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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第5回 「精神保健福祉相談援助の基盤」

ソーシャルワークの源流

 ソーシャルワークの源流は、ロンドンの慈善組織協会で活動していたリッチモンドにさかのぼります。リッチモンドは、慈善組織協会の活動を通して、1917年に『社会診断』、1922年に『ソーシャルケースワークとは何か』を著し、ソーシャルケースワーク理論を確立しました。

 リッチモンドは、医師が診察して治療するように、「社会診断」によって生活課題の直接的原因を特定し、その原因を除去するために、個人のパーソナリティの改善のために働きかける直接的活動とともに、生活課題を引き起こしている社会環境に働きかける間接的活動を重視しました。

医学モデル(治療モデル)

 医学モデルと治療モデルは、ほぼ同義で使用されています。リッチモンドが確立したソーシャルケースワーク理論は、その後、フロイトの精神分析学の影響を受けて、医学モデル(治療モデル)へと発展していきました。

 リッチモンドは、社会環境も視野に入れた介入の重要性を指摘していましたが、社会環境を捉える社会学的な理論はこの当時は十分成熟しておらず、精神分析学の影響を強く受けた医学モデル(治療モデル)は、個人の内面を重視する理論へと発展していきました。

 医学モデル(治療モデル)とは、生活課題に関して、社会診断を行うことによって、病理や原因に焦点を当てて直接的な因果関係を見つけ、課題の解決を目指すモデルです。クライエントを問題の原因を持っている対象として捉え、問題を引き起こしている直接的な原因を特定して援助者が治療しようとする立場です。この医学モデル(治療モデル)を受け継いで発展させたのが診断主義学派のトール、ハミルトン、ホリスです。

診断主義アプローチ

 リッチモンドが確立したソーシャルワークをフロイトの精神分析学を基盤にして提唱したのが診断主義アプローチで、医学モデル(治療モデル)とも呼ばれます。心的側面を重視し、過去の生活史についての面接を行うことにより、援助者主導の長期的な援助を行うアプローチ方法です。ケースワークの展開過程を治療の過程として捉え、人格の変容を援助の目的とすることを特徴としています。

トール

 トールは、リッチモンドの貧困者に対するケースワークを継承して『コモン・ヒューマン・ニーズ』を著し、人間に共通の欲求充足を権利として求める公的扶助ケースワークを理論化しました。貧困が子どもに及ぼす影響がどれほど大きなものかを指摘し、人間の自立と成長のための公的扶助の必要性と、パーソナリティの発達のために公的扶助の運用的側面の重要性を診断主義の立場から論じました。

ハミルトン

 ハミルトンは、フロイトの精神分析学を取り入れ、科学的根拠に基づく専門的相談対応として介入するケースワーク理論を提唱し、医学モデル(治療モデル)に基づく診断主義におけるアプローチ理論を体系化しました。

 ハミルトンは、1940年に出した『ケースワークの理論と実際』で、ソーシャルワークは、「心理社会的過程」であるとしました。生活課題は、個人的内面的な要因と環境的要因から成り立っているとし、環境的要因にも働きかけるべきことを強調し「心理社会的アプローチ」の基盤を提示しました。

ホリス

 ホリスは、ハミルトンが確立した診断主義の立場から、人を「状況の中の人」として捉え、利用者とソーシャルワーカーとのコミュニケーションによって、利用者のパーソナリティの変容を実現して、人と環境との機能不全を改善しようとする理論を提唱し、心理社会的アプローチを確立しました。

 心理社会的アプローチは、診断主義ケースワークを単に心理的な側面だけに限定するのではなく、利用者の社会的側面に対する援助も含めた概念として応用したものです。クライエントの心理的な側面と社会環境的な側面を一体的に捉えて、人と環境の関係が正常に機能しているかどうかという視点からソーシャルワークを捉えました。

 ただ、精神分析学の枠組みを中心にしていたため、結果的にクライエントのパーソナリティの変容に重点を置くことになり、本来目指していた環境への働きかけという視点が次第に希薄になっていきました。

医学モデル(治療モデル)

リッチモンド ケースワーク理論を確立。社会診断によって生活課題を診断し人格の変容と社会への働きかけを重視した
トール 診断主義。公的扶助ケースワークを理論化した
ハミルトン 診断主義。フロイトの精神分析学を基盤とし、調査、診断、目標設定により介入するケースワークを体系化した
ホリス 診断主義。クライエントを「状況の中の人」として捉える心理社会的アプローチを提唱した

生活モデル

 生活モデルは、個人の内面に焦点を当てる医学モデル(治療モデル)の理論への反省から生まれた理論です。医学モデル(治療モデル)のソーシャルワーク理論は、問題を抱える個人としてのクライエントを治療することによって問題に対応するという性格が強く、問題を発生させている社会的要因という視点が希薄になっていました。これに対して、生活モデルは問題を発生させている外的要因、社会的要因に焦点を当てていこうとする立場に立ちます。

 生活モデルは、生態学の概念を理論的基盤とし、クライエントを治療の対象としてみるのではなく、人と環境との交互作用関係の中で生きる者として捉え、クライエントの中の成長し発達しようとする問題解決の力が発揮できるように援助していこうとする理論で、個人と環境の相互関係のあり方を全体的に理解し、援助者は人と環境との相互作用の接点に介入して課題の解決を図ると考えます。

ジャーメインとギッターマン

 生態学を基盤とした生活モデルを提唱したのは、1980年代のジャーメインとギッターマンです。この生活モデルは、システム論と生態学を基盤にした理論で、生活課題は、人と環境の関係における様々なシステムの相互作用から生まれているとします。人が環境に適切に対応できるよう援助し、環境に対しては人のニーズに応えられるように働きかけるという、人と環境との相互作用に介入して課題解決を図ろうとする理論です。

 援助者が主体となるのではなく、クライエントが主体となって問題解決ができるように支援し、問題解決のためにクライエントの環境への対処能力を高めるエンパワメントの理念を重視しています。


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