5分で学ぶ露木先生の合格ゼミ
ー社会福祉士受験対策講座

新年度のスタートに合わせて、露木先生の受験対策講座もリニューアルいたします。これから学習を始める方、苦手な科目を学びたい方、モチベーションを維持したい方にとって、スマホで手軽に、科目別のポイント解説をチェックすることができます。
社会福祉士国家試験を受験される方は、ぜひ、「露木ゼミ」をご活用ください!
- プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)
-
社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。
第6回「社会理論と社会システム」の重要ポイント
第6回「露木ゼミ」も、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが示す出題基準に即した内容を中心に、「社会理論と社会システム」の具体的な内容、ポイントについて解説していきたいと思います。ゴールデンウィークも終わり、夏までまとまったお休みがありませんが、「食事(栄養)」「睡眠(休息)」「適度な運度」を意識して、しっかりと健康を保っていきましょう。
それでは、「社会理論と社会システム」のポイント解説を始めます。
Lessen.1 出題基準(出題分野)と過去3か年の出題傾向の分析
社会理論と社会システムについては、社会学に相当する科目で、そのなかでも、社会福祉士に必要となる「現代の社会の理解」「生活の理解」「人と社会の関係」「社会問題の理解」について問われています。よって、環境を理解する科目と言え、全150問中7問出題されています。
「受験生の声」として、本科目は、社会学系の科目ですので、「現代社会と福祉」「地域福祉の理論と方法」「社会保障」と並び、苦手意識をもっている受験生が多い科目の一つです。
出題傾向 【 】内は問題番号
第35回試験 | 第34回試験 | 第33回試験 | |
現代社会の理解 | 【15】【16】 | 【15】【16】【17】 | 【15】【16】【17】 |
生活の理解 | 【17】【18】 | 【18】 | 【18】 |
人と社会の関係 | 【19】【20】 | 【19】【20】 | 【19】【20】 |
社会問題の理解 | 【21】 | 【21】 | 【21】 |
出題の傾向としては、出題基準からバランスよく、広範囲な事項が満遍なく出題され、内容としては具体的な社会学理論について出題されています。具体的には、現代社会の諸問題やそれに関連する法令、統計資料、社会学の基本的な用語を問うものです。また、例年出題される項目としては、社会的行為や社会的役割、人々の生活(家族・世帯を含む)です。学習法としては、まずは過去問題をベースに、分からない用語などから整理するといいでしょう。
Lessen.2 社会変動
社会学において社会変動とは、社会構造に生じる一定の変化を意味します。そして、ミクロな人間関係からマクロな体制や制度まで、社会の諸部分の関係のパターンがある程度一定に保たれた場合、これを社会構造と呼びます。
国家試験では、前近代社会から近代社会への移行、すなわち社会変動について出題されています。
前近代社会から近代社会への社会変動
人 名 | 前近代 → 近代 |
スペンサー | 軍事型社会 → 産業型社会 |
テンニース | ゲマインシャフト → ゲゼルシャフト |
デュルケム | 機械的連帯 → 有機的連帯 |
コント | (人間精神)神学的 → 形而上学的 → 実証的 (社会組織)軍事型 → 法律型 → 産業型 |
ルーマン | 環節的分化 → 階層的分化 → 機能的分化 |
なお、テンニースの「ゲマインシャフト」は、感情的融合を特徴とする共同体的社会のことで、「ゲゼルシャフト」は、目的や利害関係による結合を特徴とする利益社会(企業や大都市)のことです。
最後に、社会学では、社会変動についても研究があります。国家試験でも出題されています。社会変動とは、社会階層間の人々の移動を意味します。その前提として、あらゆる社会では、富や権力、威信、知識のように社会的資源が不均衡に配分され、格差が生じています。このような社会では、財産や所得、職業に関してほぼ類似した社会的地位を占める人々の集合体が、層のように段階的な区分を構成しており、これを社会階層と言います。また、社会階層が複数集まった状態(特定の社会における階層構造の全体像)を社会成層と言います。
Lessen.3 生活(家族・世帯を含む)
ここでは、生活の理解として、①家族と世帯、②生活の捉え方の2つに大別して解説します。
①家族と世帯
まず、家族と世帯についてですが、社会学では、家族とは、夫婦関係を中心として、親子、兄弟姉妹、近親者によって構成される、第一次的な福祉追求の集団と定義されます。ただし、夫婦のみ、母子や父子、血縁関係を欠く養親子も家族であり、進学や、単身赴任等の理由で別居している構成員も含まれます。
一方、世帯とは、住居と家計を共にする人々の集まりと定義されており、国勢調査などで用いられる行政上の概念で、同居して寝食を共にする非親族員(里親や使用人)も世帯に含まれます。なお、国勢調査では、世帯を一般世帯と施設等の世帯に大きく分類しています。
家族と世帯
家 族 |
定位家族:自分が生まれ育った家族 生殖家族:自分が結婚して気づいた家族 直系家族制:跡継となる子の家族とだけ同居し、家族が何世代も直系的に存続することを原則する 複合化属性:複数のこの家族と同居する |
世 帯 (国勢調査) |
一般世帯:①核家族世帯、②核家族以外の世帯、③単独世帯、④非親族を含む世帯 核家族世帯:❶夫婦のみ、❷夫婦と子ども、❸ひとり親とその子ども |
ここでは、国民生活基礎調査における世帯に関する統計を整理しておきましょう。少し解説しておくと、全世帯の約半数は65歳以上の者のいる世帯で、18歳未満の児童のいる世帯は2割強となっています。また、世帯数の総数が増加する一方で、世帯規模(一世帯の構成人数)は減少傾向にあります(令和2年:2.21)。
②生活の捉え方
ここでは、生活の周期に関する用語について整理しておきましょう。
生活の周期人関する用語
ライフサイクル | 人間の出産から死に至るまでの時間的経過(プロセス)に着目し、生殖家族の形成から、その配偶者の死までの家族発達のパターンをライフサイクル的な規則性として捉える考え方で、標準的な段階を想定している。生活周期や人生周期とも呼ばれる。 ライフステージとは、ライフサイクルの各段階を意味する概念。 |
家族周期 | ライフサイクルを応用した家族のライフサイクルのこと。 |
ライフコース | 個々人がたどる多様な人生のあり方であり、その発展の過程を表す考えである。 |
ライフイベント | 人生において経験する出来事やイベントのこと。 |
なお、生活様式は、社会変動やその時代の階層構造を常に反映すると言われています。また、ある時代や生活空間に内在する生活様式の体系が分化であり、個々人の生活様式に対する選択性といった視点が強調される概念がライフスタイルといえます。
以上、社会理論と社会システムのポイント解説です。次回は、「現代社会と福祉」のポイント解説です。
- ■お知らせ■
-
本講座とは直接関係性はありませんが、私のメールマガジン【社会福祉士をめざす「露木先生の合格受験対策講座」】があります。こちらの講座では、勉強方法やマル秘話、独学や勉強時間がない方を対象に開講しています。また、4月からは第36回社会福祉士国家試験に向けた講座がスタートしました。気になる方は、チェックしてみてください。
- ※上記メルマガ【社会福祉士をめざす「露木先生の合格受験対策講座」】は、中央法規出版及び本講座「けあサポ」との関係はありません。そのため、本メルマガの問い合わせに関しては、中央法規出版では対応しておりません。
受験対策コンテンツによりアクセスしやすい! けあサポアプリ版
けあサポ ― 介護・福祉の応援アプリ ―
- ※ 上記リンクから閲覧端末のOSを自動的に判別し、App StoreもしくはGoogle playへと移動し、ダウンロードが可能です。
中央法規メルマガ会員 募集中!
「社会福祉士」業務に役立つ新刊情報やオンラインイベント情報等を、いち早くお届けします! この機会にぜひお申し込みください。