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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第5回 「精神保健福祉相談援助の基盤」

ストレングスモデル

 1980年代後半には、ラップとゴスチャ、サリービーらによって、ストレングスの概念が生まれ、その概念に基づいて試行的な実践が行われるようになり、1900年代には、その結果としてストレングスモデルが提唱されるようになりました。

 ストレングスモデルは、クライエントと環境の双方の中にある課題解決のための能力に焦点を当て、それらを見出し活用することによって、課題を解決していこうと考えます。クライエントの強さ、能力、知恵、信念、希望、可能性、自然治癒力などと、クライエントを取り巻く地域社会やコミュニティの中にも可能性を見出していこうという考え方です。ストレングスモデルは、解決の主体をクライエント本人に置くことを特徴としています。

ラップとゴスチャ

 ラップは1982年から、カンザス大学で精神障害者を対象としたケースマネジメントのためのプログラムを開発するために、試行的なソーシャルワークを実践しました。ラップとゴスチャは、このプログラムのモデルを評価するためにフィデリティ評価尺度を開発しました。

 ラップは、ストレングスの原則として、下記の原則を挙げています。

原則1:精神障害者は回復し、彼らの生活を改善し質を高めることができる。
原則2:焦点は病理でなく個人の強みである。
原則3:地域は資源のオアシスとして捉える。
原則4:クライエントは支援プロセスの監督者である。
原則5:ケースマネージャーとクライエントの関係が根本であり本質である。
原則6:我々の仕事の場所は地域である。

サリービー

 サリービーは、従来の病理的な視点を重視する援助の概念は、人間を病理で捉え、悲観的・懐疑的な言葉が使用され、援助する側と援助される側が区別され、失敗の原因を病気に帰するという否定的な捉え方をしているとし、その結果、クライエントの個性や可能性を覆い隠してしまっていると考えました。そしてむしろ、クライエントが持っている可能性や強さ、環境が持っている可能性に焦点を置いて課題を解決していくべきだとしました。

 サリービーは、ストレングスの具体的内容として、下記の内容を挙げています。

1 苦しみや病気、虐待などに対処する自分自身や他者および社会からの学び
2 人々の素質、特性、長所
3 生活経験の気づきからの学び
4 個人の才能
5 語りや言い伝え
6 プライド、障害を乗り越えてきた「サバイバープライド」
7 コミュニティにある物理的、対人関係的、制度的な資源
8 自己成長に必要なスピリチュアリティ

生活モデル 生態学概念を理論的基盤とする。個人と環境の相互関係のあり方を全体的に理解し、援助者は人と環境との相互作用の接点に介入して課題の解決を図る
ジャーメインとギッターマン:生活課題は、人と環境のシステムの相互作用から生まれるとして、環境自体への介入とクライエントの環境への対処能力を高めていくエンパワメントの理念を重視
ストレングスモデル クライエントと環境の双方の強さに焦点を当て、それらを活用することによって、課題を解決していこうとする
ラップとゴスチャ:ストレングスの視点から試行的なソーシャルワークを実践し、フィデリティ評価尺度を開発
ラップ:地域を資源のオアシスとして捉えた
サリービー:医学モデルを批判しクライエントと環境が持っている強さや可能性に焦点を置いて課題を解決していくべきとした

ナラティブモデル

 ナラティブモデルは、ホワイトやエプストン、ハートマンらが提唱したモデルで、社会構成主義を理論的基盤としています。社会構成主義とは、客観的な現実が最初にあるのではなく、言葉、すなわち人間が体験してきたものの見方や考え方が、現実を規定しているという考え方です。

 ナラティブモデルは、クライエントが体験した人生を通して作り上げてきたクライエント自身の人生観を尊重しながら、ワーカーはクライエントとの対話によって、クライエントのものの見方や考え方、受け止め方を再構築していくことを援助するアプローチ方法です。

リフレーミング

 ものの見方や考え方や受け止め方を再構築することをリフレーミングといい、否定的なものの見方を肯定的なものの見方に変えられるように援助します。ワーカーとクライエントとの対話によって認知の転換を促し、肯定的世界観を取り戻せるようリフレーミングを行い、新しい意味の世界を見出すことを重視します。

 ナラティブモデルでは、クライエントがそれまでの人生の中で体験してきた課題や問題が染み込んだ物語をドミナントストーリーと呼びます。「ドミナント」とは、支配的なという意味で、クライエントのものの見方を支配している考え方を意味します。

 クライエントが身につけてしまったドミナントストーリーを援助者とクライエントとの対話を通して、新たな意味の物語であるオルタナティブストーリーを作り出していくことを援助するのがナラティブモデルです。「オルタナティブ」とは、代わりになる新たなものということを意味します。

 ナラティブモデルは、ドミナントストーリーからオルタナティブストーリーへ、人生の新たな意味を見出すことができるよう、人生の再構築を支援することに焦点を当てるモデルです。

ナラティブモデル

考え方 人間が体験してきたものの見方や考え方が、現実を規定しているという社会構成主義に立つ。援助者との対話を通して、人生の新たな意味を見出すことを支援するモデル
ドミナントストーリー クライエントのものの見方を支配している考え方
オルタナティブストーリー 新たな意味の物語
リフレーミング ものの見方や考え方や受け止め方を再構築すること。否定的なものの見方を肯定的なものの見方に変えられるように援助

 いかがでしたか。次回は、「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」について取り上げます。では今回の課題を、第24回の精神保健福祉士の国家試験からあげておきますので、チャレンジしてみてください。

第24回 精神保健福祉士国家試験「精神保健福祉相談援助の基盤」

問題23 次の記述のうち、ソーシャルワークの実践モデルとして、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 環境との交互作用に焦点を当て、適応状態を捉えるモデルを治療モデルという。
  • 2 クライエントが語る物語に着目し、問題を定義するモデルを医学モデルという。
  • 3 問題の原因を個人の病理現象から見いだし、それを取り除くことにより解決するモデルを生活モデルという。
  • 4 クライエントの肯定的態度や能力に着目し、主観性を尊重するモデルをストレングスモデルという。
  • 5 蓄積された統計データを用いて、問題の原因を特定するモデルをナラティブモデルという。

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