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精神保健福祉士におすすめの本・映画

精神保健福祉士国家試験の受験を終えた方に向けて、これから仕事で役立つ本など、毎回テーマを決めて紹介していきます。


第3回 【養成校教員が選ぶ!】精神保健福祉士に読んでほしい本①

第3回と第4回は、養成校で精神保健福祉士を目指す学生を教えている教員がおすすめする本や映画をご紹介します。これから精神保健福祉士として現場に出ていこうとされている方にぴったりの作品を厳選していただきました。

★推薦者:
 大塚淳子先生(帝京平成大学人文社会学部人間文化学科 学科長)

『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』

森川さんは、診療所に勤めながら幾つものNPO法人を拠点にホームレスやさまざまな生活困難者の支援を国内外で行っている精神科医です。近年注目されているオープンダイアローグの第一人者でもあります。この本には、自殺希少地域の島を訪れたときの発見と思いがとても柔らかく優しく綴られていて、一気に読めてしまいます。
この本を読みながらこの島の人びとの緩やかなつながりを想い、また自分の日々の人とのつながり方を思い、「生きる」ということの難しさや、私たちは人と人の縁の中で生き生かされていることを、ゆっくりと考える時間を持てると思います。ソーシャルワーカーとして人とのつながり方、かかわり方を静かに考えてみる機会を与えてくれる一冊です。

『精神医療のゆらぎとひらめき』

ある学会でお見かけした横田さんはとても優しい眼差しの方でした。沖縄県で患者さんとかかわる横田さんが『統合失調症のひろば』という雑誌に投稿された内容を書籍化したもので、問いかけの多い本です。
医師は病気を治すのではなく、患者の自己治癒力を信じ、回復のお手伝いをするとの立場から、著者はどこまでも「人として対等なかかわり」に徹します。その姿勢は、時に鋭く私たちに問いかけます。精神科医療の基本である対話への信頼の喪失を指摘し、マニュアル化された言葉ではなく、自分の心で感じ自分の頭で考えた基本的態度が必要と説きます。統合失調症をきわめて「人間的なやまい」とし、「配慮の欠けた『支援』や『指導』は時には「正しさの暴力」になりかねない」と、治療者や支援者に警鐘を鳴らします。現場に出て、慣れてきたと思ったときに手にしてほしい一冊です。

『精神障害とともに』

南日本新聞社に73回にわたり連載された「精神障害とともに」が2017年度日本医学ジャーナリスト協会賞大賞(新聞・雑誌部門)を受賞し書籍化されたものです。病気のこと、入院体験、精神科医療の歴史や現状、働くこと、先進的な取り組みをしている他国のこと、地域社会での生活、家族会や当事者活動のこと、など多岐にわたる当事者の方々の思いが写真も織り交ぜながら書かれています。巻末にはQ&A、特集記事やアンケートも収載されていて、精神障害のある方の状況や思いを学ぶ者にとって道案内となる一冊です。
ラグーナ出版は、2008年(平成20年)に「精神障がい者の回復には、地域の中に働く場が必要」との思いから、精神科医、精神保健福祉士らにより設立されています。そのこともお勧めのポイントです。

次回(最終回)は、3月25日公開予定。たくさんの精神保健福祉士を現場に送り出してきた養成校教員がおすすめする本、映画が登場します。