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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

特集③ 夏の勉強法 社会 精神 介護

第10回 「人体の構造と機能及び疾病」

健康に関する概念

 まず、健康の概念を見ていきましょう。健康については様々な考え方があります。ここでは、WHOの健康の定義、アルマ・アタ宣言、オタワ憲章を取り上げます。

WHOによる健康の定義

 WHOの健康の定義は、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」としています。この定義によって、WHOでは、医療だけではなく、幅広い分野において、人々の健全で安心安全な生活を確保するための取り組みが行われています。

アルマ・アタ宣言とプライマリ・ヘルスケア

 アルマ・アタ宣言は、WHOとユニセフによって、1978年に、当時のソビエト連邦の都市の1つであるアルマ・アタにおいて開催された国際会議で採択された宣言です。

健康状態の不平等の解消

 人々の健康状態に関して、特に「先進国と発展途上国間にみられる大きな格差」を取り上げ、「人々の健康に関してとりわけ先進国と発展途上国の間に存在する大きな不平等は国内での不平等と同様に、政治的社会的経済的に容認できないものである」「新国際経済秩序に基づいた経済社会開発は、すべての人々の健康を可能な限り達成し、先進国と発展途上国の健康状態の格差を縮小するために基本的な重要なことである」「人々の健康を増進させ保護することは持続した経済的社会的発展に欠くことのできないものであり、また、より良い生活の質と世界平和とに貢献するものである」として、先進国と発展途上国間にみられる大きな健康格差の解消を訴えています。

政府の責任

 「政府は、国民の健康に責任を負っているが、これは適切な保健及び社会政策の保証があって初めて実現される」「政府、国際機関および世界中の地域社会にとって、今後約20年の主要な社会的目標は、西暦2000年までに、世界中の全ての人に、社会的、経済的に生産的な生活を送ることができるような健康水準を達成することである」「プライマリ・ヘルスケアは、開発の一環として、社会正義の精神に則り、この目標を達成するための鍵となる」として、政府の責任を明記しています。

自己決定権

 「人々は個人または集団として自らの保健医療の立案と実施に参加する権利と義務を有する」「自助と自己決定の精神に則り、地域社会の全ての個人や家族の全面的な参加があって、はじめて彼(女)らが広く享受できうるものとなる」として、自己決定権を重視しています。

地域ニーズの重視

 この宣言では、「プライマリ・ヘルスケアは、健康増進、予防、治療、社会復帰に有効なリハビリテーションといったサービスの実施など、地域社会の主要な保健問題を対象とする」とし地域のニーズを重視する視点に立っています。

基礎的環境の整備

 また、プライマリ・ヘルスケアに最低限含まれるものとして「当面の保健問題と実施可能なその予防法、予防に関連する教育、食糧と栄養素の改善、安全な水の充分な供給と基本的な衛生管理、家族計画を含む母子の養護、主要な感染症の予防接種、風土病の予防とコントロール、通常の疾患の治療と必須医薬品の供給」を挙げており、健康のための基礎的な環境の整備を重視しています。

チームとしての保健ニーズへの対応

 「地域や後方支援レベルにおいても、保健医療チームとして働くために、地域社会が求める保健ニーズに応えるために、社会的にも技術的にも適格に訓練された保健ワーカー、すなわち、医師、看護婦、助産婦、補助要員、可能であれば地域ワーカーや、必要によっては伝統治療師たちの力を必要とする」としており、個人ではなく、保健医療チームとして取り組むべきことを提示しています。

資源の活用

 「地域、国家、その他の利用可能な資源を最大限利用し、地域社会と地域住民が最大限の自助努力を行い、プライマリ・ヘルスケアの計画、組織化、実施、管理に参加することが重要であり、これを推進する。そして、この目標のために、適切な教育を通じて地域住民がこれに参加する能力を開発する」「すべての政府は、プライマリ・ヘルスケアを、他の部門と協力し、包括的国家保健システムの一部として着手し維持していくために、国家の政策、戦略、および行動計画を作成すべきである。この目的のために政治的意思を実行し、国内資源を動員し、利用可能な外部資源を合理的に活用することが必要である」として、社会資源の活用に言及しています。

オタワ憲章とヘルスプロモーション

 WHOは、1978年にカナダのオタワ市において開催された第一回健康促進国際会議において、「ヘルスプロモーションに関するオタワ憲章」を採択しました。この中でヘルスプロモーションは「人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセスである」と定義されています。

 この会議の議論は、「工業化された国での要求」に焦点を当てており、アルマ・アタでのプライマリ・ヘルスケア宣言等を踏まえて策定されています。

 「健康は、身体的な能力とともに社会的個人的な資源を強調する積極的な考え方」であるとし、「健康にとっての基礎的条件と資源」として、「平和、援護、教育、食料、所得、安定した環境システム、持続可能な資源、社会正義と公正」を挙げ、健康とは「生活の対象物ではなく、日々の人生の源」であるとしています。

WHOの健康の定義 健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること
アルマ・アタ宣言 WHOとユニセフによる健康に関する宣言。プライマリ・ヘルスケアを提唱。健康格差の解消、政府の責任、自己決定権の尊重、保健医療チームとしての対応、資源の活用等を提言し、地域の健康のための基礎的な環境の整備、地域住民の参加を重視。
オタワ憲章 WHOが採択。「人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」であるヘルスプロモーションを提唱。


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