張先生の受験対策講座

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。
- プロフィール張 百々代(はり ももよ)
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精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。
第14回 「地域福祉の理論と方法」
2022年7月5日
皆さんこんにちは。今回は「地域福祉の理論と方法」を取り上げていきます。この科目は、地域における様々な分野の実践について出題されますので、高齢・障害・児童等の地域実践について、どの分野から出題されても対応できるようにしておきましょう。
ではまず前回の課題の解説をします。
- 第24回精神保健福祉士国家試験「現代社会と福祉」
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問題24 福祉政策の学説に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 ローズ(Rose,R.)は、経済成長、高齢化、官僚制が各国の福祉国家化を促進する要因であるという収斂(しゅうれん)理論を提示した。
- 2 エスピン‒アンデルセン(Esping-Andersen,G.)は、自由主義・保守主義・社会民主主義という3類型からなる福祉レジーム論を提示した。
- 3 マーシャル(Marshall,T.)は、社会における福祉の総量(TWS)は家庭(H)、市場(M)、国家(S)が担う福祉の合計であるという福祉ミックス論を提示した。
- 4 ウィレンスキー(Wilensky,H.)は、福祉の給付を「社会福祉」「企業福祉」「財政福祉」に区別した福祉の社会的分業論を提示した。
- 5 ティトマス(Titmuss,R.)は、市民権が18世紀に市民的権利(公民権)、19世紀に政治的権利(参政権)、20 世紀に社会的権利(社会権)という形で確立されてきたという市民権理論を提示した。
- 正答2
- 1 × ローズは、福祉ミックス論を提唱しました。収斂理論を提示したのは、ウィレンスキーです。福祉国家の形成に大きな影響を与えたのは、イデオロギーや政治体制ではなく、経済水準の発展であるというのが収斂理論です。経済水準の発展に伴い少子化と高齢化が進展し福祉ニーズが増大するため、サービスが制度化されて福祉国家が形成されていくとしました。
- 2 〇 エスピン‒アンデルセンは、「労働力の脱商品化」と「脱社会的階層化」の2つの基準を用いて福祉国家を分類しました。選別主義に基づき市場原理・自助努力を重視する「自由主義レジーム」、労働の成果に応じてニーズを充足する「保守主義レジーム」、普遍主義に基づき高福祉、高負担の福祉を実現する「社会民主主義レジーム」の3種類に分類しました。
- 3 × マーシャルは、福祉国家を「市民権」の概念によって分析しました。18世紀に市民的権利(公民権)、19世紀に政治的権利(参政権)、20世紀に社会的権利(社会権)を確立したとし、社会的権利(社会権)が獲得された段階こそが福祉国家であると定義しました。
- 4 × ウィレンスキーは、収斂理論を提唱しました。福祉の給付を、制度化された公的な施策である「社会福祉」、企業が独自で提供する「企業福祉」、税金の控除等による財政上の措置としての「財政福祉」に区別して、福祉の社会的分業論を提示したのはティトマスです。
- 5 × ティトマスは、社会的分業論を提示しました。市民権が18 世紀に市民的権利(公民権)、19 世紀に政治的権利(参政権)、20 世紀に社会的権利(社会権)として確立されてきたという市民権理論(シティズンシップ)を提示したのは、マーシャルです。
解答解説
いかがでしたか。「現代社会と福祉」の科目では、福祉の発展の歴史や現代社会の課題などについてもよく学習しておきましょう。
では今回の「地域福祉の理論と方法」について、出題基準に沿って頻出分野を中心に対策を立てていきます。
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