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5分で学ぶ露木先生の合格ゼミ
ー社会福祉士受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

 新年度のスタートに合わせて、露木先生の受験対策講座もリニューアルいたします。これから学習を始める方、苦手な科目を学びたい方、モチベーションを維持したい方にとって、スマホで手軽に、科目別のポイント解説をチェックすることができます。
 社会福祉士国家試験を受験される方は、ぜひ、「露木ゼミ」をご活用ください!

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第33回 クローズアップ 〜保健医療サービス

 第33回「露木ゼミ」も、各科目で出題頻度が高かったり、重要となる項目をクローズアップして解説していきます。本日は、「保健医療サービス」のクローズアップ解説です。

今日のレッスン

Lessen.1 本科目のポイントの振り返り

 本科目は、例年、出題基準やテキストの内容が満遍なく出題されており、国民医療費をはじめ、医療保険制度や診療報酬などに関する基礎的な知識が問われます。

 また、医療ソーシャルワーカーの役割や機能については、連携や協働、診療報酬(介護報酬)の実例といった切り口で、事例問題などで出題されています。そのため、併せて他専門職の役割や機能、業務、連携にまつわる診療報酬や介護報酬について整理しておいてください。国民医療費の動向については、例年出題されており、例えば、診療種類別国民医療費の構成割合などはしっかりと整理しておきましょう。

 本科目の難易度はそれほど高いものではありませんが、「社会保障」と同様に、医療費や診療報酬、医療保険制度については、用語とその構造、内容などをしっかりと理解しておかないと解けない問題も多くあるので、一度「決心」して、じっくり制度と向かい合う必要があります。


Lessen.2 高額療養費制度

 日本では、健康保険は皆保険制度のため、原則、国民は何らかの健康保険を保持しております(生活保護受給者など例外あり)。この健康保険を利用して医療サービスを受けた場合、患者の負担は原則3割となっています(年齢や所得にとって違いあり)。

 しかし、患者負担が3割に抑えられたとしても、高額の医療費になった場合は、その支払いをすることが困難になる場合もあります。例えば、100万円の医療費の場合は、3割負担で30万の自己負担となってしまいます。

 そのため、家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないよう,月ごとの自己負担限度額(所得/年齢のよって設定されています)を超えた場合に,その超えた金額を支給する高額療養費制度があります。

図1 高額療養費制度の概要

 図1を見てみると、医療費が100万円かかった場合の患者負担は3割の30万円となります(残りの7割70万円は保険給付として保険者から支払われます)。さらに、高額療養費制度を利用すると、自己負担限度額は【80,100円(+医療費の100万円−267,000円)】となり、30万円(3割負担)から差し引かれるため、「212,570円」が支給され、患者が実際支払う金額は「87,430円」となります。
 なお、高額の医療費がかかることが事前にわかる場合(予約入院や予約手術など)は、保険者より限度額適用認定書を事前取得することで、医療機関の窓口では、限度額までの支払いで済む(この場合は、「87,430円」)ようになっています。

図2 高額療養費の多数該当と世帯合算

 高額療養費には、さらに患者の負担を軽減する仕組みとして多数回該当世帯合算があります。

Lessen.3 患者の権利

 患者の権利とは、患者が医療を適切に受ける権利と言い換えることができます。具体的には、インフォームド・コンセントアドバンス・ディレクティブ/アドバンス・ケア・プランニング(ACP)をはじめ、医療事故調査制度などがあります。

表2 患者の権利を守る仕組み

インフォームド・コンセント 「説明と同意」「説明に基づく医療」「病状説明」などと訳される。1997(平成9)年の医療法改正において、インフォームドコンセントについては、医療者は適切な説明を行って、医療を受ける者の理解を得るよう努力する義務が明記された。
①診断の結果に基づいた患者の現在の病状を患者に正しく伝える
②治療に必要な検査の目的と内容を患者にわかる言葉で説明
③治療の危険性やリスクを説明 ④成功の確率を説明
⑤その治療処置以外の方法があれば説明 ⑥治療法を拒否した場合にどうなるかを伝える
セカンド・オピニオン 主治医以外の医師・専門家の意見を得ること
①主治医の診断や方針の確認
②専門医に聞くことによる治療の妥当性の確認
③主治医の示した方法以外の選択肢を知ることで、患者の権利を守る目的がある
→主治医以外の専門家の意見を得ることで,患者が納得して治療を受ける仕組み。
アドバンス・ディレクティグ 事前指示のことで、予め、将来判断力を失ったとき、自分に対する医療行為に関する意向を事前に意思表示しておくこと、または指示書をいう。
❶医療行為に関する医療者側への指示.→リビング・ウイル(尊厳死)
(1)事前検討や意思決定の困難さ
(2)意思決定の困難な人々への支援
(3)自由意志に基づく意思決定 死の自己決定権(生命倫理)
❷自分自身で判断できなくなった場合の代理決定者の委任。
アドバンス・ケア・プランニング 終末期などの医療・ケアについて、前もって家族や医療・ケアチームと十分話し合い、方針を共有する過程。それを経ることで、意思決定能力が低下しても患者の考えに沿った医療・ケアを受けることが可能になる。
〈人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン〉
①本人の意思は変化しやすいため、話し合いを繰り返すことが重要
②本人の意思を推定しうる者となる家族等の信頼できる者も含めて事前に繰り返し行う
③病院だけでなく、介護施設や在宅現場も想定したガイドラインであること
医療事故調査制度 医療事故が発生した医療機関において院内調査を行い、その調査報告を民間の第三者機関(医療事故調査・支援センター)が収集・分析することで再発防止につなげるための医療事故に係る調査の仕組み等を、医療法に位置づけ、医療の安全を確保する制度

 なお、リビング・ウイル(尊厳死)とは、延命治療を施さずに自然な最期を迎えることで、人生の終末期における医療において本人の希望や意思を受け入れた上で、過度な延命治療は行わず、自然に死に向かうことです。よって、安楽死とは全く違うものです。安楽死とは、人為的、能動的に寿命を短くさせることで、日本では認められていません

理解が深まる学習方法

 医療保険制度や社会保障制度については、自身が必要になった時にはじめてよく調べる制度だと思います。社会福祉士は、支援の際、この社会保障や社会保険の制度を有効に活用していきます。よって、社会保障や社会保険の制度についての学習は必修項目となります。では、どのように学習していくのかというと、具体的な生活の困難さや困りごとに着目して制度を整理してみることです。

 例えば、「もしも、病気になってしまったら」・・・ 「医療費はどうなるのだろうか」、そして「病気によって休職している期間の生活費(給料)はどうなるのだろうか」と、生活の具体的な困難さを想像してみることです。そして、このような利用者が皆さん社会福祉士の前に相談に来た時、どのような制度を活用し支援していくのでしょうか?

 具体的には、病気の治療費100万円をどうするかということ、そして治療のために休職しなければいけない時の給料(生活費や医療費)をどうするかということです。

 そうなると、本日学習した「高額療養費制度」の利用が考えられますし、また、治療のための休職については、医療保険の医療外の給付で「傷病手当金」を利用していきます。このように、「もしも、病気になってしまったら」と想像することで、医療保険制度や高額療養費制度、傷病手当金などの知識が必要であることを学習することができます。

 このように具体的な困りごと、生活の困難さを想像して整理することが重要で、実例を想像しながら整理すると理解も深まります。

 それでは、年末に向けて一緒に頑張りましょう。季節が冬へと移行する時期ですので、風邪などに気をつけましょうね。風邪予防の基本は、手洗い、うがい、そして栄養と休息です。

 次回は、「クローズアップ~権利擁護と成年後見制度」です。

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