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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第3回 「精神疾患とその治療」

抗不安薬

 抗不安薬は、不安や緊張、焦燥感の改善、催眠作用、筋弛緩、抗けいれん作用、自律神経に対する調整作用等があります。代表的なものにベンゾジアゼピン系抗不安薬があります。ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、中枢神経系を抑制する作用があるため、脳内の活動が落ち着き、心の不安、緊張を和らげることができます。

 抗不安薬は半減期によって、短時間型中間型長時間型超長時間型に分類します。半減期が短ければ短いほど、速く血中濃度がピークに達して、その後、速やかに薬は血中から除去されます。急に強まってきた不安症状に対しては、速やかに症状を改善させるための短時間型の抗不安薬が適しています。また、不安症状が長期間持続するような場合には、血液中の薬物濃度を安定して保つために長時間型の抗不安薬が適しています。

 ベンゾジアゼピン系抗不安薬の副作用として、昼間の強い眠気、筋弛緩作用によるふらつき、精神依存性があります。眠気までいかなくても、ぼんやりした感じ、注意散漫、集中力低下などの症状が出る場合もあります。また、運動失調やろれつがまわらなくなったりすることもあります。そのほか、脱力感、疲労感、倦怠感なども薬の服用のはじめによくみられます。

 また、服用後の記憶が障害される、前向性健忘がみられます。ベンゾジアゼピンは、情動中枢としての海馬に作用して情動性興奮を鎮めるとともに、海馬の記憶機能を抑制し健忘を引き起こすと考えられています。さらに、理性の働きが鈍くなり、怒りやすさ、涙もろさなどがみられ、攻撃性や興奮性が次第に強くなり、年齢不相応な行動をとる脱抑制の状態になることが知られています。

 ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、短期間の使用では依存性は生まれませんが、長期間の使用が続くと身体依存性が形成されてきます。連続して使用した後に急激に中止すると、中止後の初期に反跳性の不安や不眠、振戦、発汗、せん妄等の「退薬症状」が出現しやすくなります。

抗不安薬

ベンゾジアゼピン系抗不安薬 枢神経系抑制作用により、不安、緊張を緩和
副作用として、催眠作用、筋弛緩作用、前向性健忘、脱抑制がみられる
長期間の使用による身体依存性を有する
急激な中止による反跳性の不安や不眠、振戦、発汗、せん妄等の退薬症状が出現

認知症薬

 認知症には様々な種類がありますが、現在、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の症状の進行を遅らせる薬が開発されています。

 認知症の症状は徐々に進行していきますが、認知症薬は症状の進行を遅らせることができるので、その人らしさを保って生活することが可能で、家族や介護者の負担を軽減することができます。

ドネペジル塩酸塩

 アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の症状の進行を遅らせる薬として日本で多く使用されているのは、ドネペジル塩酸塩です。アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は、神経伝達物質の1つであるアセチルコリンが脳内において減少することが知られています。私たちの脳は神経伝達物質を介して記憶や学習を行っていますが、認知症になるとこのアセチルコリンが減少するため、記憶力や学習力が衰えると考えられています。

 このアセチルコリンを分解する役割をもつ酵素がアセチルコリンエステラーゼです。ドネペジル塩酸塩は、このアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、脳内でのアセチルコリンの濃度を高め、神経伝達を助けて脳内コリン作動性神経を活性化し、認知症の進行を遅らせます。

 ただ、副作用として、心室頻拍、心室細動、徐脈、不整脈、心筋梗塞、心不全等が報告されていますので、心疾患を有している場合は特に注意が必要です。また、消化器系の副作用として、食欲不振、下痢、嘔気、消化性潰瘍、十二指腸潰瘍、消化管出血や、その他、肝炎、肝機能障害、黄疸、脳出血なども報告されています。

 精神神経系の副作用としては、興奮、易怒性、幻覚、攻撃性等がみられることがありますが、身体依存性はなく離脱症状がみられたという報告はありません。またドネペジル塩酸塩は、アセチルコリンエステラーゼの作用を阻害するため、脳内のアセチルコリンとドーパミンのバランスが崩れ、パーキンソニズムの悪化や出現を招く可能性が指摘されています。

認知症治療薬

ドネペジル塩酸塩 アセチルコリンエステラーゼの作用阻害薬
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の症状の進行を抑制
心疾患を有している場合は特に注意が必要

 以上、薬物療法とその副作用についてみてきましたがいかがでしたか。「精神疾患とその治療」では、各分野の疾患の症状と特徴とともに、治療方法等についてもよく整理しておきましょう。次回は「精神保健の課題と支援」を取り上げていきます。

 では、第24回の精神保健福祉士国家試験の「精神疾患とその治療」の問題から、今回の課題をあげておきますのでチャレンジしてみてください。

第24回精神保健福祉士国家試験「精神疾患とその治療」

問題7 Cさん(18 歳、男性)は、「部屋の中に隠しカメラがある」と3か月月前から執拗に訴えるため、心配した両親と共に精神科を受診した。Cさんはリスペリドンを処方され、服用を始めた2日目の夕方より、「足がむずむずする」「じっとしていられないので、部屋の中を歩き回ってしまう」と強く訴えた。
次のうち、Cさんに2日目の夕方より現れた症状として、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 ジストニア
  • 2 アカシジア
  • 3 ジスキネジア
  • 4 カタレプシー
  • 5 ミオクローヌス

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