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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

特集⑤合格者に聞く!私が受かった勉強法 社会 精神 介護

第2回 本試験までの学習計画と学習方法について

 皆さんこんにちは。新年度を迎え、新たな思いでスタートを切られたことと思います。大学の最終学年を迎えた4年生、受験資格取得のために養成校に入学された方、現場で一層責任ある立場に立たれた方など、様々な形で、決意を新たにしておられることでしょう。

 大学生の皆さんは卒論や実習、就職活動で、現場で働いておられる方々は責任ある仕事との両立で、養成校の方々は日々の学習、毎月のレポート提出やスクーリング、現場実習との両立で、指導的立場の方は部下の指導や運営管理等との両立で、主婦の方々は家事や子育て、仕事と勉強の両立で、これからの受験は、時間との戦いになるでしょう。健康に留意して、限られた時間の中で効率よく合格できる力をつけていきましょう。

 皆さんそれぞれ、置かれている状況は異なりますが、精神保健福祉士の国家試験に合格するという目標は同じです。この受験対策講座が、これからの約10か月、初受験の方にとっても、再チャレンジの方にとっても、ともに合格に向かって励まし合い研鑽していける場になるよう、様々な角度から学習を支援していきたいと思っています。

 では今回は、試験までの学習方法と学習計画の立て方について解説していきます。

第24回試験の結果

 まず、近年の精神保健福祉士の国家試験の結果から、精神保健福祉士の国家試験の性格と特徴を把握しておきましょう。前回もみましたが、合格率は、65.6%で、前年の64.2%より1.4%上がりました。合格ラインは、総得点163点に対し得点101点以上で、初の100点越えになりました。専門科目だけの受験生は、専門科目総得点80点に対し、得点47点以上でした。

合格率と合格ラインの推移

 全科目受験生の合格率の推移は、第19回から第22回までは62%台でしたが、第23回は64.2%、合格ラインも94点とそれぞれ例年より高くなり、第24回では65.6%、合格ラインが101点と前年より7点のアップになりました。

近年の出題傾向

 これらの合格率と合格ラインの推移をみると、第23回、第24回は、両者とも上昇しているのがわかります。合格率と合格ラインは、問題の難易度と受験生の実力によって変わります。受験生の実力が急に変化するとは思われませんので、第23回と第24回は、試験問題の難易度が関係しているのではないかと思われます。

 第23回、第24回の問題をみると、落とすためと思われる問題が非常に少なく、どちらかというと、出題基準に基づいた基礎的な問題が多かったという印象があります。今後の出題傾向がどのような方向に向かっていくのかは予測が困難ですが、受験生のうち6割以上の人を合格させるための試験であるということを踏まえて、学習方法を考えていきたいと思います。

問題の構成

 試験問題の構成は、精神保健福祉士として当然知っていなければならない基礎的な内容の問題が約5割、それらの知識を実践で活かせるかどうかという応用力を問う問題が約2割、新制度や時代の動向を正確に把握しているかを問う問題が約1割で、そのほかの約2割は落とすための問題だと考えていいでしょう。

 つまり全問のうち25問から30問近くは、いわゆる難問といわれる、落とすための問題も入っているということです。1回しか試験に出ないような極めて時事性の高い問題や、聞いたことのない人物や理論が出題されることがあります。これらの問題にとらわれる必要はありません。

受験対策のポイント

 これらを踏まえて、受験対策のポイントを考えてみましょう。

 受験対策の第1のポイントは、必要な知識の総量を確保することです。
 受験対策の第2のポイントは、知識の確実性を確保することです。
 受験対策の第3のポイントは、理解に基づく知識にしていくことです。

 17科目の必要な知識の総量を確保することは、合格のためには必要条件です。ただ、知識の総量が確保できても、その知識が曖昧であると得点には結びつきません。知識の総量を確保したら、その知識を確実にしていく必要があります。また、知識を確実にしても、暗記的な知識は応用力がききません。習得すべき知識は、理解に基づいた知識です。

単純な暗記は応用力がきかない

 知識量を増やそうとして、暗記に専念するという学習方法をとる場合がありますが、暗記した知識は、応用力がききません。暗記する前に、まず内容を深く理解していきましょう。内容を理解した後、知識を定着させるために、暗記をしていくことをおすすめします。

理論系と制度系で学習方法は異なる

 科目全体で見渡すと、理論系の科目と制度系の科目に区分することができます。理論系の科目の代表的なものは、「社会理論と社会システム」「現代社会と福祉」「地域福祉の理論と方法」等があり、全体的に共通科目に多いといえるでしょう。

 制度系の科目とは法制度に基づくもので、専門科目では、「精神保健福祉に関する制度とサービス」「精神障害者の生活支援システム」、共通科目では、「福祉行財政と福祉計画」「社会保障」「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」「低所得者に対する支援と生活保護制度」等が挙げられます。

 理論系の科目は、物ごとの考え方をしっかり理解することが求められます。
 制度系の科目は、法制度ができた時代的背景を理解したうえで、制度の内容を押さえていくという学習方法が効果的です。

 このほか、専門科目の「精神疾患とその治療」や「精神保健の課題と支援」、共通科目の「人体の構造と機能及び疾病」「心理学理論と心理的支援」等は、知識の絶対量が求められる科目なので、知識量を確保することとその知識を確実にするという学習方法がよいでしょう。

学習の進め方

 学習の進め方には、大きく分けて2つあります。1つは、テキストなどを最初から読み進めて、全体の概観を知ってから、問題を解いていく方法です。この方法は、知識をまんべんなく網羅して学習できるという長所はありますが、重要なポイントがどこなのか把握できないため、漫然とした学習になってしまいやすいという短所があります。

 もう1つの方法は、まず問題を解いて出題の傾向を把握してから、テキストなどで理解を深めていくという方法です。この方法は、ポイントを把握しやすいという長所がある反面、全体の流れがつかめず知識がバラバラになり内容相互の関連が把握しにくい、過去に出題されていない分野は見落としやすいという弱点があります。

インプットとアウトプット

 ではどのような学習が、より効率的で効果的なのでしょうか。上記のどちらか1つの方法だけではなく、両方をうまく組み合わせて行うことがポイントです。

 テキストを読んで理解することは「インプット」になります。学習した内容について、本当に理解したかどうか問題を解いて確かめることは「アウトプット」になります。この「インプット」と「アウトプット」を絶えず繰り返して理解を深めていくことが、最も効率的で効果的な学習方法になります。

 1つの方法として、まず一度、第24回の精神保健福祉士の国家試験を解いてみましょう。第24回の163問を一通り解いてみると、案外簡単だと思われる問題もありますし、聞いたことのない言葉や人物が出てきて戸惑うかもしれませんが、本試験のレベルを体験できます。試験問題は、社会福祉振興・試験センターに掲載されています。実際解いてみると、解きやすいと思った科目、少し考えなければ解けない科目に分かれるかもしれません。

 これから学習を進めていくに当たって、自分の得意と思われる科目と苦手に感じた科目を知っておくと、学習に対する時間配分を考えるうえで参考になります。苦手だと感じた科目は、他の科目より時間をかけられるように計画を立てていくとよいでしょう。

学習計画の立て方

 では、これからの約10か月の学習の展開の仕方を考えていきましょう。試験までの10か月を、「4月~8月」「9月~11月」「12月~1月」と、大きく3つに区分しておくと、計画が立てやすいでしょう。

基礎力養成期間

 4月から8月は、「基礎力養成期間」とすることをおすすめします。17科目の基礎的な内容をまんべんなく学習しておきましょう。17科目の全体を見通しておき、基礎的な知識をしっかりと身につけておく期間です。17科目で必要とされる知識量は膨大な量になります。基礎的な知識が合否を分ける鍵になりますから、大変ですがこの期間にしっかりとした基礎知識を習得しておくことがとても重要になります。

弱点補強期間

 9月から11月にかけては、「応用力と弱点補強期間」とするとよいでしょう。学習した基礎的知識を使って、実際に問題を解ける応用力を身につけていくこの期間には、模擬試験を受けたり、模擬問題集を解いてみることをおすすめします。模擬問題に取り組むことによって、自分の弱点をしっかり把握し、その弱点を徹底的に補強することができます。

総仕上げ期間

 12月から1月にかけては、「最後の総仕上げの期間」になります。もう一度、全体の科目を見直しましょう。得意科目と思っていてもうっかり抜けてしまったり忘れてしまったりするものがありますから、それらを丁寧に繰り返し見直し、覚えきれていない部分はしっかり記憶に定着させて、本試験で正確な解答を導き出せる力をつけていきましょう。

 本試験では、問題を解くための時間の制限があります。総仕上げのこの時期は、知識の確認だけでなく、問題を解くスピードを訓練していくことをおすすめします。わかっていたのに、時間が足りなくて問題を解ききれなかったということをよく聞きます。これはとてももったいないことです。自分のそれまでの学習の成果を十分に発揮するためには、問題を「正確に早く解く力」をこの時期に獲得していきましょう。

 また、この試験は苦手科目だからといって1科目でも捨てることはできません。0点科目をつくらないことはもちろん、平均的に全ての科目で6~7割以上は取れるようにしておくことが、合格のためには必須条件です。第25回の本試験日は、第24回と同様、2月の最初の土曜日と日曜日になると思われます。試験直前の週は、体調管理に専念できるように、学習計画からは外しておいたほうがよいでしょう。

講座の組み立て

 この精神保健福祉士受験対策講座は、4月から8月下旬頃までは、専門科目、共通科目の順で、科目ごとに出題基準に沿って出題範囲と出題傾向を分析し、学習しておくべき基礎的な内容を確認していきます。9月頃から各科目の重点的な内容について、ポイントを絞って解説していきます。そして最後に、法改正や新制度を中心に、どうしても押さえておくべき内容を確認します。

テーマを意識して学習する

 では、科目ごとの学習方法について考えてみましょう。試験問題は、必ず「○○に関する次の記述のうち」のように、1つのテーマをもって作成されています。科目ごとに過去問に取り組む場合、このテーマを常に意識しながら学習していくようにすると、分野ごとに、どのような問題が出題されているかを把握することができるようになります。

 過去3~5年分の過去問を、類似したテーマごとにまとめて一度に解いてみると、それぞれのテーマや分野について、どのポイントを学習しなければならないのかがわかってきます。

 最初は難しくてさっぱりわからず、霧の中を歩いているような感覚に襲われるかもしれませんが、わからない箇所は解説や手持ちのテキストで確認していくという学習を繰り返していくと、だんだん視界が開けてくるという体験をすることができます。

 合格の秘訣は、わからないことをわからないままにしないでしっかり理解していくことです。精神保健福祉士の試験は、ソーシャルワーカーとして様々な課題を抱えている人たちを支援できる力があるかどうかを調べる試験ですから、単なる暗記で覚えるような知識では対応できません。しっかりとした理解に基づく知識を積み重ねていくことをおすすめします。

過去問の解き方

 上記のような力を養うためには、過去問を解くとき、単に正答を選ぶことだけで満足することのないようにしましょう。テーマに沿って提示されている5つの選択肢の一つひとつを丁寧に読み込み、正答である理由、誤りである理由をしっかり確認して理解し、誤りの選択肢については、正しい文章に直していく力を養っていきましょう。このような学習を進めていくと、選択肢の一つひとつの内容を正確に理解することができます。この理解力が応用力につながります。

解説書・模試問題集の活用

 中央法規出版から、共通科目は、第20回から第24回までの5回分、専門科目は、第22回から第24回までの3回分の国家試験問題の解答解説集、出題基準に基づいて出題内容を網羅した受験ワークブック等が発売されます。これらには出題基準が掲載されており、解答解説、説明等も非常に充実していますから大いに活用してください。

 また、中央法規出版から精神保健福祉士の模擬問題集が出されます。問題数も多く、内容も出題基準に沿って充実しており、解説も詳しく新制度も反映していますから、本試験レベルの実力をつけるためには最適です。出題傾向を把握し自分の実力を知るために、ぜひ取り組んでみてください。

出題基準と出題範囲

 最後に、精神保健福祉士試験の出題範囲についてみておきましょう。社会福祉振興・試験センターが出題範囲と出題基準を公表しています。その出題基準にのっとって試験問題が作成されます。そのため、その内容をよく把握しておくことが大切です。

 受験対策の際、過去問はとても重要な資料ですが、過去問は出題基準をすべて網羅しているわけではありません。ですから、出題基準で学習しておかなければならない範囲をしっかり把握して、出題範囲を網羅して押さえておくことが必要です。

 出題基準は大項目、中項目、小項目に分かれています。大項目は、中項目を束ねる見出しであり、科目全体の範囲を示します。中項目は、試験の出題内容となる事項で、試験問題はこの範囲から出題されます。小項目は、中項目に関する事項をわかりやすくするために例示したものですから、最低限押さえておくべき内容で、これだけやればよいのではないということを理解しておきましょう。

 また出題基準以外からも出題してよいことになっていますので、出題基準には載っていなくても、過去問で出題実績の高いものには注意をしておく必要があります。

学習方法の確立

 以上、学習計画の立て方と学習方法についてみてきましたが、お一人お一人、置かれた環境はそれぞれ異なり学習の進度も異なると思います。最初は試行錯誤になると思いますが、ご自分に最も合った学習方法を、なるべく早く確立していきましょう。限られた時間で、学習内容を絞って効率よく集中して学習していくことが合格の秘訣です。

全国の受験生の皆さんと

 この試験は科目数が多く出題範囲が広いため、一人で学習していると、時には壁にぶつかったり、自分との戦いに疲れてしまうことがあるでしょう。この講座はそのような全国の受験生の皆さんと一緒に、合格まで励まし合いながら合格を勝ち取っていくことを目的としています。

 今回は、学習方法、学習計画、学習の範囲について一緒に考えてきました。次回からは専門科目について、科目ごとに具体的に出題範囲と学習のポイントを取り上げていきます。初回は「精神疾患とその治療」を取り上げます。では早速学習計画を立ててみてください。


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