張先生の受験対策講座

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。
- プロフィール張 百々代(はり ももよ)
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精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第9回 「精神障害者の生活支援システム」
精神障害者の概念
この分野では、精神障害の特性と精神障害者の生活支援における精神障害の捉え方、仲間同士の交流や活動範囲の拡大、活動や参加の有効性など、精神障害の疾病の特性についての理解を深めておきましょう。
また、精神保健福祉法における精神障害者の定義、精神障害者についての各法律上の定義は必須の知識です。
精神障害者の生活の実際
精神障害者の生活実態として、厚生労働省調査による精神障害者の現状、外来患者の現状等についての出題実績があります。障害者全体に占める精神障害者の割合、外来患者・入院患者の現状、精神障害者の居住状況や就労状況、生活保護受給状況、経済状態などを障害者白書、福祉行政報告例、衛生行政報告例などで確認しておくとよいでしょう。
精神障害者の生活と人権
この分野からは、精神障害者の生活支援の理念として、生活者である本人を主体とした統合生活モデルやリカバリーの理念、精神障害者の人権として入院形態や退院請求権、個人情報の取り扱い、成年後見制度、障害者虐待防止法、障害者の権利条約等が出題されています。
具体的な事例での出題に対応できるように、精神障害者の人権にかかわる諸制度について整理し、障害者に対する差別や偏見、障害者虐待の実態と防止対策についても理解しておきましょう。
精神障害者の居住支援
精神障害者の居住支援は、大変出題率が高い分野です。障害者総合支援法における居住支援に関するサービス体系や障害者に対する居住支援のための各種の事業について学習しておきましょう。
第23回試験では障害者総合支援法に基づく宿泊型自立訓練、第24回試験では共同生活援助、福祉ホーム、住宅入居等支援事業に関する出題がありました。それぞれの給付の位置付け、目的、性格、サービス内容を整理しておきましょう。今回は後ほど、この分野を取り上げて解説していきます。
居住支援にかかわる精神保健福祉士の役割や、行政や関係機関、関連職種との連携などについても押さえておきましょう。障害者総合支援法に基づく地域定着支援、地域移行支援のための指定一般相談支援事業等の具体的な内容は頻出分野です。しっかりと理解しておきましょう。
精神障害者の就労支援
居住支援と同様、この分野も大変出題率が高いです。障害者雇用促進法における障害者の雇用促進施策、雇用義務制度、法定雇用率、障害者雇用納付金制度、職業リハビリテーション機関としての公共職業安定所、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、障害者総合支援法における就労支援事業等の役割と、それぞれの機関に配置されている就労支援のための専門職の役割等について、制度面の正確な知識を習得しておきましょう。
地域障害者職業センターの業務、就労定着支援事業、就労継続支援事業(A型)、就労継続支援事業(B型)等、障害者総合支援法及び障害者雇用促進法に基づく就労支援のための諸制度が頻出です。第24回試験ではこの分野から、精神障害者雇用トータルサポーター、障害者職業カウンセラー、サービス管理責任者、就労支援員、職業指導員に関する出題がありました。
精神障害者の生活支援システムの実際
精神障害者の自立と社会参加として、ソーシャルサポートネットワークやピアサポートシステムなどを理解しておきましょう。また、「海外における生活支援モデル」として、クラブハウスモデル、元気回復行動プラン(WRAP)、包括型地域生活支援プログラム(ACT)、IPS、ピープルファースト運動、自立生活センター等も出題実績があります。
第24回では、イタリアのバザーリア法、カナダの「ついに闇からの脱出」、アメリカのクラブハウスモデル、世界精神医学会の「Open the Door」、韓国の精神健康専門要員が出題されました。また、生活支援の実際の分野から、障害者総合支援法における指定特定相談支援事業者の役割に関する出題がありました。
ソーシャルサポートネットワークの分野では、当事者運動、家族会、セルフヘルプグループ、ピアサポートシステム、フォーマルサポートとインフォーマルサポート等の概念と具体的実践についても理解を深めておきましょう。
市町村における相談援助
この分野は、自立支援医療の根拠法、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス、市町村の精神保健福祉相談員の精神保健福祉業務等が出題されています。市町村の精神保健福祉相談員に求められる、地域の実態把握、普及啓発活動、相談援助、社会復帰・自立・社会参加への支援、精神障害者保健福祉手帳関連事務、各種社会資源の整備等の多様な業務を把握しておきましょう。
また、障害者自立支援制度における障害者相談支援事業体系とその具体的な内容、基幹相談支援センターの役割等についても理解しておきましょう。
その他の行政機関における相談援助
この分野からは、精神保健福祉センター、市町村、保健所、都道府県知事のそれぞれの役割と業務等が出題されています。市町村と都道府県の役割の違いや様々な障害者を支援する機関の機能の違い、諸事業における専門職の位置付け等について十分学習しておきましょう。第24回試験では、保健所と精神保健福祉センターに関する出題がありました。
以上全体を概観してきました。今回は、障害者総合支援法に基づく障害者に対する居住支援を中心に解説していきます。
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