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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

特集⑤合格者に聞く!私が受かった勉強法 社会 精神 介護

第22回 「精神保健の課題と支援」

メンタルヘルスアクションプラン

 2013年の第 66 回 WHO 総会で、メンタルヘルスアクションプラン2013-2020が可決されました。これは、「メンタルヘルスなしに健康なし」を原則に、精神障害者の「精神的に満たされた状態」を促進するために立てられたプランです。

 全体的な目標は、精神障害の予防、ケアの提供、リカバリーの促進と人権の促進、精神障害を有する人々の死亡率・罹患率・障害を低減することです。

 アクションプランの具体的目的は、①メンタルヘルスのための効果的なリーダーシップとガバナンスの強化、②地域ベースの包括的で統合され反応性のあるメンタルヘルスサービスと社会的ケアサービスの提供、③メンタルヘルスにおけるプロモーションと予防のための戦略の実施、④メンタルヘルスのための情報システム、科学的根拠と研究の強化となっています。

 これらをふまえて、2015 年 9 月の国連総会で採択された持続可能な開発目標(SDGs)では、メンタルヘルスがターゲットとして設定されています。

 その後、メンタルヘルスアクションプラン2013–2020が更新され、2030年まで延長した計画が発表されました。これには新たな指標や実施方法が盛り込まれていますが、当初の4つの主要な目的は変更されていません。

メンタルヘルスアトラスプロジェクト

 メンタルヘルスアトラスプロジェクトは、メンタルヘルスアクションプランを達成するために世界各国から情報を収集し公表する取り組みのことです。メンタルヘルスに関する政策や法律、人的資源やサービスの利用状況等のデータ収集システム等について171か国のデータを収集・評価し、その内容を3年ごとに公表しています。

WMHS

 WMHS(World Mental Health Survey:世界精神保健調査)は、WHOとハーバード大学医学部が中心となって行っている精神疾患に関する疫学調査です。

 WMHSは、WMH-CIDI(Composite International Diagnostic Interview)と呼ばれる最新の精神科構造化面接法を用いて、世界各国における精神疾患の罹患率を調査しています。わが国では、WMHJ(World Mental Health Japan Survey)として、「こころの健康についての疫学調査」が実施されており、精神障害者の罹患率や受診率、医療機関に相談していない人の割合などについて調査しています。

メンタルヘルスギャップアクションプログラム

 メンタルヘルスギャップアクションプログラム(mhGAP)とは、WHOが2008 年に導入した格差是正プログラムのことです。精神衛生に関して、地域的、経済的、人種的格差がある現状に対して、これらの格差を是正することを目標として取り組んでいるプログラムで、特に中低所得国における精神障害者施策の拡充を主たる目的にしています。

 中低所得国では、精神・神経・物質使用障害に苦しむ人々のケアが欠如しており、これらの国々で使用できる資源は十分ではなく、大部分の国々では保健予算の2% 以下しか精神保健に配分しておらず、多くの中低所得国において75% 以上の治療格差があるとしています。

mhGAP介入ガイド

 mhGAP介入ガイドの正式名称は、「精神保健専門家のいない保健医療の場における精神・神経・物質使用障害のためのmhGAP介入ガイド」で、メンタルヘルスギャップアクションプログラムを実践するための具体的なガイドラインとなっています。

 プライマリケアや一般病院など、精神保健を専門としない保健医療の現場でも質の高いメンタルヘルスケアを提供できるようにするために開発されたものです。精神科医だけではなく、一般のドクター、看護師、保健師、ソーシャルワーカー、医療政策に携わる行政官といったメンタルヘルスにかかわる人々や、この分野に関心のあるすべての人々に具体的、実践的にその対応法を示しています。

メンタルヘルスアクションプラン 「メンタルヘルスなしに健康なし」を原則に、精神障害者の「精神的に満たされた状態」を促進するためのプラン
メンタルヘルスアトラスプロジェクト メンタルヘルスアクションプランを達成するために情報を収集し公表する取り組み
メンタルヘルスギャップアクションプログラム mhGAP
先進国と中低所得国の精神衛生施策の格差是正プログラム
mhGAP介入ガイド mhGAP実践のためのガイドライン。精神保健を専門としない保健医療の現場でも質の高いメンタルヘルスケアを提供できるようにするため開発されたもの

アルコールの有害な使用を提言するための世界戦略

 アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略は、2010年の第63回WHO総会において、アルコールの有害な使用を低減することを目的に採択されたものです。

 WHO加盟国に、広告規制や、安売りや飲み放題の禁止や制限、課税や最低価格制による酒の価格引き上げなどを含む、幅広い対策を求めています。

 WHO加盟国への法的拘束力は持ちませんが、各国は地域性や宗教、文化などに合わせて対策を選び積極的に取り組むこと、アルコール有害使用低減施策の実行とその進展について、定期的に報告することが求められています。

日本での取り組み

 わが国では、2000~ 2012年度までの健康日本21(第1次)で、アルコール対策として、①多量飲酒者(1日平均純アルコール60g超)の減少、②未成年者の飲酒をなくす、③節度ある適度な飲酒(1日平均純アルコール20g)の知識の普及が掲げられ対策が進められてきました。

 2013~2022年までの健康日本21(第2次)では、①2022年までに純アルコール換算で男性40g/日以上、女性20g/日以上を飲酒している者の割合を減らす、②未成年者の飲酒と妊娠中の飲酒をゼロにするという目標が掲げられました。

 2013年にはアルコール健康障害対策基本法が制定され、政府にアルコール健康障害対策推進基本計画の策定が義務付けられました。この法律に基づき、2021年3月には、2021~2025年度までの5年間を対象に、アルコール健康障害対策推進基本計画(第2期)が作成されました。

 重点目標として、①生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合を男性 13.0%、女性 6.4%まで減少させること、②20 歳未満の飲酒をなくすこと、③妊娠中の飲酒をなくすことが掲げられています

アルコールの有害な使用を提言するための世界戦略 アルコールの有害な使用を低減することを目的に採択。加盟国に「アルコール有害使用低減施策」の実行を求めている
アルコール健康障害対策基本法 国にアルコール健康障害対策推進基本計画の策定を義務付け
アルコール健康障害対策推進基本計画(第2期) 2021年度からの5年計画。重点目標を掲げている

 いがでしたか。この科目は範囲が広いので、それぞれの出題範囲をバランスよく学習しておきましょう。次回は「精神保健福祉相談援助の基盤」を取り上げていきます。

 では、第24回試験と第23回試験の「精神保健の課題と支援」から、今回の課題をあげておきますので、チャレンジしてみてください。

第24回精神保健福祉士国家試験「精神保健の課題と支援」

問題20 WHO(世界保健機関)の取組に関する次の記述のうち、適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 国際疾病分類の改訂版では、DSM-5を採用している。
  • 2 オタワ憲章は、障害を3 次元で分類している。
  • 3 メンタルヘルスアトラスプロジェクトは、構造化面接法を用いて世界各国における精神疾患の罹患率(りかんりつ)を調査した研究事業である。
  • 4 「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」は、世界の酒類の製造又は販売を行う事業者に向けた警告のための広告戦略である。
  • 5 メンタルヘルスギャップアクションプログラム(mhGAP)は、特に中低所得国における精神・神経・物質使用の障害へのケアを拡充することを目的にしている。
第23回精神保健福祉士国家試験「精神保健の課題と支援」

問題20 WHOによるメンタルヘルスアクションプラン2013-2020に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 国際疾病分類(ICD)の改訂を目標とした。
  • 2 アルマ・アタ宣言とも呼ばれている。
  • 3 「メンタルヘルスなしに健康なし」を原則としている。
  • 4 精神疾患を有する者の非自発的な入院をなくすことが目標に定められた。
  • 5 中低所得国における精神保健サービスの拡充を主たる目的としている。

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