張先生の受験対策講座

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。
- プロフィール張 百々代(はり ももよ)
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精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。
第30回 「現代社会と福祉」
皆さん、こんにちは。試験が近づいてきましたね。だんだん緊張が高まってくる頃かと思います。試験勉強で大切なことは、曖昧な知識をたくさん詰め込むことではなく、確実な知識を積み重ねていくことです。全科目の中で自分の弱点を知り、苦手な科目や苦手な分野をしっかりと把握して、焦らず丁寧に学習を進めていきましょう。
今回は、「現代社会と福祉」を取り上げます。この科目は、福祉の発展の歴史や福祉政策を中心に、理論的な内容が多く、深い理解が求められますので、じっくり取り組んでいくことをおすすめします。今回はイギリスの貧困対策と貧困の概念を解説していきます。
では最初に前回の課題の解説をしておきましょう。
- 第24回精神保健福祉士国家試験「社会理論と社会システム」
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問題19 社会的行為に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 パーソンズ(Parsons, T.)は、相互行為における無意識的、習慣的な行為に着目し、そうした行為において利用される個人の文化的な蓄積を「文化資本」と呼んだ。
- 2 ハーバーマス(Habermas, J.)は、個人に外在して個人に強制力を持つ、信念や慣行などの行為・思考の様式、集団で生じる熱狂などの社会的潮流を「社会的事実」と呼び、社会学の固有の領域を定式化した。
- 3 ブルデュー(Bourdieu, P.)は、相互行為が相手の行為や期待に依存し合って成立していることを「ダブル・コンティンジェンシー」と呼んだ。
- 4 ヴェーバー(Weber, M.)は、社会的行為を四つに分類し、特定の目的を実現するための手段になっている行為を「目的合理的行為」と呼んだ。
- 5 デュルケム(Durkheim, E.)は、言語を媒介とした自己と他者の間で相互了解に基づく合意形成を目指す行為を「コミュニケーション的行為」と呼んだ。
- 正答4
- 1 × パーソンズは、共通価値に基づく社会秩序の維持という「主意主義的行為理論」や、社会をシステムとして捉え、構造と機能という概念で分析する「社会システム論」を提唱しました。「文化資本」の概念を提示したのは、ブルデューです。
- 2 × ハーバーマスは、言語を媒介として自己と他者の相互了解や合意形成を目的として行われる「コミュニケーション的行為」を提唱しました。「社会的事実」を提唱したのは、デュルケムです。
- 3 × ブルデューは、無意識に習慣として身についた行動様等を「文化資本」という概念で提示しました。ダブル・コンティンジェンシーとは自分と相手の行為の選択がお互いに依存し影響を受け合っている状態のことで、囚人のジレンマ等の「合理的選択理論」のベースになる考え方です。
- 4 〇 ヴェーバーは、「目的合理的行為」のほか、固有の絶対的価値に基づいて行う「価値合理的行為」、感情により無意識に行われる「感情的行為」、無意識に習慣的に反応する「伝統的行為」に分類しました。
- 5 × デュルケムは、個人に対して、外から拘束を加える力をもつ法や道徳、宗教、信念、慣行などの一切の行為様式を「社会的事実」という概念から捉え、社会学の研究対象としました。「コミュニケーション的行為」を提唱したのは、ハーバーマスです。
解答解説
「社会理論と社会システム」は、社会についての広範囲の分野が対象になりますので、各分野を丁寧に学習しておきましょう。
では「現代社会と福祉」に入りましょう。今回は、イギリスの救貧対策の展開と貧困の概念について取り上げていきます。
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