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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

特集⑤合格者に聞く!私が受かった勉強法 社会 精神 介護

第44回 第24回精神保健福祉士国家試験 共通科目の講評

 皆さんこんにちは。試験の結果発表が待ち遠しい日々を過ごしておられることと思います。前回の専門科目に続いて今回は、共通科目の出題傾向を分析していきます。

人体の構造と機能及び疾病

 加齢に伴う身体の変化の分野では、肺機能、拡張期血圧と収縮期血圧、聴力の低下など、定番の問題が出題されました。骨・関節疾患・骨折に関する分野も、基礎的な知識で解ける内容でした。ICF、リハビリテーションの分野も、従来の出題に沿った内容でした。

 今回は、精神疾患の分野から2問出題されたこと、久しぶりに感染症の出題があったことが目を引きました。また今回は、身体の仕組み、健康に関する分野からの出題がありませんでした。科目全体でみると、特に難問といえるものは見当たらず得点しやすかったのではないでしょうか。

心理学と心理的支援

 レスポンデント条件付けとオペラント条件付けの違い、記憶の種類、心理検査、心理療法の分野については、過去の頻出内容で基礎的な知識で対応できるものでした。

 発達の分野からは、しばらく出題されていなかった、ピアジェとエリクソンの発達理論がそれぞれ独立して2問出題されたことが目を引きましたが、それほど選択に迷う内容ではなく取り組みやすかったと思われます。

 ストレスの分野からは、従来出題のなかった汎適応症候群(一般適応症候群)における警告反応期と抵抗期が出題されたのが目を引きました。今回はこの知識がなくても正しい選択肢を選べましたが、今後はこの分野も受験対策に含めておくほうがよいでしょう。

 今回は感覚・知覚、動機付け理論、防衛機制等の分野からの出題がありませんでした。科目全体でみると、難易度はそれほど高くはなかったと思われます。

社会理論と社会システム

 社会階層と社会移動が久しぶりに出題されましたが、基礎的な知識で対応できるものでした。社会的行為論についても、ハーバーマス、ブルデュー、ヴェーバー等、従来の出題を踏襲するものでしたから対応しやすかったことと思います。

 ウルリッヒ・ベックのリスク社会論、ゴッフマンのスティグマの概念も、基礎的な知識で十分対応できるものでした。ミードの「主我(I)」と「客我(Me)」は、しばらく出題されていなかった内容なので、戸惑った受験生もおられたかもしれません。

 今回は、「国勢調査」「国民生活基礎調査」等に関して、2問の出題があったことが特徴としてあげられますが、細かいデータを把握していなくても一般的な常識で推測すれば解答を導き出すことができる範囲の内容でした。

現代社会と福祉

 わが国の福祉の発展の経緯については、戦前の社会事業の位置付けと1970年代の福祉見直し期が出題されましたが、福祉の全体の流れを理解していれば対応できたでしょう。ノーマライゼーションの理念も基礎的な内容でした。

 福祉国家論の分野からは、しばらく出題のなかった、エスピン‐アンデルセン、ティトマス、マーシャル、ウィレンスキーが出題されましたが、過去の出題実績に沿う内容でした。イギリスの福祉の歴史については、今回は「貧困」に焦点をあてた独自の視点からの出題でしたか、貧困の再発見や相対的貧困概念を理解していた方は対応できたのではないでしょうか。

 福祉政策と市場の関係の分野からは、久しぶりに、「準市場」「NPM」「PFI」「指定管理者制度」「市場化テスト」の概念が出題されました。この分野はしばらく出題されていなかったので、戸惑った受験生もおられたことと思います。また、国際条約における人権規定、生活の豊かさの指標については、難度の高い内容で苦戦した受験生が多かったと思われます。

 今回は、現代社会の諸課題として、ダブルケアや保活、8050問題、ニートやワーキングプア、また義務教育の無償化、高等学校等就学支援金、高等教育における奨学金制度、国による就学援助など、大変身近で話題性の高い内容が出題されたことが特徴としてあげられます。全体的にみると、難度はやや高かったといえるでしょう。

地域福祉の理論と方法

 日本の地域福祉の発展の経緯については、共同募金、社会福祉協議会、NPO法人、社会福祉法人など、さまざまな視点から総合的に出題されていました。民生委員、地域福祉の基礎的な概念は、ある程度基礎的な知識があれば解ける内容でした。

 住宅施策関連、国民・地域住民に期待される役割、地域福祉の調査方法については、ある程度の知識を要求される内容でした。事例問題では、地域包括支援センターに関しては基礎的な内容でしたが、プログラム評価の設計に関する事例問題は、少々難度が高かったといえるでしょう。

 今回は、社会福祉法における「地域福祉の主体」と「地域福祉の推進」に関する規定が、それぞれ1問ずつ計2問出題されたことが目を引きました。社会福祉法における地域福祉の位置付けは、今後も出題の可能性が高い分野だと思われます。

福祉行財政と福祉計画

 福祉行政の分野からは、厚生労働大臣や市町村の役割、福祉行政における専門職の役割という定番問題でした。久しぶりに法定受託事務と自治事務が出題されていたのが目を引きました。福祉財政の分野は、定番の「地方財政白書」でしたので対応しやすかったと思います。

 福祉計画の分野では、計画に定めるべき内容という基礎的な知識な内容でした。今回は子ども子育て支援事業計画について、事例問題で出題されていたことを特徴としてあげることができます。

社会保障

 社会保険制度については、年金保険、雇用保険の出題はありましたが、医療保険制度と労災保険制度については事例問題でわずかに触れられていた程度でした。

 わが国の社会保障制度の歴史的展開、社会保障費用統計、社会保険と公的扶助については、出題実績のあるものばかりでしたから、過去問をやっておいた受験生は対応できたでしょう。社会保険の費用負担についても、頻出内容でしたから取り組みやすかったと思われます。

 事例問題では、年金保険、医療保険、雇用保険、労災保険などが総合的に出題されており、近年の横断的な出題形態として定着してきています。

障害者に対する支援と障害者自立支援制度

 法制度については、障害者総合支援法における障害福祉サービスと関係機関の役割、知的障害者福祉法、障害者基本法、障害者雇用促進法の出題がありました。
 久しぶりに障害者優先調達推進法の出題があったのが目を引きました。「生活のしづらさ等に関する調査」は、基礎的な知識で対応できる内容でした。

 事例問題は、重症心身障害者への意思決定支援が取り上げられていました。意思決定支援は近年出題される確率が高く、今後もこの傾向は続くと思われます。科目全体でみると、全体的に取り組みやすい内容であったといえるでしょう。

低所得者に対する支援と生活保護制度

 生活保護法に関しては、生活保護の基本原理と基本原則、被保護者の権利・義務、保護施設、保護の実施機関の役割と定番問題でした。

 生活保護受給者に関する現業員の支援の事例問題は、親族からの仕送りやアルバイト収入の扱い、就労自立給付金、生活困窮者住居確保給付金、保護の廃止等、出題実績のある内容でした。また、生活保護の申請に対する現業員の支援の事例問題も申請の条件等に関する内容で、基礎的な知識で対応できるものでした。

 低所得者対策としての生活福祉資金貸付制度も、定番の内容でした。今回は、生活保護の実態に関する出題はありませんでした。

保健医療サービス

 医療保険制度と給付内容、国民医療費、医療関係従事者については、頻出分野で基礎的な内容でした。治療方針の決定に関する事例問題での医療分野の専門的用語についても、基本的な知識で解ける範囲の出題でした。

 医療ソーシャルワーカーの対応についての事例問題では、援助の姿勢という視点ではなく、急性期病院から転院するための制度系に関する内容で、年金制度、介護保険制度、医療保険制度、社会手当など、社会保障制度に関する総合的な知識を問うものでした。

 今回は、災害拠点病院の条件としての救急体制の整備や災害派遣医療チーム(DMAT)及び医療法改正の経緯に関する詳細な出題があり、これらの問題は難度が高かったといえるでしょう。

権利擁護と成年後見制度

 行政法1問と民法1問以外は、すべて成年後見制度と任意後見制度、日常生活自立支援事業を扱う問題で、通常の出題バランスからみると成年後見関係にシフトとしていたことが特徴的でした。今回は憲法の出題がありませんでした。

 行政行為の効力については久しぶりの出題で、過去問だけをやっていた受験生は少々戸惑ったかもしれません。民法は、親権の範囲、認知と親権の関係、親権における家裁の役割、親権者と子の利益相反における代理権等、ある程度の知識が求められる内容でした。

 成年後見制度については後見登記、市町村長による審判申し立て、任意後見制度では任意後見契約の法的効力の発生、任意後見と法定後見の関係等が、日常生活自立支援事業では、事業における業務内容、成年後見制度との関係等が出題されました。

 一部難度の高い問題がみられましたが、科目全体でみると、通常の難易度であったといえるでしょう。

 以上共通科目を分析してきましたが、共通科目全体をみると、科目によってはばらつきがありますが、全体では昨年度と同様あるいは少々難度が下がっているという感触があります。

 2回にわたり本試験問題の分析を行ってきましたがいかがでしたか。今回で本年度の講座は終了です。1年間、熱心にご愛読いただき心から感謝申し上げます。精神障害者の人権を護り、精神障害者のために、良き援助者となろうという高い志をもった皆様と一緒に学習を進めてくることができたことを、心から嬉しく思っています。

 昨年に続いて、今年もコロナ禍の中で、学生の皆様は対面学習もままならないもどかしさを覚えながらの学習だったことと思います。すでに現場で御活躍の皆様は、通常業務に加えてコロナ対策に神経をすり減らしながら厳しい職場環境の中での受験対策だったことでしょう。そのような中での皆さんのその頑張りは、必ず報われることと信じています。

 結果が出るまでは不安だと思いますが、今までの学習の成果が十分発揮されて合格の栄冠を勝ち取られますことを心からお祈りいたしております。1年間ご愛読いただきまして本当に有難うございました。


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