたが、権利擁護=虐待や暴力・搾取については、ソーシャルワーカー定義(グローバル定義)や社会福祉士の倫理綱領等でも、「人権」の理念を重視していますので、それを根拠とする各種の虐待防止法については、必ず整理しておきましょう。私のバランス感覚として、今年度の試験も「人権」や「権利擁護」に関する問題がそれほど多くはない印象を受けています。こちらは、近年益々注目されている項目ですので、ソーシャルワーカーにとって必須の知識となります。

「ありがとう」って大切なことばですね。

 以上、雑駁ですが、第36回社会福祉士国家試験の午前<共通科目>問題の講評でした。
 すでに、受験した方から試験の感想が寄せられていますが、皆さん、やはり不安なようです。本年度の試験は、基礎をしっかりと積み上げ、それを活用できる力を養ってきた人(やはり、過去問解説集模擬問題集などをしっかりと、繰り返し解いてきた人)は、相当の得点ができたと思います。そういった意味では、わかっていた問題をミスで間違えたり、できる問題を落としたりといった小さなミスが合否に大きく影響する可能性があります。

 一発勝負の試験ですので、当日の体調や心の動き、さまざまな環境要因や状況などは、合否に影響を与えます。皆さんいかがでしたか。ただ、何はともあれ、結果は結果。それを真摯に受け止め、これからの実践に活かしていってほしいと思います。
 冒頭でもお話ししましたが、合否に関係なく、もう二度と見たくない、開きたくない試験問題、テキストかもしれませんが(笑)、ここで復習しておくことが、必ずこれからの力になります。
 あともう一回、「特別編(2) 第36回社会福祉士国家試験・午後<専門科目>問題の講評」をお送りします。

 この数ヶ月間、国家試験勉強を優先にして、保留していたこと、抑えていた気持ち、我慢していたこと・・・を解放してくださいね。今まで止まっていた時間を前に進めてください。社会福祉士は、人の生活と人生を支える仕事ですから、そういった意味では、人間的活動(人間らしい生活)が何よりも大切です。
 あと、自分の周りにいる人を大切にすることが重要ですね。この試験終わって、合否のことばかりで・・・支えてくれた大切な方に、「ありがとう」って、まだ感謝の言葉を伝えられていない方は、今すぐに行動しましょうね。「ありがとう」って。
 社会福祉士は、ヒューマンサービスですから、相手がいなければ、支援もないし、サポートしてくれる仲間がいなければ支援なんてありえませんからね。感謝の心が大切ですね。私も常に心がけ、意識していることです。

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