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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

特集③ 夏の勉強法 社会 精神 介護

第10回 「人体の構造と機能及び疾病」

国際生活機能分類(ICF)の考え方

 次に国際生活機能分類(ICF)について見ていきましょう。

 この分類は、2001 年5月にWHO総会で採択されました。1980年に採択された国際障害分類(ICIDH)が疾病の帰結(結果)に関する分類であったのに対し、ICFは健康の構成要素に関する分類でした。

 ICFの図表をわかりやすく作成しましたので、下記の図を使ってご説明します。

健康の構成要素とその関係

 ICFは、「人間の全体像」を捉える立場に立ち、「健康状態」「生活機能」「背景因子」が相互に影響し合っているという考え方に基づいています。

健康状態

 「健康状態」は疾病や体の変調、けが、障害の有無などを指す概念です。肥満や妊娠、高齢、ストレス等、様々なものを含む広い概念で、「疾病」だけでなく、日常的な心身の状態までを含みます。

生活機能

 「生活機能」は、心身機能・身体構造、活動、参加から構成されています。

 「心身機能」とは、手足の動き、精神の働き、視覚・聴覚、内臓の働きなどの身体系の生理的機能のことを意味し、心理的機能も含むものです。

 「身体構造」とは、手足の一部、心臓の一部(弁など)など、体の器官や肢体とその構成部分等の身体の解剖学的部分のことです。

肯定的側面と否定的側面

 「心身機能・身体構造」には、肯定的側面と否定的側面があります。

 肯定的側面は、機能的・構造的統合性を意味します。心身機能と身体構造が、機能的・構造的に統合性が保たれている状態です。

 否定的側面は、構造障害を含む機能障害を意味します。構造的に何らかの支障があり、あるいは機能的に何らかの支障がある状態です。

 「障害」とは、生活機能が低下した状態のことで、「機能障害」とは著しい差異や喪失などといった心身機能又は身体構造のことです。

背景因子

 「背景因子」とは、人間の生活機能の発揮の仕方や、障害と相互に影響を及ぼし合う要素のことで、環境因子と個人因子から構成されています。

 「環境因子」とは、バリアフリー等のような物理的な環境や、家族や友人、同僚などの周囲の人間とのかかわりなどの人的環境、法制度や福祉サービスなどの社会的環境のことで、人々の社会的態度などもすべて含む環境を構成する因子のことです。

 「個人因子」とは、年齢、性別、民族、生活歴、価値観、ライフスタイル、興味や関心などのことです。

促進因子と阻害因子

 環境因子には、促進因子と阻害因子があります。

 「促進因子」は、生活機能の発揮を促進するもので、「阻害因子」は、生活機能の発揮を阻害するものです。

 例えば、下肢麻痺の人にとって、住居や交通機関がバリアフリーになっていることは、生活機能の発揮を促進するものですから「促進因子」になります。逆に、住居や交通機関にバリアがあることは、生活機能の発揮を阻害しますから「阻害因子」になります。

 環境因子における「促進因子」と「阻害因子」は、物理的なものだけではなく、精神的、文化的なこころのバリアも含みます。

活動

 「活動」とは、課題や行為の個人による遂行のことで、調理・掃除等、家事行為などの生活行為である行動を指します。

 現在の環境のもとで行っている活動のことを実行状況といい、ある課題や行為を遂行するために最高の状態で発揮されている生活機能のことを能力といいます。活動は、実行状況と能力で評価されます。

 「活動の否定的側面」を活動制限といいます。これは、個人が活動を行う時に生じる困難さのことです。

参加

 「参加」とは、社会や家庭で役割を果たすことで、生活や人生場面へのかかわりのことです。会社で働いている、あるいは自営業で働いている、町内会で役割を果たしている等が該当します。

 「参加の否定的側面」を参加制約といいます。これは、個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに生じる困難さのことです。

国際生活機能分類(ICF)

採択 2001 年5月にWHO総会で採択
対象と性格 特定の人々のためのものではなく、「全ての人に関する」「健康の構成要素」に関する分類
健康状態 病気やけが、障害の有無、肥満、妊娠、加齢等
「健康状態」「生活機能」「背景因子」は相互作用の関係にある
構成 「生活機能」の分類とそれに影響を与える背景因子(環境因子、個人因子)で構成
「環境因子」には「促進因子」と「阻害因子」がある
生活機能 「心身機能・身体構造」「活動」「参加」から成る
心身機能・身体構造 「心身機能」とは身体系の生理的機能のことで心理的機能も含む
「身体構造」とは身体の解剖学的部分のこと
活動 課題や行為の個人による遂行のこと
「能力」と「実行状況」で評価される
参加 生活や人生場面へのかかわりのこと
活動制限 個人が活動を行うときに経験する難しさのこと
参加制約 個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する難しさのこと

 いかがでしたか。次回は「心理学理論と心理的支援」を取り上げます。では第24回の精神保健福祉士国家試験から今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。

第24回精神保健福祉士国家試験「人体の構造と機能及び疾病」

問題2 事例を読んで、国際生活機能分類(ICF)のモデルに基づく記述として、最も適切なもの1つ選びなさい。

〔事 例〕

Aさん(40 歳)は、脳性麻痺のため、歩行訓練をしながら外出時は杖を使用していた。しかし麻痺が進行し、電動車いすを使用するようになり、電車での通勤が困難となった。その後、駅の階段に車いす用の昇降機が設置され、電車での通勤が可能となった。

  • 1 疾患としての脳性麻痺は、「個人因子」に分類される。
  • 2 電動車いす使用は、「心身機能・身体構造」に分類される。
  • 3 杖歩行が困難となった状態は、「活動制限」と表現される。
  • 4 電車通勤が困難となった状態は、「能力障害」と表現される。
  • 5 歩行訓練は、「環境因子」に分類される。

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