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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

特集③ 夏の勉強法 社会 精神 介護

第11回 「心理学理論と心理的支援」

エリクソンの心理社会的発達理論

 エリクソンは、心理社会的発達理論を提唱しました。心理社会的発達理論は、人の一生を8段階に分けて、それぞれの段階に心理的課題があるとし、その課題を達成することによって獲得するもの、様々な障害のためにその課題を達成できないときに抱く危機を対置した発達段階の分類です。

「信頼」対「不信」

 乳児期(0~1歳)は、母親や養育者との関係の中で基本的信頼感を獲得していきます。

 例えば、空腹時に泣けばミルクがもらえるという体験や、不安なときにはそばにいてくれるなどの体験を積み重ねていくことで、自分を取り巻く社会全体を「信頼に値するものである」と受け止めることができるようになります。

 逆に、いくら泣いても相手にしてもらえない、不安なときに誰もそばにいてくれない、両親の不和や虐待を受けるなどの状況に置かれた場合は、自分を取り巻く社会全体に対して基本的不信感を持つことになります。

「自律性」対「恥・疑惑」

 幼児期前期(1~3歳)は、自分の身体的行動をコントロールすることができるようになります。言語の獲得に伴い、今までやってもらっていたことが自分でできるようになる時期で、食事を自分で食べられるようになる、衣類を自分で脱ぎ着できるようになる、排泄を自分でできるようになる段階です。これを自律性の獲得といいます。

 この時期には、自分で何でもやりたいという挑戦する気持ちと意欲が生まれます。その気持ちを大切にして、失敗しても受け入れ、励ましていくと、その意欲がさらに増します。一方、失敗したときその努力を認められずに、叱責され、否定されると、自分自身に対する羞恥心不安自信のなさが生まれます。

「積極性」(自発性)対「罪悪感」

 乳幼児後期(3~6歳)には、いろいろなことに興味を持ち、自分で考えて行動するようになります。興味や関心によって物事に取り組んでいくことで、積極性自発性が獲得されていきます。また、様々な行動を適切に親に注意されると、やってはいけないことが理解できるようになります。この時期は、社会性や社会生活の基本を身につけていきます。

 自分で考えて行動したいときに、自由な行動を禁止されたり、躾と称して過剰な管理的環境に置かれたりすると、積極性や自発性を獲得することができなくなります。また、せっかく自発的にやろうとしたことも、周囲の大人が完璧主義の価値観で否定し叱責すると、自分に対する罪悪感が生まれ、外的な環境に適応できず、積極的な行動ができなくなるという状況を生み出します。

「勤勉性」対「劣等感」

 児童期(7~11歳)には、主な生活の場が家庭から小学校という集団生活に移行し、友達や集団との出会いが生まれます。この新しい出会いの中で、自分の得意なこと、苦手なこと、できること、できないことなどに気づきつつ、様々なことに挑戦して自らの力を試していく時期です。

 様々な挑戦の中で、成功や失敗を経験していきます。成功しても失敗しても、経験そのものを認めてもらい励まされると、自分に対する自信が培われ、勤勉性を身につけていくことができます。

 逆に、様々な挑戦の経験自体が少ない、経験してもその頑張りが認められないという場合は、自信をなくしてしまい、自分は何をやってもだめな人間であるという劣等感が生まれてしまいます。

「同一性」対「同一性拡散」

 青年期には、自分とは何か、自分は何をしたいのかというように、自分自身を探し自己を確立します。社会の中での自分の役割や位置付け、他者から自分がどう見られているのかなど、自分自身を総合的に形成して、自我の同一性(アイデンティティ)を獲得していく時期です。

 また、身体的な発達が顕著にみられ、こころとからだのバランスが崩れ、精神的にも不安定になる時期でもあります。仲間との出会いや多様な価値観に触れていくことで、自分は自分でよいのだという、自分自身のアイデンティティを確立していきます。

 ただ、このような作業がうまくいかないと、自我の同一性の拡散を招きます。自分とは何か、自分は何をしたいのかという問いに、自分なりの答えを見出すことができないために、精神的に不安定になり、自分自身が何者なのかわからなくなってしまうのです。自分とは何かという自分探しを続けていく状態をモラトリアムと名付けました。

「親密性」対「孤独」

 成人期前半は、就職や大学進学などにより、さらに生活の範囲が広がる時期で、信頼できる人とのつながりが生まれていきます。信頼できる人、自分にとって大切な人との親密な関係を形成していくことによって相互的なコミュニケーションを形成し、愛、幸福などを実感していきます。この段階は、すでに自我を統合し自我の同一性を獲得していると、スムーズに親密な関係を形成することが可能になります。

 一方、自我の同一性が拡散されている状態にあると、他者とのかかわりの中で、自分自身を失うことへの恐れや不安によって、他者への排斥感や支配欲、猜疑心が生まれ、他者との親密な関係を形成できずに、孤独に陥るという危機が生じます。

「生殖性」対「停滞」

 成人期後半は、育児や自分の仕事に力を注ぎ、社会の中で中核的な立場で貢献し、次世代に知識や技術を継承する役割を果たす時期です。次世代に継承できるような様々な価値あるものを生み出し、自分の経験を後輩に伝え、積極的に関与し世話をすることに役割を見出していきます。

 しかし、次世代とのつながりがない場合や次世代を理解しようとしない場合、相手の立場に立つことができず、独善的に自分の価値観を押し付けるという自己陶酔に陥って、精神的に停滞してしまい、自分の存在意味がわからなくなってしまうという危機に陥ります。

「統合」対「絶望」

 老年期は、子育ても終わり仕事の責任も終了し、自分の人生を振り返って、見つめ直す時期です。この時期に自分の人生はよい人生であったとすべてを受け入れ、自分の人生を肯定的に受け止めることができると人生を統合することができます。

 しかし、自分の人生を納得して受け入れられない場合は、絶望感を抱いてしまい、老いや死を十分受け入れられないという危機をもたらし、精神疾患に罹患することもあります。

 もし自分の人生が後悔に満ちたものであったとしても、それらを含めて、残された人生を統合して生きていこうと思うことができれば、絶望という危機から脱出できます。そのためには、自分の人生に肯定的に耳を傾けてくれる人や場所があることが有効に機能します。

エリクソンの心理社会的発達理論

乳児期
0~1歳頃
「信頼」対「不信」 自分の欲求が養育者によってどれだけ満たされるかによって信頼関係の基礎を作る
幼児期前期
1~3歳頃
「自律性」対「恥・疑惑」 自分の意思によって行動し自律心を高める
幼児期後期
3~6歳頃
「積極性」対「罪悪感」 目的を持って行動し自主性を学ぶ
児童期
7~11歳頃
「勤勉性」対「劣等感」 学ぶことにより好奇心を高める
青年期
12~20歳頃
「同一性」対「同一性拡散」 自分自身のアイデンティティを確立する 確立できないとモラトリアムになる
成人期前半
20~30歳頃
「親密性」対「孤独」 自分以外の人との親密さを体験する
成人期後半
30~65歳頃
「生殖性」対「停滞」 子育てや仕事に充実感を体験し次世代に継承する
老年期
65歳頃~
「統合」対「絶望」 自己の人生を肯定的に捉え満足する

 いかがでしたか。この科目は範囲が広く、最初は用語に慣れるのが大変だと思います。最初からすべて覚えようとするのではなく、まず内容を理解することを大切にして学習していってください。次回は「社会理論と社会システム」を取り上げます。

 では今回の課題を、第24回精神保健福祉士国家試験問題から挙げておきますので、チャレンジしてみてください。

第24回精神保健福祉士国家試験「心理学理論と心理的支援」

問題10 ピアジェ(Piaget, J.)の発達理論に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 感覚運動期には、「ごっこ遊び」のようなシンボル機能が生じる。
  • 2 前操作期には、元に戻せば最初の状態になることが理解され、可逆的操作が可能になる。
  • 3 前操作期には、自分の行動について、手段と目的の関係が理解できるようになる。
  • 4 具体的操作期には、コップから別の容器に水を移したときに液面の高さが変化しても、量は変わらないことが理解できる。
  • 5 形式的操作期には、思考の自己中心性が強くみられる。

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